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ASTRO-E 一次噛合せ


 ASTRO-E衛星は2000年の1-2月期の打上げを目指して準備が進められています。昨年から衛星本体の設計製作にはいり,フライト品の製作に伴い,今年の7月1日からは一次噛合せが始まりました。

 ASTRO-Eは,現在計画されているM-Vによる衛星としては最も大きく重い衛星で,打上げ時の総重量は1600kgを超え,M-Vのフェアリングの中をほぼ一杯に占有します。この状態では直径約2m,高さ約5m8角柱の形に身を縮めて収まっていますが,軌道上では約5.4m x 2.5mの太陽電池パネルを拡げ,さらに,全長も約1.5m伸ばして6.5mになり,搭載した線望遠鏡は所定の焦点距離を確保することになります。

 この手法は,基本的には現在活躍中の「あすか」衛星と同じですが,一回り大きくなっており,更にその構造,機構は大幅に改修され,性能も向上しました。そのため,クリーンルーム内での組立や,試験には作業用の巨大な足場が必要になり,建築現場を思わせるような高さ8mを超えるパイプで組み立てた足場が衛星を取り囲みます。足場の最高部は殆ど階建てのビルの屋上くらいの高さになり,かなり危険な作業になります。

 現在,側面パネルを水平に展開して,各搭載機器の組付け等を行っていますが,9月にはほぼ全体がまとまった形でお目見えする予定です。作業は10月末まで続きますので,是非一度階のクリーンルームにお立ち寄りください。

(小川原嘉明)

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M-25SIM-2大気燃焼試験

 現在,M-V型ロケットの性能向上および低価格化を進めるために,第M-24モータに代わるM-25モータの開発が行われています。M-25SIM-2は,M-25モータに導入される新技術を実証し,設計に必要な基礎データを取得するための,実機1/3サイズのシミュレーションモータです。

 今回の試験の主な目的は,
(1)サークリップ方式によるノズル結合法の技術実証,
(2)新しい着火内圧上昇率抑制手法の効果確認,
の二点です。サークリップ方式と呼ばれるモータケースとノズルの結合法は,宇宙研では初めて導入する技術で,従来ボルト結合であったところを,薄いリング状のサークリップで押さえて留めるというものです。単純なこの手法により,低価格化と作業の簡素化が図られるはずです。また,新しい着火内圧上昇率抑制手法は,推進薬燃焼面の一部を薄いゴム材で覆って着火時の内圧上昇速度を抑え,上段側へ伝わる衝撃を緩和する技術です。今回は,実験室レベルでの技術実証後,初めて規模の大きいモータに適用して効果を確認することになります。

 燃焼試験は,能代ロケット実験場真空燃焼試験棟において,7月29日10時30分点火で行われます。この試験を以て新技術に関する基礎データの取得を終え,M-25モータ試作号機の設計が確定する運びとなっています。

(徳留真一郎)

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「のぞみ」の近況


 7月4日の打上げから,(この原稿執筆時点で約)1カ月経過した火星探査機「のぞみ」は,順調にパーキング軌道を回っている。この間に,7月4日11日19日8月1日4回の軌道制御を行い,9月24日に予定されている月スイングバイに向けて,準備を進めている。「のぞみ」の軌道は,長楕円で,遠地点では,月軌道を越え,静止衛星の10倍以上遠くまで達する。軌道を1周するのに2週間あまりを要し,打上げ以来,この楕円軌道を2周したところである。

 搭載機器の初期チェックが,打上げ直後より行われ,現在も進行中である。共通機器および観測機器ともに正常で,8月中旬には,観測機器の高電圧部分のチェックを最後に,初期チェックを終える予定である。すでにダストカウンタなど一部の観測機器は,観測を開始した。「のぞみ」搭載カメラの試験の過程で,地球や月の写真を撮影している。左の写真は,7月18日に,搭載カメラが撮った地球表面のクローズアップで,オーストラリアの北東部分が見られる。

 「のぞみ」は今後,9月24日および12月18日に月スイングバイを行って増速し,12月20日に地球の引力圏を脱して,火星に向けて長い旅路につくことになる。

(中谷一郎)

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命名“のぞみ”

 宇宙科学研究所の衛星は,計画段階から打上げまでの間はASTRO-D(天文系の番目の衛星),PLANET-B(ハレー彗星探査に続く番目の惑星ミッション)のように英文名が用いられ,打上げ成功後和文の愛称がつけられます。まずは,宇宙研,各大学,メーカー等の実験関係者から投票で名称を募ります(“ようこう”の場合は例外的に一般公募)。ついで実験主任を含む長老グループが候補を絞り,その中からこのグループの合議によって最終決定されます。必ずしも最大得票名になるわけではありません。

 今回“のぞみ”と決まったことはご承知の通りで,投票者は,丸山進,吉山京子(以上宇宙研),平野寛幸(日産自動車),谷川数美(三菱電工)の皆さんでした。他に有力なものとして“みらい”“あかね”がありましたが,私が好きだったのは“一機火星”でした。投票者は上杉教授でまことに長老らしからぬ真面目な態度といえましょう。

(松尾弘毅)

