PLAINニュース第203号
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H 22 年度 第二回 科学衛星運用・データ利用センター運営委員会報告

海老沢 研(C-SODA 運営委員会副委員長)

 

 2010年 (平成 22年) 第二回 科学衛星運用・データ利用センター (C-SODA) 運営委員会が、9月15日、宇宙科学研究所 G棟二階会議室にて開催されました。

 7月 29日に第一回が開催されたばかりですが、前回の委員会報告 (PLAIN ニュース先月号)にも書いたとおり、今年度の委員会のタスクは国内の科学衛星データの公開・利用状況と将来の望ましい体制についての詳細なレポートを策定することが目的であるので、今年度はできるだけ頻繁に集まって議論を重ねることにしています。出席委員は(順不同、敬称略)、JAXA 外からは尾中(東大)、水本(国立天文台)、村田(NICT)、出村(会津大)、山内(奈良女子大)、JAXA 内からは福田(EORC)、ISAS内からは阪本、依田、篠原、松崎、山本、海老沢、オブザーバーは本田 (C-SODA データ利用 G) でした。このように、様々な分野にわたる衛星データ公開・利用の専門家が一堂に集まり、長時間にわたり活発な議論が交わされました。特に、依田宇宙環境利用科学委員長から、将来的には国際宇宙ステーション (ISS) の与圧部における実験データ(画像、動画など)も他の科学衛星データと同様にアーカイブ化すべきだというという意見があり、本レポートは ISS 与圧部データもスコープに含むことにしました。

 レポートは「科学衛星データの公開・利用について」と題され、年度内に理学委員会に提出、理学班員に対して公開することを目指しています。今回の委員会では、前回の議論を踏まえ、JAXA の科学衛星がデータ公開・利用に関して従うべき三つの原則が提案され、確認されました。以下にそれを簡単に紹介します。

  1. データプロダクションの原則 … すべての科学衛星データから、公知の知識だけでそこから科学的成果を引き出せるような高次データプロダクトを生成する。
  2. データアーカイブの原則 … データプロダクトは永久保管し、占有期間が過ぎた後は世界に向けて無償公開する。
  3. データサービスの原則 … ユーザーがそれらのデータプロダクトを使えるようにするために、必要なサービスを提供する。

 その後、天文学、月惑星科学、太陽地球系科学、太陽物理学の各分野におけるデータ公開・利用の現状と将来の望ましい姿が、それぞれの分野を専門とする委員から報告されました。しかし、それらの記述レベルや目指す方向はばらばらで、まだ足並みがそろっていません。よって、上記の原則に沿って、各衛星または検出器ごとにデータ公開・利用の現状と問題点を整理し、課題を洗い出した後に、もう一度将来の望ましい体制に向けての議論を行うことにしました。

 次回の委員会は 11月 5日に開催の予定です。今後とも C-SODA 運営委員会をよろしくお願いいたします。


(3.8MB/ 4 pages)

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