4.3 宮崎ダウンレンジ局
ロケット飛翔中の状況を地上で知る目的で,様々な情報が電波を使って送られる。その内容はロケットの飛翔制御装置の作動状況・振動・衝撃・温度等広範囲である。電波は基本的には内之浦のアンテナで受信されるが,ロケットモータの燃焼中は,噴煙ガスが電波の通り道を遮断してしまうために,十分な通信が困難になる場合がある。
M-V-1では2段目のロケット燃焼中,内之浦の受信アンテナはロケットの真後ろを見ることになるため,噴煙ガスがロケット側の送信アンテナと内之浦の受信アンテナの間に入ってしまい,時にはロケットからの電波強度は10,000分の1以下に低下してしまう。一方2段目ロケットの燃焼中には,飛翔の成否を決める重要な制御が行われており,状況によっては直ちに地上から指令電波を送る必要がある。そこで噴煙ガスの影響を避けるために,ロケットを横方向から見ることの出来る宮崎大学の構内に移動型の受信局を仮設して,内之浦受信局をサポートした。
効果は明白で,内之浦局でデータが取得困難となった時間帯にも,飛翔状況の判定上重要な情報をリアルタイムでKSCの担当者に提供することが出来た。
このダウンレンジ局はM-3Sの時にも宮崎医科大学構内に設置されたが,今回はその能力を大幅に増強して,宮崎大学(工学部)の方に仮設させて頂いた。同大学の高岸邦夫先生を始め,事務部門,施設関連の方々に大変お世話になった。紙面をお借りして心より御礼申し上げる。
(橋本正之)