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MUSES-C 日米ジョイントサイエンス会議

 MUSES-Cは一部分,工学と理学にまたがって,日米の協力関係が持たれています。理学に関係する部分では,搭載機器である撮像カメラ,近赤外線分光器,ライダーによる観測にそれぞれ米国側からの研究者が参加,協力します。また持ち帰られたサンプルの日本での初期分析に参加すること,およびサンプルの10%の供与やこれへの日本研究者の参加などが予定されています。過去3回,毎年1回のペースで標記の会合がもたれてきました。今年は8月2021日2日間,宇宙研にて行われました。

 まずプロジェクトの進捗報告,各サイエンス機器のFM試験,キャリブレーション試験の進捗状況,運用計画の報告などの後,データ処理その他についての協力内容について話し合い,基本的な点について科学者レベルで合意を得ました。探査対象小惑星の名前についての候補も2〜3の提案がありました。回を重ねるにつれ,メンバー間の気心も知れ,信頼関係もできてきているように思いましたが,ミッションが近づいてくるにつれ,観測運用やデータ処理方法に関して双方の間でより緊密な連絡と日常的な議論の必要性を感じました。初日にFM試験中のMUSES-C探査機の見学を行いましたが,4E5Eといったサイズのクリーンスーツや大きな靴を探すのに慌てました。

(橋本樹明) 


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MUSES-C 総合試験の続報

 2001年12月に始まった MUSES-C の総合試験は,7月に大きなステップである機械環境試験を終えました。これは各軸の振動試験と衝撃試験で,打ち上げ時の環境を模擬したものです。その後,太陽電池パネルの火工品試験,レーザ高度計と近赤外分光器のアライメント試験,機械環境試験向けに入れていた擬似推薬の排出,近距離レーザ距離計とサンプラトリガ用の距離センサの連動試験,太陽電池の照射試験などと目まぐるしい日程を終え,今は熱真空試験の準備として熱電対の張り付けを行っています。

 折しもスケジュールの中で,一般公開が行われましたが,MUSES-C の総合試験では日程マージンが少なく,土曜返上で作業を行っていたため,ご見学いただいた方々には実際の臨場感ある作業風景をご覧いただけたものと思います。探査機全体も,構造モデルの時とは違い,今はまさに飛行前のその勇姿を示していましたので,見学いただいた子供さんたちも満足してもらえたかなと思います。

 最近は,ようやく世の中の関心も集まってきたのでしょう,見学者が非常に多くなってきました。一番関心を持っていただいているのは,サンプラかなと思います。次はカプセルでしょうか。ほかの天体から標本を持ち帰ろうということですから,当然といえます。ただ,このつ,本当にご覧いただけた方は,とても幸運だといえるでしょう。作業上の手順などで,どちらかがはずしてある場合が多く,試験が始まって以来,延べで2週間ほどしか両方がついていたことはなかったかもしれません。ましてサンプラが伸展していた瞬間となると,プロジェクトの中ですら,見たことがない方も多いかと思います。さて,あなたはご覧になりましたか

(川口淳一郎) 

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INDEX衛星のFM機器合わせ

 INDEX衛星は,2002年FM開発期間にはいっています。7月には筑波と相模原にて,MTM振動試験,音響試験をこなし,FM機器あわせを,8月中旬にかけて行いました。10月からは,FM一次かみ合わせ試験に入ります。

 INDEX衛星は,H-2Aの副次的なペイロードとして2004年度打上げを予定している60kg級の小型衛星です。衛星技術に関する先進的な開発成果をいち早く軌道上で実証して,次なる衛星技術開発の早いサイクルへつなげていくための,先進的技術開発衛星です。1台の高速CPUですべての衛星機能を処理する統合化制御システム,高密度リチウムイオン次電池,SOIデバイス等の搭載実験をします。理学ミッションとしては,理学委員会をからの公募の結果,オーロラの微細構造観測のための3波長カメラと,粒子計測器が搭載されます。

 INDEXは,先進的な衛星機器を搭載している一方で,衛星のシステム設計,搭載ソフトウェアの開発,衛星試験は,衛星システムメーカーにたよらず,宇宙研の職員の手でこなしています。その実践的開発のなかから,次世代の衛星技術の萌芽をうみだすインキュベーターの役割を担っています。ベンチャー技術者と密な協力関係をもちながら,技術に立脚した試験作業,討議のなかで,新4階で,楽しく試験をこなしております。

