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「はるか」の現状

 「はるか」は,6月17日現在で,打ち上げから855日経過し,約280 あまりの観測を消化しています。現在,ほぼ,1日1観測のペースで観測を行っています。ここ2ヵ月は,すこぶる順調に観測を続けています。途中,衛星のテレメトリの消失が発生したために観測が停止していた時期もありましたが,各方面に御迷惑,御心配をおかけしつつも,再び観測ができるようになっています。

 「はるか」を使ったVSOP観測は,世界じゅうの協力者によって支えられています。現在,観測に参加してもらっている国は,相関処理施設を持っている米国,カナダをはじめ,豪州,欧州8カ国,中国,南アフリカの国々にある望遠鏡を使わせてもらっています。観測データも世界を飛び回り,観測によっては,豪州で観測したデータを,国立天文台三鷹,宇宙研臼田でデータの媒体変換,相関処理を米国で行い,相関結果を欧州のPIが画像にするというような観測もあります。1つの観測を遂行するのに世界じゅうの人々が苦労して運用を続けています。

 それらの苦労の成果の一部として,http://www.vsop.isas.jaxa.jp/から[Images]を選択していただければ,20あまりの「はるか」によって観測した天体画像を見ることができます。これらは,結果が出ている画像のうち,観測提案者のご好意により,掲載しているものです。このページが今後,どんどん増えて行くことになると思います。

(村田泰宏)

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ASTRO-E総合試験

 1999年3月初めから始まったASTRO-EFM総合試験がC棟クリーンルームで進行中である。現在のところ大きな問題は出ておらず,順調に試験は進められている。C棟での試験と並行して,5月12日より24日にかけて,日産・富岡工場において,ロケット頭胴部への衛星仮組試験が行なわれた。この試験には,下部構造とEOB(伸展光学ベンチ)がフライト品,側面パネルが構造モデルからなる,機械的に実衛星と同等なモデルが使用された。試験の主な目的は,衛星とロケットとのインターフェースおよび組み付け手順の確認,衛星とノーズフェアリングとの干渉のチェック,および組み付け後に行なう作業の作業性の確認である。

 ASTRO-E衛星は宇宙研の他衛星と比べても特に大型で,フェアリングとの干渉に関しても,ぎりぎりの設計がなされている。特に,EOB最上面に取り付けられたサンシェード部の形はmm単位で入念に設計されたものであるため,確認作業は慎重に行なわれた。現在詳細な解析が行なわれているが,ほぼ設計通りのクリアランスが確保できていることが確認された。頭胴部仮組試験に使われた衛星フライト品は5月末には宇宙研C棟に戻され,その後の試験に参加する。総合試験は11月末まで続く。期待される科学的成果に熱い思いを馳せながら,2000年1月の打ち上げの成功に向け,チーム全員が一丸となって努力を続けている。

(上田佳宏)


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M-V型ロケット4号機の仮組立作業順調に進行中

 2000年1月<*B>にX線天文衛星を打ち上げるM-V型ロケット4号機の仮組立が終わりに近づいている。仮組立は,推進薬を充填する以前のモータケース,段間接手部,計器搭載部,ノズル,姿勢制御部,搭載機器,ノーズフェアリング等々を仮組立して,問題なく組み立てることができることを確認すると共に,計装配線ルートやケーブル長さを決定,確認する等の作業を行うものである。仮組立は,作業場所の高さの制約などから,第段部分,第段部分,頭胴部に分けて行っている。第段部分の仮組立は,1999年1月から2月にかけて行い,第段部分は4月に終了している。現在進行中の頭胴部仮組立は4月19日から行ってきたが,作業は順調に進み,5月17日にはASTRO-E衛星を搭載した上でノーズフェアリングを被せ,問題のないことを確認している。

 今後頭胴部は再分解されるが,予定通り5月25日にすべての作業が終了する見込みである。仮組立は毎号機日産自動車(株)の工場で行っているが,M-V-4号機は1998年移転した群馬県富岡市の新工場で行われている。従来の荻窪工場と比べ交通事情が大きく変わり,当初はとまどう様子も見られたが,関係者各自の覚悟と工夫が行き届いたかに見える昨今である。

(小野田淳次郎)

