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トピックス

宇宙科学研究所への名称変更にあたって

4月1日、宇宙科学研究本部は、名称を「宇宙科学研究所」と改めることとなりました(JAXA組織改正による)。

今回の名称変更・一部組織改正は、JAXAにおける宇宙科学研究を更に推進するための取り組みの一環として実施されるものです。理事長の諮問委員会である宇宙科学研究推進検討委員会(本島修委員長)の4つの提言(注1)を踏まえ、宇宙科学研究所は、宇宙科学の特性に最適な組織体制・運営体制を実現し、大学との緊密な協働関係などにより、宇宙科学研究を推進するとともに、その研究成果を通じて、宇宙開発利用への一層の貢献を図ります。

その意味で、名称変更は、私たちの取り組みの重要な第一歩です。「宇宙科学研究所」の名の下に、私たちは、研究者の自由な発想を尊重する大学と同じアカデミックサークルに軸足を置き、委員会の提言にあるように「一定の独自性と自律性」を持って研究活動を進めていく組織であること、その研究活動を通じて、JAXA全体の活動の支えとなる組織であることを、先ず自ら再確認し、その姿勢を内外に示したいと考えます。そして、新たな「宇宙科学研究所」として、これまで築いてきた歴史と伝統の上に、着実な成果を重ねていきたいと思います。

名称変更に続いて、これまで大きな成果をあげてきた大学共同利用(注2)の仕組みを充実強化し、内外の一級の研究者が集う魅力的な国際研究拠点として、開かれた自在性ある研究基盤を充実させ、総合科学である宇宙科学を新たな地平に向かって発展させるための諸改革に取り組んでいきます。これら取り組みの中でも、特に大学共同利用の強化、新たな連携システムの構築は重要課題であると考えており、大学関係者のご理解と一層のご協力をお願いします。

宇宙科学研究所は、学術研究活動や宇宙科学プロジェクトの着実な実行、大学院教育協力等による人材育成の推進とともに、JAXAの各事業本部・プログラムグループとの連携協力を一層強固なものとし、引き続き我が国の宇宙開発利用全体への貢献を推進していきます。

皆様の一層のご支援をよろしくお願いします。

2010年4月1日

     

宇宙科学研究所長 小野田淳次郎

(注1)
宇宙科学研究推進検討委員会「JAXAにおける宇宙科学研究の更なる推進のあり方について(報告)」
(平成21年12月28日)(抄)

提言1:国際的研究拠点(COE)としての継続的発展のための研究体制の強化

世界をリードする研究成果を創出してきた宇宙科学研究本部が、世界のCOEとして継続的に発展していくためには、これまで培ってきた学問的な成果と伝統に基づく研究体制を更に強化するため、JAXAはこのための取り組みを全面的に支持・支援する必要がある。これを受けて宇宙科学研究本部は、今後に向けて明確なビジョンに基づいた戦略的プライオリティを設定し、研究組織・体制の改革充実を進め、国内外の人的資源の流動性の向上を図るとともに内外の一級の「知」が結集し、新たな課題創出と課題解決の研究を推進する研究体制を構築する必要がある。

宇宙科学研究本部は、我が国の宇宙科学研究の中核研究拠点であるとともに、世界の学術の発展に重要な役割を果たす宇宙科学の国際的研究拠点(COE)として一層の発展が期待される。その研究体制の強化について、留意事項として以下の点を指摘することとする。

  • ・新領域・課題を切り拓いていく場合、従来の枠組みにとらわれずに検討する枠組み作りやアプローチに宇宙科学研究本部が強いリーダーシップを発揮すること
  • ・人員配置の中長期計画を策定し、計画的に研究活力の維持向上を図ること。研究組織の中核に優れた人材を確保しつつ、任期制の導入、流動部門の設置による大学との相互乗り入れなど流動性の向上、外部資金の活用など人材資源の確保に多様な手段を検討すること。また、研究者、技術者、研究支援者がともに高い動機を持って協働できる環境に配慮すること
  • ・国際協力による取り組みを今後も積極的に進めるとともに、研究組織の国際化を一層推進すること
  • ・JAXA全体として取り組む政策課題に重点を置いた事業(国際宇宙ステーション、月探査など)が科学との相互補完関係などにより、優れた成果があがるよう、十分な意志疎通と調整の仕組みを設けること

