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PLAINセンターニュース第105号 |
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国立天文台天文学データ解析計算センターの一部門である天文データセンターは、天文コミュニティに対して天文データを利用しやすい形で提供している。私はPLAINセンターに移ってくる前の昨年一年間、天文データセンターの運営管理に携わってきたので、本稿では古巣の紹介をしたい。今月号では、私が開発に関わった「すばる望遠鏡公開データアーカイブシステム(SMOKA)」について紹介する。 |
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観測データは、決して繰り返すことのない宇宙の歴史の一瞬をとらえた記録であり、観測時刻における天体の情報を持つ唯一の存在である。これらを散逸しないように管理し保存することがアーカイブシステムの重要な目的であり、世界中で整備されるようになってきた。 国内では1994年以降、天文情報処理研究会の有志によって、国立天文台岡山天体物理観測所188-cm鏡および東京大学木曽観測所105-cmシュミット望遠鏡で取得された観測データのアーカイブシステム MOKA (Mitaka-Okayama-Kiso Archive system) を3世代にわたって構築・運用してきた。これにすばる望遠鏡のデータを加え、高度な天文学的検索機能とよりユーザフレンドリーな検索機能を追加し、さらにMOKAで残された課題を解決すべく抜本的なシステムの再構築を行ったものが SMOKA (Subaru-Mitaka-Okayama-Kiso Archive system)である。 SMOKA は、2001年6月からインターネットを通じて、非営利の研究あるいは教育普及目的の利用者のためにデータを公開している。 http://smoka.nao.ac.jp/ からアクセス出来る。 |
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すばる望遠鏡の観測データはファーストライト期、試験観測期、および共同利用観測(S00期)のデータが公開されている。波長域としては可視から赤外、また観測手法として撮像および分光と、さまざまな種類のデータを公開している。第一期観測装置として運用されている7つの観測装置(Suprime-Cam,FOCAS, HDS, OHS/CISCO, COMICS, CIAO, IRCS) と、2つのファーストライト期試験観測装置(CAC, MIRTOS)によって取得されたデータが対象である。すばる望遠鏡で2000年12月から始まった共同利用観測や、機能試験あるいは性能試験で取得されたデータは、原則的に表1にある専有期間が切れたデータからSMOKAで順次公開される。 |
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表1. 利用可能なアーカイブデータ (2002年7月8日現在)
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検索画面は、それぞれの観測装置で観測された天体名の一覧から選ぶだけで検索できる単純検索(図1)と、一般的な天文アーカイブシステムと同様に、赤経・赤緯などの天球座標のほか、観測日時や観測者名などのさまざまな条件を設定できる高度検索(図2)の二つを用意している。結果画面から早見画像(QLI: Quick Look Image)を表示することもできる。Suprime-Cam のように複数のCCD を持った観測装置の場合はQLIをモザイク化して表示することもできる(図3)。 |
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データ請求は、検索結果画面で必要な画像にチェックを入れて請求ボタン を押し、事前に登録したアカウント名を入力すればよい。通常はネットワーク経 由でFITS画像をダウンロードできる。 |
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今後の開発課題としては、 ・整約済データの提供 などが上がっており、それぞれ開発・実装していく予定である。 また PLAINセンターとの共同開発研究として、多波長天文画像データ検索・ 閲覧システム jMAISON (PLAINセンターニュース91号参照)との連携を検討して いる。現状の jMAISON ではポインティング観測データとしては ASCA の データしか用いることができないが、これにすばるの Suprime-Cam 他の画 像を組み込むことを検討している。 SMOKAはMOKAシリーズ開発におけるさまざまな経験を生かして開発を行っ たため、現状では検索システムとして十分に安定に稼働させることができ ている。この6月から一般共同利用観測のデータも順次公開となっ ており、これからがSMOKAの本領発揮と言えるのではないだろうか。 来月号では、天文データセンターで運営しているその他のサービスについて紹介する。 |
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