(斉藤宏文) 


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第二回ASTRO-E2 Science Working Group Meeting
         (8/29-30, 2002. Waikoloa, USA)

 2004年度冬期の打上を目指してFM製作の始まっているASTRO-E2SWGの会議が8月末,米国で行われた。参加者は日本側34名,米国側31名(含NASA本部3名),欧州からのアドバイザ3名であった。最初の各機器,ソフトウエアチームからの現状報告によれば,若干の遅れはあるものの,おおむね順調に準備が進んでいる。勿論,「試験の結果,期待通りの性能が確認された」と一言で済まされた報告のために,それぞれのチームがこの会議までに大変な努力を重ねたことは想像に難く無い。今回の会議で最大の議題は,ASTRO-E2の目玉である高分解能X線分光素子のピクセルフォーマットの選択であった。ASTRO-E以降,エネルギー分解能等の向上と次元アレイ化がはかられ,ASTRO-E2倍の分解能6eV6X6のフォーマットで得られることが分かった。会議ではASTRO-E以前の20倍も高い分解能で,輝線の微細構造,熱運動の検出が可能になり,チャンドラ,ニュートンで見られない新たな世界が拓かれる期待が述べられた。技術的にはASTRO-Eのタイプの素子はすべての試験を終了しているのに対し,新しいタイプはほぼ確立されているものの,まだ若干の試験を残している。技術的,時間的に詳しい議論をした上で,我々としては,今後の試験で問題がない限り,新しいタイプを目指すことを決めた。会場はリゾート地にあり,休暇を楽しむ人々を横目に熱い議論を闘わせることとなった。

(國枝秀世) 



ASTRO-E2 のSWG の一コマ

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ASTRO-F 衛星FMの一次かみ合わせ試験が終了

 赤外線天文衛星ASTRO-Fのフライトモデル(FM)の一次かみ合わせ試験が,飛翔体環境試験棟において,4月から行われてきました。試験はほぼ予定通りに行われ,8月の初旬に一次かみ合わせ試験は終了しました。現在,ASTRO-Fは再び分解され,各サブコンポーネントの試験を行っています。宇宙での高感度の赤外線観測を行うために,ASTRO-Fの観測機器は,約-270℃という極低温に冷却されます。そのために,クライオスタットと呼ばれる大きな真空容器の中に,観測機器を全て収めます。この容器の中に液体ヘリウムを入れて,観測機器を冷却します。観測機器の試験の際には,液体ヘリウムを特に低温に保つために,大きな真空ポンプが24時間体制で動き続けています。一次かみ合わせ試験の中では,多くの問題が発見されました。これらの問題を解決し,2003年4月から総合試験が行えるよう,チーム一丸となってとりくんでいます。

(中川貴雄) 



一次かみ合わせ中の ASTRO-F

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これも魅力(南日本新聞8/17付け「記者の目」より)

 文部科学省宇宙科学研究所の観測ロケット2機の打ち上げ取材で7月30日から5日間,内之浦町の鹿児島宇宙空間観測所に通った。実験は夏場,高度100km周辺の電離圏に突発的に発生し,電波などの異常伝搬を引き起こす「スポラディックE層」の構造や発生要因を探るのが目的だ。そのため普段と違い,好天でも目当てのスポラディツクE層が出現しなけれぱ,打ち上げはない。「突発的」というから,たびたび出現するものと思っていたら,少々甘かった。結局,発射場から約500m離れた峠で4晩午後8時から3時間半くらいの待ち時間を過こすことになった。2日目からは虫よけスプレーと敷物が必需品に。疲れてきたら寝っ転がって待つのだ。

 やっとロケットが打ち上がった8月3日も,直前まで打ち上げの気配は全くなし。「きょうも延期か」と帰り支度を始めた午後11時すぎ,管制室の動きが急に慌ただしくなったと思ったら,ロケット2機はあっという間に星空に駆け上がっていった。

 「非常に活発なスポラディックE層をとらえられた」。未明の記者会見,疲労の色ありありながらも,満足そうな担当者の表情に,こちらの疲れも吹っ飛んだ。

 しかし,今回の取材で何より感じたのが予定調和的なものとは違う「不確実」のおもしろさだ。打ち上げを待つ間,普段はよく見ない満天の星を眺め,熱心な見物客と宇宙の話題で話が弾んだ。待ち時間もロケット打ち上げの大きな魅力と考えれば,楽しい。

(鹿屋支社・深野修司) 


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