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「はやぶさ」の地球帰還直前の光学望遠鏡による観測について

この文章は、大型の望遠鏡で天体観測を行うことに慣れている人向けに書かれたものです。文章中に説明がありますように、大気圏に突入する前の「はやぶさ」の光度(明るさ)は非常に暗いので、肉眼はもちろんのこと、小型・中型の望遠鏡でも観測することは難しいと予想されます。 ここでは、基本的には、口径1mクラス(ないしそれ以上)の望遠鏡をお持ちの天文台、観測所向けに情報を提供しています。

「はやぶさ」は地球に戻ってくる直前に、リエントリカプセルを切り離します。リエントリカプセルは、そのまま大気圏に突入しますが、カプセルの後を追うかたちで「はやぶさ」も大気圏に突入します。そのときに、カプセルや「はやぶさ」本体は、流星のように発光することになるでしょう。

リエントリカプセルや「はやぶさ」が流星となって流れるのは、高度が100kmから50km程度のところですので、オーストラリアのウーメラ立ち入り制限区域付近でのみ観測されることになります。ここでは、「はやぶさ」が流星となる前に、光学望遠鏡によって観測する可能性についてご説明します。

「はやぶさ」のリエントリは、日本時間で6月13日の午後23時頃となりますが、6月13日の日没後に「はやぶさ」は日本から可視域にあります。
場所によって少し異なりますが、だいたい19時で高度が45度くらい、その後、22時で高度10度くらいにまで下がります。この間、探査機までの距離は、10万km程度から4万km程度にまで変化します。ただし、太陽、探査機、地球の位置関係があまりよくないので、「はやぶさ」の明るさはかなり暗いことが予想されます(下記の注)。
つまり、小型の望遠鏡での観測は難しい可能性があります。

このように観測の条件はあまりよくないのですが、もし、観測を試みていただける方がいらっしゃいましたら、是非、お願いします。

※具体的な位置予報につきましては、いくつかの地点について、下に掲載します。

注1:明るさの予測は難しいのですが、例えば、静止軌道付近にある衛星を観測すると12〜16等くらいになるようです。「はやぶさ」の場合には、距離がこの静止軌道の衛星より遠いのと、太陽との位置関係がよくなくて、地球から見ると太陽電池のパネルの裏側(太陽の光があたっていない方)が見えることになります。したがって、静止軌道付近にある衛星よりもかなり暗いことが予想されます(図1参照)。

注2:6月12日の日没後でもほぼ同様な時間帯に「はやぶさ」の観測ができますが、距離が50万km程度となってしまいますので、より暗くなってしまいます。

図1 地球に接近する「はやぶさ」の軌道。
太陽の周りの地球の公転運動を止めた回転座標系で見たときの、地球に接近する「はやぶさ」の軌道を示す。この図で太陽はX軸の負の方向にあり、XY平面は黄道面に対応する(軌道を黄道面に投影した図である)。
軌道に記した時刻は、2010年6月13日における世界時である(世界時に9時間を加えると日本時間になる)。「はやぶさ」は基本的に太陽方向に太陽電池のパネルを向けているので、この図では、太陽電池のパネルの面は左方向を向いていることになる。従って地球から見ると、太陽電池のパネルの光が当たっていない面(裏側)が観測されることになる。

「はやぶさ」観測のための予報値

「はやぶさ」の位置の予報を、赤経と赤緯の値で示します。
また、参考までに、「はやぶさ」の高度と「はやぶさ」と地球の距離を示します。

・北海道(北見)   : 位置予報高度の図
・宮城県(仙台)   : 位置予報高度の図
・東京都(三鷹)   : 位置予報高度の図
・岡山県(美星)   : 位置予報高度の図
・沖縄県(石垣島)  : 位置予報高度の図
・ハワイ(マウナケア): 位置予報高度の図

これらの予報値は例として計算したものであり、観測が行われる場所というわけではありません。予報値は、実際に観測される位置と微妙に異なる可能性があります。また、他の地点についての予報値が必要な場合には、吉川真(yoshikawa.makoto@jaxa.jp)までご連絡ください。
そのときに、観測地の位置情報として次のいずれかを送ってください。
・MPCの観測所コード
・MPCの観測所データと同じ情報
 (参考:新しいウィンドウが開きます http://www.cfa.harvard.edu/iau/lists/ObsCodesF.html
・観測地の緯度、経度、標高
なお、天文台・観測所名、観測地(都道府県・市町村名)、使用する機材についての情報もお知らせください。

もし、観測が成功しましたら、ご一報いただけますと幸いです。

2010年6月10日

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