No.190 |
![]() |
- Home page |
- No.190 目次 |
- 新年のご挨拶 |
- SFU特集にあたって |
- SFUプロジェクトを終えて |
- SFUシステム |
- SFU実験 |
- SFU運用 |
- 編集後記 |
- BackNumber |
- SFU略語 |
- CDR |
- CSR |
- DSN |
- EM |
- JSC |
- MCC |
- PFM |
- POWG |
- SEPAC |
- SFU |
- SOC |
- STM |
- USEF |
- NASA安全パネル |
- STS-72 |
パドルを構成する太陽電池は一枚あたり2B×4Bの新開発のセル型ダイオードで,原子状酸素対策が施され,SFUの2面のパドルに合計28万枚が実装された。
日本初の経験は,SFU回収時,SAPが収納され発生電力がなくなった軌道上最後の時,バッテリーからの放電電力だけでSFUを運用するという重要任務であった。NiCd電池電源は生き物で履歴や温度・電流・電圧で充放電サイクル寿命が決まるため,打ち上げ前の寿命試験を始め,軌道上の電圧/温度特性曲線に細心の注意を払うとともに,地上でも軌道上運用模擬試験を実施して回収に万全を期した。
SFUの電池の選定は最も注意を払った点の1つである。最初以下の諸点を熟慮して,科学衛星で実績のあるNiCd電池とした。欧州での事例も勘案,重要部品を含め自国技術によることが打上げ希望時期を他国に左右されない点で必須と考えた。即ち
(1) 科学衛星開発の頭初より「根拠のはっきりした部品を使用しかつ故障の場合の原因究明を徹底させる」という方針の基に弾力的,実質的に対応した実績をもっている。
(2) システムから部品までブラックボックスを許さない態度で,問題発生時は原因究明に関し,すみやかに中立が工程内まで立ち入って専門家の衆知を集めて対応ができる。
(3) 先端的開発研究のため契約時または設計初期段階では予想できない状況変化で要求の変更が出現,しかも早急の試験や対応が必要となる場合が過去の経験上必ずある。
一般に安全審査や軌道運用上からの要求変更は製品完成のずっと後で突然に起こることが多く,開発が長期を要するものだけに柔軟な対応の難しさを又痛感させられた。改めて関係者の熱意と忍耐に敬意を表したい。
(後川昭雄,宇宙研名誉教授,現東京工科大学教授)
|
|
|
|
---|
|
---|