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スウィフト衛星チームがアメリカ天文学会の2007年のロッシ賞を受賞

ガンマ線バースト探査衛星「スウィフト(Swift)」のチームが、今年のアメリカ天文学会のロッシ賞を受賞しました。ロッシ賞は、高エネルギー天体物理学の分野で、その年の最も優れた研究をしたグループに授与されます。

スウィフト衛星は、NASAを中心に国際協力で開発された天文衛星で、日本からは、JAXA宇宙科学研究本部と東京大学、埼玉大学、東京工業大学がチームメンバーとして参加しています。この衛星は、宇宙最大の謎の一つ、最も激しい爆発現象「ガンマ線バースト」を探るために、2004年11月に打ち上げられました。これまでに200個を超えるバーストを捉え、X線、可視光による詳細な追尾観測を行い、その正体に迫る画期的な発見を多くもたらしました。今回の受賞はその優れた科学的成果と、それを実現した衛星チームの力への高い評価によるものです。

ガンマ線バーストは、100億光年もの彼方から突然に明るいガンマ線(*)がやってくる現象で、宇宙最大の爆発現象です。しかし、1秒から5分ほどしか続かないため、その正体探しは簡単ではありません。スウィフト衛星は、ガンマ線バーストを検知すると直ちにその方向を精度よく計算し、1分という画期的な短時間で自律的に衛星の向きを変え、X線や可視光といった、ガンマ線よりも高い精度を持つ光での追尾観測を始めます。ガンマ線のあとに数時間つづくX線の「残光」を捉えることで、その現象が何億光年かなたの、どのような銀河で発生したのかを知ることができます。

この爆発現象は、巨大な星がその燃料を使い尽くしてブラックホールになるときに発生するさいごの大爆発と関わりがあると考え られていますが、その仕組みの解明はまだ始まったばかりです。ガンマ線やX線、可視光の変化は、爆発の様子を教えてくれる重要な手がかりであり、今までにない初期からのデータを、沢山のバーストから得られるスウィフト衛星によって、この宇宙最大の爆発現象の正体が少しずつ明らかになってきました。

チームリーダーのニール・ゲールス博士(NASAゴダード飛行センター)のコメント:
「スウィフト衛星の優れた科学成果と、それを実現したチームの人々の力が評価されました。この画期的な衛星は、運用の改善など更なる進化を続けており、今後もすばらしい成果が得られるでしょう。」

日本は2000年より、宇宙科学研究本部、東京大学、埼玉大学がスウィフト衛星の主検出器であるガンマ線望遠鏡の開発に大きく貢献し、また2003年からは東京工業大学も地上の望遠鏡を用いた可視光の追尾観測チームに貢献しています。

*ガンマ線とは?:
光の仲間で、可視光はもとより、紫外線、X線(レントゲン線)よりもさらにエネルギーの高い光のこと。透過力が高く、医療用CTなどでも使われてている。

2007年3月5日

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