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第32回COSPAR総会名古屋にて開催


 第32回宇宙空間科学COSPAR総会は,日本学術会議他19学・協会の共催で去る7月12日〜19日に名古屋国際会議場にて開催された。これはCOSPAR( Committe on Space Research )が隔年に開催する総会と講演会である。このCOSPARは人工衛星・宇宙探査機の開発,飛翔体を用いた科学観測の国際共同プログラムを推進するために国際学術連合(ICSU)により1958年に設立され,今年が創立40周年に当たる。従ってこの会議は飛翔体を用いた宇宙空間科学研究全般を網羅しており,今回は世界40カ国以上から約1,750名(内日本の参加者約600名)の研究者が参加した。

 この総会では,地球表面・気象,月ー惑星,超高層大気,磁気圏プラズマ,天体物理,生命科学,材料科学,基礎物理の科学委員会,衛星ダイナミックス,大気球,宇宙空間環境汚染,開発途上国宇宙空間科学のパネルで企画された合計79のシンポジウムが分科会方式で開催された。各シンポジウムは1〜3日間に渡って行われ,従って期間中毎日15〜20のシンポジウムが並行して開催された。さらに期間中に特定の研究に関するワークショップなど20以上の side meetings が持たれた。

 今回は宇宙研の惑星探査機Planet-B(「のぞみ」)が成功裏に打ち上げられた直後であっただけに国内関係者は大いに気勢があがった。また今回は15のシンポジウムで日本の研究者がシンポジウム組織委員長を勤め,12のシンポジウムで同副委員長を勤めた。シンポジウムの企画を主導する上でも日本の研究者が大いに活躍したといえる。
 さらに今回はこれら一般の学術講演会に加え,学際科学的特別講演,国際宇宙航行連盟(IAF)との合同シンポジウム,生命の起源をテーマとした市民公開の一般講演,科学分科会委員長による総括講演の企画を新たにプログラムに加えたがいずれも大変盛況であった。また地元名古屋の協力を得て,COSPAR40周年記念行事として行った市民向け一般展示も大変好評であった。

  COSPARでは総会毎に各分野で活躍した科学者を表彰する習慣があるが,今年は平原聖文(立教大理),坂尾太郎(国立天文台),稲富裕光(宇宙研)の氏が,顕著な成果を挙げた若手研究者に与えられるゼルドビッチ賞を受賞された。誠に嬉しいことである。  名古屋国際会議場は新しくて広々としており,期間中天候にも恵まれ予想外に涼しく,宇宙研と名古屋大学を中心とした関係者の努力で会議の準備,運営も大変円滑に行われた。おかげで,参加者にもCOSPAR本部関係者にも大変喜んで頂き,このCOSPAR名古屋総会は大成功の内に幕を閉じることが出来た。最後に御支援,御援助頂いた関係各方面には,この紙面上で心からお礼申し上げます。

(長瀬文昭)

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超遠方のクェーサー0014+813


 「はるか」を使ったスペースVLBI観測(VSOP)では、さまざまな結果が出はじめていますが、ここではVSOPで観測したもっとも遠方のクェーサーの例を示しましょう。これはケフェウス座にあって、136億光年の距離(赤方偏移z=3.366)にあります。宇宙が始まってから現在までの時間の1割しか経過していない頃のクェーサーの姿をとらえています。  南北の広がりは、135光年に対応します。観測波長は18cmですが、このような遠方にあるので、天体から出たときは4cmの波長にあたります。

 今後の波長6cm(天体自身にとっては波長1.3cm)でのVSOP観測ができると、3倍の解像度の(この1ピクセルを更に9ピクセルに分解する)画像が得られ、南北3つの成分のスペクトルの違いから、電波を出す高速電子のエネルギーも見積もれます。

 このような遠方(遠い過去の)天体の観測の、このような解像度の観測では、VSOPは他のいかなる観測装置にたいしても圧倒的な力量を示します。

(平林 久)

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LUNAR-Aの打上げ延期

 月面にペネトレータを貫入させ,搭載した地震計及び熱流計を用いて月の内部構造を探ることを主目的とする第17号科学衛星LUNAR-Aは,平成月に,ペネトレータの母船からの分離機構部の改修のため打上げ時期を平成10年度に変更することとされた。

 分離機構部及び火工品に関しては予定通り改修を終了し問題は解決されたが,同時期実施のペネトレータ貫入実験で発生した搭載電池の液漏れに関しては,その対策に予想外の時間を要した。

 電池液漏れ対策とその確認,さらにペネトレータシステム全体の貫入試験に要する時間を検討した結果,現時点では,平成11年度に打ち上げることを目標に進めていくこととなった。

(松尾弘毅)

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ビデオシリ−ズ第7巻『ロケット』完成

 <宇宙へ飛び出せ>シリ−ズの第巻『ロケット−宇宙へのかけ橋−』が完成いたしました。今では当たり前のようになっているロケットの打上げですが,ロケットには,どのような種類があり,宇宙へ飛び出すためにどのような仕組みや機能が備えられているかとか,地上での試験のようす,苦労していかに高い技術開発をしていくかロケットの機体構成,推進原理,姿勢制御の方法など,あまり知る機会のないロケット技術を理解することができます。また,ロケットの飛行とそれを監視するスタッフの情景を織りまぜることで感動的な打上げ場面が展開されます。最新技術をCGを用いてわかりやすく説明しています。ご希望の方は下記へお申し込みください。
(財)宇宙科学振興会 直通0427-51-1126

(渡邊遊喜枝)

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