「かぐや」の成果続々!
「地形カメラによる月の裏側の海の年代推定」「スペクトルプロファイラによる月クレータ中央丘の岩相に関する発見」「太陽風イオンの月面反射」「レーザ高度計による月極域での日照条件」など、月周回衛星「かぐや」搭載の観測機器による成果が学会誌などに続々発表されています。
「かぐや」の状況と併せて、12月3日の宇宙開発委員会での報告をご紹介します。
「かぐや」の状況
(1)2008年10月31日定常運用を完了しました。11月1日から後期運用を実施しています。元素分布についてのガンマ線分光計(GRS)の4ヶ月間停止分を含む観測機器による観測を実施中です。
(2)これまで取得した観測データに基づく初期的解析の結果、科学雑誌「サイエンス(Science)」、米国地球物理学会等へ投稿しています。最新の受理あるいは出版済みの論文は次のとおりです。
1)サイエンス(11月7日(米国時間)オンライン版 掲載)
- Long-lived Volcanism on the Lunar Farside Revealed by SELENE Terrain Camera
2)米国地球物理学会Geophysical Research Letters誌
- Discovery on the lithology of lunar crater central peaks by SELENE Spectral Profiler
- Illumination conditions at the lunar polar regions by KAGUYA (SELENE) laser altimeter
- Solar wind proton reflection at the lunar surface: low energy ion measurement by MAP-PACE onboard SELENE (KAGUYA)
3)米国地球物理学会Radio Science誌
- Pico-second Accuracy VLBI of the Two Subsatellites of SELENE (KAGUYA) using Multi-Frequency and Same Beam Methods (条件付き受理)
(3)普及・啓発活動などについて
- 2008年11月11日国際月探査作業グループ(ILEWG:International Lunar Exploration Working Group)によるILEWGサイエンスアワードを「かぐや」サイエンスチームが受賞しました。これは、1年間の「かぐや」の観測運用で得られたデータから作成した重力場、地形図、高分解能の画像などの成果の公表に対するものです。
- Google/YOUTUBEを用いたHDTV映像などの配信開始(JAXA/SELENEプロジェクトチャンネル)を、NHKおよび観測機器チームと協力し、12月から開始しています。
http://jp.youtube.com/user/JAXASELENE
- 来年の世界天文年(IYA2009)にあわせて、これまでの観測データなどを用いたデジタルプラネタリウム対応のコンテンツ、成果DVDなどを準備中です。
- 日本サウンドスケープ協会主催の「第5回 音の出る地図コンテスト」において、レーザ高度計の観測データを可聴化(高度データを音程になおしたもの)したMoon bellシステムがグランプリに選定されました。

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