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観測ロケットS-310-34号機打上げ後記

ロケットの尾翼のそばに装着されたカメラがとらえた展開後のクローバー型薄膜


 蝉時雨のただ中に轟音を残して,観測ロケットS-310-34号機は夏の夕空に吸い込まれていきました。刻,2004年8月9日午後5時15分。観測ロケットとしては久しぶりの工学実験です。

 ソーラーセイルの実用化を目指した基礎実験として,観測ロケット飛翔時の高真空・無重量を利用した大型薄膜の展開実験の計画がスタートしたのは,まだ宇宙科学研究所時代でした。そこから数々の工学的課題を解決し,あの悪夢のような噛合せも乗り越えて打上げにたどり着けたのも,プロフェッショナルたる各班の方々の連携と努力,そして心意気の賜物と感謝しています。また,セイルは若手の技術系職員,助手,学生が,製作方法も含めてまったく無の状態から手作りで完成させたことも,賞賛に値すると思います。

 本実験では,支柱や外枠などで保持されていない薄膜の宇宙空間における展開としては,世界初の実験に成功し,セイル展開に関する貴重なデータを取得することができました。実験後,国内外から数多くの問い合わせがあったことは,驚くとともにうれしくもありました。関係各方面のご協力に深く感謝致します。詳しくはISASホームページ(http://www.isas.jaxa.jp/)の宇宙ニュースをご覧ください。

(峯杉 賢治) 


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M-Vロケット6号機噛合せ試験



 7月6日から8月9日まで,M-Vロケット6号機の噛合せ試験を構造機能試験棟および環境試験棟にて実施しました。

 この試験は,各メーカで製造された搭載機器を持ち込んで搭載部に組込み,コネクタを接続して電気的インターフェースの確認を行います。そして電源を入れて作動させ,その機能を確認するというものです。

 また,6号機に搭載するX線天文衛星ASTRO-EIIとの確認試験も実施し,ロケットの頭からしっぽまで,電気的な確認作業が終了しました。

 試験はおおむね順調に進みましたが,8月に入ってからは観測ロケットS-310-34号機のフライトオペレーションやM-Vロケット総点検と重なり,人のやりくりがとても大変な状態でした。内之浦と相模原に人を分けなければならず,若い職員が主導権を取って試験を進める場面が多く,新旧交代というか,無理やり巣立ちさせられたというか,緊張感の中に新鮮さを感じる試験になりました。

 噛合せ試験の終了をもって,相模原での作業は終了しました。あとは,内之浦の打上げ場に運び込んでの組立て作業になります。年明けの打上げに向けて,そして2000年2月の打上げに失敗したASTRO-E衛星の復活に向けて,着実に準備は進んでいます。

(竹前 俊昭) 


振動試験装置にセットされる第3段計器搭載部
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高校生体験プログラム「君が作る宇宙ミッション」を開催



研究発表も終えて全員でパチリ!


 高校生体験プログラム「君が作る宇宙ミッション」を大成功のうちに終えました。このプログラムによって高校生には,第一線で働く研究者の卵および研究者と一緒になって自ら探査計画を議論し作り上げる中で,研究の進め方を学ぶこと,進路選択の参考にしてもらうことを期待しています。このプログラムはまた,直接宇宙とかかわっている私たちにとっては,広い分野にわたる将来の人材育成と広報の役割も果たしています。

 北は北海道,南は九州から集まった23名の高校生は,まず8月16日午後に2人の研究者の講義を受けた後,2日目から5組に分けられて35名の大学院生の助言のもと,熱心に楽しくミッションの議論を始めました。2回の中間発表でさらに検討を深め,出来上がったミッションの研究発表会を4日目の8月19日に行いました。そして8月20日午後,高校生は全員元気に,名残惜しそうに宇宙科学研究本部を去っていきました。

 大学院生はTeaching Assistants(TA)として,チームワークの作り方,指導や議論,広報の仕方,外部との折衝など,通常経験できない多くのことを学んだと思います。理学と工学の学生が初めて同じ目的を持って集まり,さらに過去に参加して今大学在学中の4名も加わり,交流の輪が作られ始めたことは,本プログラムの主目的以上の成果かもしれません。

 本年はこれまでの経験と反省を踏まえ,TAのオリエンテーションを行うとともに,早い時期に,かつ広範囲に広報活動を展開しました。1回目,2回目と進め方に試行錯誤を繰り返してきた本プログラムは,3回目でようやく固まったと考えます。次回はより多くの関連機関と連携するとともに,一部学生に偏った負担の分散・軽減などに努め,さらに質の高いプログラムの円滑な運営ができるように努めたいと考えます。

 本プログラムは,科学関連雑誌社など多くの報道機関,総合研究大学院大学,(財)宇宙科学振興会,宇宙科学研究本部生活協同組合および(株)新興出版社啓林館,そして本部内の多数の教職員による全面的な協力に支えられて遂行されました。ここに記して謝意を表します。

(小山 孝一郎) 


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宇宙科学研究本部一般公開を開催



本館ロビーの「はやぶさ」展示ブースにて

 夏もそろそろ終わりの8月28日(土),JAXA統合後初の宇宙科学研究本部一般公開が相模原キャンパスにて行われました。小雨のぱらつく天気であったことや,夏休みも終盤(宿題は?)であることから来場者数が心配されましたが,結果的には1万1400人を数え,まずまずのにぎわいでした。どのブースでも趣向を凝らした展示が見られましたが,特に実験やクイズなど体験型の展示が例年より増えたようでよかったと思います。水ロケットは,今回も大人気でした。2005年初めに打上げが予定されているX線天文衛星ASTRO-EIIのフライトモデルを見てもらうこともできました。本館ロビーにお目見えした小惑星探査機「はやぶさ」実物大模型も注目を集めていたようです。野口宇宙飛行士に駆けつけてもらえたことは,これまでと違う目玉となりました。

 統合後初ということもあり,宇宙科学研究本部の特色をアピールするために,実行委員会では標語(「あつまれ!地球人」)やポスターなどにも力を入れました。その効果のほどは分かりませんが,来場された皆さんが“地球人”として宇宙の夢を見られた一日であったなら,と思います。

(今村 剛) 


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ISASニュース No.282 (無断転載不可)