PLAINセンターニュース第93号
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ドイツ便り〜Cluster-II衛星のデータ環境について

篠原 育

Cluster-IIの科学目的


図2: 磁気圏の模式図

Cluster-II衛星は太陽から噴出してくる超音速のプラズマの風(=太陽風)と地球磁場の支配する領域(=磁気圏)とどのように相互作用するかを調べることを目的としています。太陽風は主に陽子と電子からなり絶えず地球に向けて吹き付けています。この荷電粒子の風は地球の持つ大きな磁場に遮られて普通は大気まで到達することができません。こうして地球磁場によって太陽風から保護された領域を磁気圏と呼び、昼間側は地球半径の10倍程度、夜側は〜1000倍程度までもの距離まで引き伸ばされた形をしています(図2)。しかし、太陽風の持つエネルギーは完全に地球磁場によって遮られてしまうわけではなく、太陽風と地球磁気圏の境界領域(磁気圏境界面)を通して様々な形でエネルギーや物質をやり取りしています。また、地球磁場も南北の磁極につながる領域では太陽風と直接磁場がつながる為に太陽風の粒子の一部が直接、極域の大気にふりこんでくることがあります(カスプ領域と呼びます)。この粒子は大気に衝突することによってオーロラを光らせます(注:真夜中に見える激しいオーロラは太陽風が直接ふってくる粒子ではなく磁気圏の尾部からくる粒子によって光ります。このしくみについてはGEOTAIL衛星や「あけぼの」衛星によって研究が進んでいます)。Cluster-II衛星は主に磁気圏境界面やカスプ領域(=太陽風と磁気圏と間のエネルギーや物質のやりとりが行われるまさにその現場)を詳細に観測することによって、その物理プロセスの詳細を理解することを目指しています。


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Topics

・Cluster-IIの科学目的

・何故4つの衛星なのか?
・衛星の概要
・近況報告


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