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米「サイエンス」誌が「かぐや」特集号

 月周回衛星「かぐや」(SELENE)は、2007年12月の定常運用開始以来、月の起源と進化の解明に役立つ観測を行っています。このたび「かぐや」の成果が2009年2月13日発行の米科学誌「サイエンス」の表紙を飾るとともに、4編の論文が掲載されました。これは、小惑星探査機「はやぶさ」が2006年6月に、太陽観測衛星「ひので」が2007年12月にそれぞれ特集され、表紙を飾って以来のことです。

「サイエンス」に掲載された論文

1)Lunar Radar Sounder Observations of Subsurface Layers under the Nearside Maria of the Moon
月周回衛星「かぐや(SELENE)」搭載の月レーダサウンダーによる月の表側の海の部分の地下構造探査
小野高幸(東北大学)、熊本篤志(東北大学)、中川広務(東北大学)、山口靖(名古屋大学)、押上祥子(名古屋大学)、山路敦(京都大学)、小 林敬生(韓国地質資源研究院)、笠原禎也(金沢大学)、大家寛(福井工業大学)

月レーダサウンダーのサウンダーモード観測により、月の表側の海において、地下数百メートルの深さに層状構造があり、褶曲(しゅうきょく)していること、また、褶曲状況から、褶曲を起こした地殻変動は地層群の自らの重さによって発生したものであるとの従来の考えを覆し、月全体の冷却が主たる要因となっていることを発見

2)Farside Gravity Field of the Moon from Four-way Doppler Measurements of SELENE (Kaguya)
月周回衛星「かぐや(SELENE)」の4ウェイドップラ観測による月の裏側の重力場
並木則行(九州大学)、岩田隆浩(JAXA)、松本晃治(国立天文台)、花田英夫(国立天文台)、野田寛大(国立天文台)、Sander Goossens(国立天文台)、小川美奈(JAXA)、河野宣之(国立天文台)、浅利一善(国立天文台)、鶴田誠逸(国立天文台)、石原吉明(国立天文台)、劉慶会(国立天文台)、菊池冬彦(国立天文台)、石川利明(国立天文台)、青島千晶(富士通)、黒澤耕介(東京大学)、杉田精司(東京大学)、 高野忠(東京大学)

月の裏側のいくつかのベイスン(衝突盆地)は、表側の正の重力異常(マスコン)と異なり、負と正の環状の重力異常があること、また表側の一定サイズ以上のベイスン(衝突盆地)に必ず存在するマスコンが、月の裏側には存在しないことを発見
※この実験に用いられたリレー衛星「おきな」は2009年2月12日に月面に落下し、ミッションを完了したことを確認しました。

3)Lunar Global Shape and Polar Topography Derived from Kaguya-LALT Laser Altimetry
月周回衛星「かぐや」搭載レーザ高度計(LALT)によって得られた月の全球形状および極域地形図
荒木博志(国立天文台)、田澤誠一(国立天文台)、野田寛大(国立天文台)、石原吉明(国立天文台)、S. Goossens(国立天文台)、 佐々木晶(国立天文台)、河野宣之(国立天文台)、神谷泉(国土地理院)、大嶽久志(JAXA)、J. Oberst(ドイツ航空宇宙研究所)、C. Shum(オハイオ州立大学)

レーザ高度計のデータを用いて、分解能0.5度以下の月全球地形図を作製(従来のULCN 2005モデルに比べて2桁高精度)。月の最高地点はDirichlet- Jackson盆地の南端、最低地点はAntoniadiクレータの内部で標高差は19.81kmになること(ULCN2005では17.53km)、また水平スケール数十キロメートル以下の地形の起伏は、ULCN 2005モデルの2倍以上あることを発見

4)Long-lived Volcanism on the Lunar Farside Revealed by SELENE Terrain Camera
月周回衛星「かぐや(SELENE)」搭載の地形カメラによる月の裏側のマグマ噴出活動の長期継続
春山純一(JAXA)、大竹真紀子(JAXA)、諸田智克(JAXA)、本田親寿(JAXA)、横田康弘(JAXA)、安部正真(JAXA)、松永恒雄(国立環境研究所)、小川佳子(国立環境研究所)、宮本英昭(東京大学)、岩崎晃(東京大学)、佐伯和人(大阪大学)、山路敦(京都大学)、浅田智朗(会津大学)、出村裕英(会津大学)、平田成(会津大学)、寺薗淳也(会津大学)、鳥居雅也(富士通)、C.M. Pieters(ブラウン大学)、J-L. Josset(スイス宇宙研究所)

モスクワの海の一部領域など25億年前に形成された領域がいくつか見いだされ、裏側においても海を形成するような内部活動が、少なくとも25億年前まで継続していたことを発見

月周回衛星「かぐや」(SELENE)サイエンス特別編集号について(PDF:2.62MB)

2009年2月13日

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