提言2:宇宙科学の特性を重視し独自性と自律性を有する組織形態の実現

宇宙科学研究本部を、宇宙科学研究の特性に応じた一定の独自性・自律性を持つ「宇宙科学研究所(仮称:以下同)」として位置付けるとともに、研究プロジェクトの資源確保や運営のあり方への配慮を行うなど、最適な宇宙科学研究の組織形態を実現すること。

JAXAにおける宇宙科学研究は、科学コミュニティや大学との密接な連携関係、大学との等価性、科学の論理による規範の重視を基底とした運営があって始めて、その力を最大限発揮し健全な発展を期することができる。従って、JAXAにおいて宇宙科学研究を担う宇宙科学研究本部を、その特性を重視し、法人組織の一体性、共通性を維持しつつも、組織の運営面において、研究プロジェクトの立案・実施にかかる資源確保やスケジュール、評価、研究実行インフラの運用、その他の運営上の取り扱いにおいて自律的な意思決定を可能にするなど、一定の独自性と自律性を有する特別な位置付けを持つ研究所とすることが適当と考える。

提言3:新たな大学共同利用システムの構築

JAXAと大学の人的・物的資源を含む協力関係を明確にしつつ、共同研究の実施に当たっての敷居を下げ、新たな双方向性を持つ大学共同利用システムを再構築するため、JAXAは文部科学省及び大学とも連携して、その実現に当たることが適当である。そのため、「宇宙科学研究所」をJAXA全体の窓口として、JAXAと大学との連携協力関係を強固で円滑なものとするとともに、宇宙科学を総合科学として発展させるために、優れた取り組みや潜在能力を有する大学にJAXA連携協力拠点を設置し、大学との相互乗り入れにより、大学を基盤とした新たな研究の展開を図る必要がある。

大学共同利用システムという我が国独自の研究手法は、有限の人的・物的資源を最大限に活かし、シナジー効果を生むものであり、JAXA単独の研究開発力向上と車の両輪を成すものである。限られた我が国の宇宙科学研究の裾野を拡大するためには、大学における研究の基盤を新たな仕組みにより拡充することが大変効果的である。個々の大学の取り組み及び文部科学省の支援・施策に期待するとともに、JAXAとして、その研究ポテンシャルを有効に活用するという観点に立って、大学の研究拠点の形成の支援及びその拠点を核とした交流の拡大を進めるべきである。

提言4:学術行政における宇宙科学の位置付けの明確化

「宇宙科学研究所」と大学との密接な協力関係の構築と大学共同利用機能の強化改善のため、国の学術研究推進のための施策の検討に際して、宇宙科学を科学技術・学術審議会の審議対象として明確に位置付けることを始め、「宇宙科学研究所」がそれに積極的に提案・関与できる体制を整えるよう文部科学省に対して働きかけを行う必要がある。

「宇宙科学研究所」の有する大学共同利用機能、大学とともに宇宙科学プロジェクトが企画実施されていくことを考えると、現在、大学共同利用機関との関係が制度的に明確に示されていないこと、科学技術・学術審議会が大学を含めた宇宙科学研究に関する諸課題の議論の場として積極的に活用されていないことは適切に改善されるべきである。

(注2)

大学共同利用とは、個別の大学では整備・維持が困難な最先端の大型装置や大量の学術データ、貴重な資料等を全国の研究者の自由な利用に供し、個々の大学の枠を超えた共同研究を推進する我が国独自の研究システムである。

2010年4月1日

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