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PLAINセンターニュース第106号 |
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国立天文台天文学データ解析計算センター(以下、計算センター) の一部門である天文データセンターの紹介の二回目である。主要サービスのうち、すばる望遠鏡公開データアーカイブシステム(SMOKA)については前回紹介したので、今回はその他のサービスを紹介する。 天文データセンターは、世界で六つあるデータセンターの一つであり、アジア地域の天文コミュニティに対して天文データを利用しやすい形で提供している。天文データセンターが提供するサービスは、
の機能に分けることができる。これら数多くのサービスは、台外の協力者を含めた「データセンター実務会」なるグループによって実質的に運営されている。 |
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ハッブル宇宙望遠鏡 (HST) で取得されたデータを STScI からDVD-R に焼いて郵送されてきたものを公開している。ただし、全てのデータが送られてきているわけではない。 |
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ESA の国際紫外線観測衛星 (IUE) の最終アーカイブデータのミラーを行っている。 |
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表1. http://dss.nao.ac.jp/ から取得可能なサーベイ画像データ
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全天をカバーしたサーベイ画像データがあれば、空の任意の天域の画像を切り出すことができる。現在は、可視の Digitized Sky Survey (DSS)、赤外の IRAS Sky Survey Atlas、電波の GreeenBank SkyMap を備えている。 Digitized Sky Surevy(DSS) は、STScI がアメリカのパロマー山天文台のシュミット望遠鏡とオーストラリアのUKシュミット望遠鏡で観測が行われている全天サーベイの写真乾板データをスキャンしてデジタル化した画像データである。全天に近い領域を隈なく観測した画像データであるため、観測したい天体を探すための資料画像を作成したり、また空の非常に広い範囲を眺めたりするといった用途で非常に重宝されている。DSS には新旧2つの版があるが、とくに DSS2 は世界で7つの研究機関のみが保有している貴重な画像データとなっており、日本の研究者からだけではなく、世界の研究者からアクセスされ広く利用されている。 日本版サーベイ画像サーバの独自機能として、超広領域の検索が可能なワイドフィールド検索と電子メールによるバッチ検索機能を挙げることができる。ワイドフィールド検索機能 (図2)では、最大で6度平方という広い領域の画像を切り出すことができる。他にDSS による画像サービスを提供しているところでは最大で1.5度程度のものが多いが、X線や電波の観測画像と重ねあわせて比較に用いる場合、より広い領域を切り出すことのできるワイドフィールド検索が重宝される。 一方のメールバッチ機能は、図3 にあるようなコマンド行をメール本文に書いてメールを送ると、該当領域を自動的に切り出してFTP でダウンロードできるようにする機能である。あらかじめ座標のわかっている大量の領域を切り出したいユーザにとって便利なインターフェースであり、海外にも熱心な固定ユーザがついている。 |
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図をクリックすると拡大図が見られます
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日米共同のサーベイ観測計画である Sloan Digital Sky Survey (SDSS) のミラーが天文データセンター内に設けられている。現在は、Sky Server と呼ばれる一般利用者向けサイトの日本版ミラー (http://skyserver.nao.ac.jp/jp/) が公開されている。また、EDR (Early Data Release) と呼ばれるデータのアーカイブミラーされており、近日中に正式公開に向けて整備中であるとのことである。なお、計算センターからは市川伸一助教授および安田直樹助手がSDSS計画に携わっている。 |
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VizieR とは、天体カタログを探したりカタログデータを抜き出したりすることのできる webインターフェースである。フランス・ストラスブール天文台(CDS)が開発したもので、ミラーはhttp://vizier.nao.ac.jp/ からアクセスできる (図4)。 カタログをサービス元や版などによって位置カタログ、測光カタログなどの9種類の「カテゴリ」に分類したものが1129あり、他に A&A Suppl. などの雑誌論文中のテーブルが3964ある。これらを波長域やミッション毎あるいは天文学的キーワードなどを指定すれば特定の分野のカタログを選択してダウンロードできる。また、いきなり天体名を入力してその座標を含むカタログを波長・分野横断的に串刺し検索することもできる。極めて多機能であり便利なインターフェースである。 CDS は、各天体毎の観測データや研究論文索引を網羅した SIMBAD という天体データベースも開発している。この利用は一般には有料で CDS に登録手続きを行う必要があるが、天文データセンターで申請手続きを行えば、国内サイトからのアクセスが可能になる。詳しくは、http://dbc.nao.ac.jp/SIMBAD/ を参照していただきたい。 |
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Astrophysical Data System (ADS) は、NASAの資金で運用されている論文アーカイブプロジェクトである。http://ads.nao.ac.jp/ からアクセスできる。
のアブストラクトを検索できる。また、日本ミラー独自の機能として、国立天文台報および国立天文台欧文報告のスキャン画像を取り込んで利用できるようにしている。 ADS は SIMBAD や NED (NASA/IPAC Extragalactic Database, 銀河系外天体のデータベース)と並んで、天文学研究を効率的に進めていく上でもっとも有用なデータベースの一つと言える。 現在、宇宙研〜天文台間に設置された専用線を経由して、天文データセンターのADSを宇宙研側から高速かつ安定に利用できるよう、プロキシサーバを立てる実験を行っている。これまでは宇宙研から天文台のデータベースを利用する場合、汎用線回りでインターネットを経由していたため、7Mbps程度の転送速度しか出せなかった。実験で専用線上に天文台データベースサーバのプロキシサーバを設置したところ、1接続あたり最大150Mbps の転送速度を実現した。現在はまだ機器の細かな調整中であるので、安定運用が可能になったら改めてお知らせしたい。 |
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AJ,ApJ,PASP,A&A などの天文関係の主要な洋雑誌のオンラインジャーナルをミラーしており、国立天文台内のマシンからはパスワードなしでアクセスできるようになっている。 以上で紹介したサービスは、天文データセンターのトップページのhttp://dbc.nao.ac.jp/ からアクセスできるようになっている。興味を持たれた方はどうぞご覧いただきたい。 |
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