No.194 |
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M-VロケットはM-3Sロケットに比べ,耐環境条件が厳しく,さらにファイア・イン・ザ・ホール時に生ずる過酷なパイロショック対策をしなければならなかった。テレメータ送信機や計装機器では発信器やリレー等を数多く使用している。このため,宇宙研,メーカで何回も打合せを行い,いろいろな対策を考え,試験をし,最終的にショックマウント方式を採用することにした。
とにかく,ロケットからの情報はすべてテレメータを通して送られてくる。失敗は許されない。絶対大丈夫と思っていても,常に不安が付きまとう。そんな心境の中,フライトオペレーションを迎える。KSCでのM-V-1号機フライトオペレーションでは,S-520-18号機の打上げとも重なり,テレメータセンターで作業する実験班員が今までに比べ多い。朝,その日の作業の確認のため打合せを毎日のように行ったが,テレメータセンターの控え室は入りきれない程であった。
M-Vロケットでは第3段に搭載したTMS-Dに姿勢制御情報があり特に重要である。この受信は10m台地にある10mパラボラアンテナで行われる。10m台地とテレメータセンターとは昇交橋を挟み位置されており車で数分でいける。ところが,昇交橋は補強工事のため通行が出来ない。このため,実験場を一旦出て町に向かい途中運動公園に通ずる経路をとらなければならない。これが約15分かかる。私は電話一本で10m台地から作業中の実験班員を呼び出せるが,呼ばれた方は15分かけふうふう言いながらテレメータセンターに駆けつける。
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さて,打上げ当日,皆にロケットの音響振動のため建物は揺れるであろうから,上から物が落ちないように,また,電源ブレーカーも固定するよう指示し,打上げを迎えた。打上げ時の音響振動はM-3Sロケットに比べ数倍激しく感じた。対策をしておいてよかった。
発射後75秒のファイア・イン・ザ・ホールから第2段モータ燃焼中は,当初から予測したとおり回線状態は極端に悪く,正常にデータを受信することは出来なかったが,TM-TVがしっかり飛翔状況を画面を通し伝えており,また,宮崎ダウンレンジ局からは正常なデータが刻々送られてきているため,緊張の中に安堵感を感じ,受信状況を指令電話で本部に伝え,成功裡に実験を終えることが出来た。
しかし,既に2号機以降のスケジュールも進行している。いつになっても気が休まりそうもありません。
(河端征彦)
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