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「はやぶさ」航法カメラ画像を使った相対距離の推定について

「はやぶさ」は、航法カメラ(ONC)でイトカワの見える方向を検出し、レーザ高度計(LIDAR)でイトカワまでの距離を計測することによって、3次元の相対位置を知ることができます。しかし、レーザ高度計のビームの幅は約0.05degほどしか無いので、「はやぶさ」の姿勢をイトカワに向けて観測しているときには距離を計測できますが、アンテナを地球に向けて通信しているときにはレーザのビームがイトカワにあたりません。そこで、広角の航法カメラだけを使って、イトカワとのおおよその距離を推定する方法を考えてみました。

カメラに写るイトカワの像の大きさは、イトカワとの距離に応じて変わります。「はやぶさ」の航法カメラには、写った物体の見える方向とその大きさを計算する機能があります。この機能を使えば、サイズが大きく地上に送信するのに時間がかかる画像データを用いなくても、数値データだけでイトカワからの相対位置を推定することが可能です。ところが、イトカワの形状は球ではないので、距離が同じでも向きに応じて大きさが異なって見えます。そこで、これまでの観測データから、イトカワの自転の動きとそのときの見える形を予想し、これを補正すれば、カメラに写ったイトカワの大きさ(面積)からおおよその距離を求めることができるのです。

図1は、10月1日〜4日の高度計の計測値とカメラで見えるイトカワの大きさ(面積)の比較です。距離が近くなると面積が大きくなるほか、イトカワの自転(約12時間)にあわせて大きさが変化していることがわかります。そこで、自転による大きさの変化を補正することを考えます。大きさの変化を正弦波(サインカーブ)状であると仮定して補正して、これから距離を推定したものが図2です。高度計の計測値とは、1kmぐらいの精度で一致していますが、イトカワの形が非対称であるため、正弦波では十分な近似ができていません。さらに推定精度を上げるように、先日のリリースでご紹介したイトカワ3次元形状モデルを使った補正を検討しています。

図1 レーザ高度計(LIDAR)の計測値とカメラに写った面積(ONC-S)

図2 カメラに写った面積から推定した高度とレーザ高度計(LIDAR)計測値の比較

2005年10月21日

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