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1999年度第1次大気球実験始まる


 1999年度第1次大気球実験は,1999年5月10日より約20日間の予定でB3-1B100-6B150-43機の大型気球および測風用小型気球3機程度を三陸大気球観測所から放球する予定である。1999年度1号機として,B3-1号機5月15日7時14分に放球された。この実験の目的は,新たな気球の形状設計に基づいて製作した排気口を持たないスーパープレシャー気球の飛翔性能試験であった。気球は高度19kmにおいて水平浮遊状態に入り,日本で初めてのスーパープレシャー気球となり,初期の目的を果たすとともに将来の大型スーパープレシャー気球を実現するために,この形状設計方式が有効であることが実証された。

 三陸大気球観測所は昨年度,放球場の拡張および気球組立室の増設が行われた。気球組立室は,床面積が約114m2,高さが約14mであり,室内には揚程10m,最大荷重2トンのクレーン2機が備えられている。この気球組立室の完成により,超軽量気球BT5型まで室内でガス注入が可能となった。また,放球場は先端部分が長さ20m,幅18mの拡張が行われ,その中心部に直径6mの回転テーブルが設置されている。回転テーブルの上に総浮力2トンまでの気球が放球可能な昇降機付き放球装置が備え付けられている。この後計画されている2機の大気球実験中に,気球を用いて新たな放球放置の放球試験を行う。この放球場の拡張によって,B500型気球(容積50万立米)まで安全に放球できるでしょう。

(山上隆正)

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Coronal Mass Ejection の発生は予測できるか?
  「ようこう」の最新成果でNASAが記者発表

 1989年5月13日,カナダのケベック州で大規模な停電が発生,数10万の市民が影響を受けた。太陽コロナから噴き出されたプラズマの塊が地球磁気圏に衝突,激しい磁気嵐が引き起こされたことが引き金となって,送電線網の変圧器が破壊されたのだ。

 太陽からのプラズマの塊の噴出現象“Coronal Mass Ejection”(CME)は平均して毎日1回程度起きているが,大停電を引き起こすほど激しいものは,幸い滅多には起こらない。それでも,CMEに起因すると見られる人工衛星の故障はたびたび起きているし,将来的にはCMEに伴ってやってくる超高エネルギー粒子が火星に旅する宇宙飛行士の命を脅かすことも心配しなくてはならない。

「ようこう」の軟X線望遠鏡(SXT)により,このCMEの予測につながる成果が得られ,3月9日NASAが記者会見をして発表した。SXTでは直接的にはCMEを観測できない。他方,米・欧共同のSOHO衛星にはCMEを観測するための装置LASCOが搭載されているが,SOHOは高温コロナの観測が不得手である。そこで,「ようこう」の宇宙研駐在の研究員のスターリングとハドソンは,両衛星の観測結果を比較して,CMEを起こすコロナの特徴的な形状を探し,S字形をした活動領域上空のコロナが「とんがり帽子」のような三角形状(カスプ形状)に変わるときに,CMEが起こることを突き止めた。モンタナ州立大学のキャンフィールドらは,この研究を引き継ぎ,

(i) S字形の領域はカスプ形状へと形を変えることが多い,
(ii) 非S字形領域ではカスプ形状に変わることは少ない,
(iii) 領域面積が大きいほどカスプ形状を作る割合が大きくなる,

ことを見つけた。これらの研究により,カスプ形状の生成はCME発生と直結しており,CME発生はS字形をした活動領域コロナから予測できるという予備的な結論が得られた。

 サインは「Sdashこれは今回の記者発表を報じた『朝日新聞』(3月10日夕刊)の見出しだが,今後の研究の発展によっては,CMEが発生数日前に予測できるようになるかもしれない。

(Alphonse Sterling & Yohkoh Team)

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「内之浦」「相模原」が小惑星に

 1999年4月2日付けの“Minor Planets Circular”によれば,このたび小惑星に「内之浦」「相模原」という名前がつけられたとのこと。いずれの小惑星も,小惑星発見の名コンビである北海道・北見の円館金さんと渡辺和郎さんが見つけたものです。「内之浦」と命名されたのは7342番の小惑星で,1992FB1と呼ばれていたもの,「相模原」と命名された のは7435番で,1994CZ1と呼ばれていたも のです。夜空に宇宙科学研究所ゆかりの地名の星が飛んでいるなんて楽しいですね。

(的川泰宣)

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