No.209 |
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将来の輸送システムでは,例えば機体の大部分をコンポジット材で構成できれば大幅な性能向上が実現でき,捨てるところのないロケットができると言われ,材料技術に対する期待は大きい。航空機でも複合材化は進められているが,低速のグライダなどを除けばオールコンポジットの機体はまだ実現していない。まして宇宙を往復する飛翔体では飛行の環境はさらに過酷で材料技術に対する多くの研究課題がある。一般に材料開発は足が長いため即座にプロジェクトに対応するのは難しく,筆者らの研究室でも宇宙研のプロジェクトに貢献するところが少ないことが悩みの種である。それでも材料技術が宇宙開発の重要な基盤技術の一つであることはいうまでもなく,複合材料をキーワードにした研究開発に取り組んでいるところである。
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このように複合材料は従来の金属材料に比べて多くの性能向上に寄与するポテンシャルを持っている。但し航空機に使用される場合に比べて再使用型ロケットなどの宇宙輸送システムでは遭遇する機械的,熱的環境は厳しく,その実力を十分に引き出し実用に耐えるものに完成させるためには実際の飛行運用の機会を含めた新しい検証計画が不可欠である。また例えば実用型のSSTOなどではその規模のメリットを生かすため直径10mの複合材タンクなどといった大型の構造物に仕立てることも要求され,材料の性能のみならず大型構造物に構成するための技術や,製造設備の規模を越えたサイズも要求される。材料そのものの開発研究に加えて構造体を構成するための接合や補強,修理方法などといった実用的な観点での開発も重要な課題である。これまでの宇宙輸送の方法を変えるための耐熱や軽量化の目的で宇宙飛翔体に採用される材料開発の動機はとても大きい。一層の研究の活性化が望まれる。
(はった・ひろし)
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