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原始星エンベロープの全貌 すばる望遠鏡で明らかに
東京大学、国立天文台、宇宙航空研究開発機構、茨城大学、中国科学院紫金山天文台、千葉大学の研究者からなるグループは、すばる望遠鏡を用いて生まれつつある星(原始星)を観測し、星を覆う雲(エンベロープ*)の姿をシルエットとして鮮明にとらえることに成功しました。宇宙航空研究開発機構からは宇宙科学研究本部の片坐助教授がこの研究グループに加わっています。
エンベロープを持つ若い星は星間雲に深く埋もれているため、これまでその詳細な構造を調べることは困難でした。研究グループは、エンベロープの構造が赤外線星雲を背景としたシルエットとして浮かび上がることに注目しました。観測の結果、エンベロープは単純な形態をしておらず、外に向かって厚みを増すトーラスと両極方向に開いた円錐状のシェルからなる多重構造を持つことを世界で初めて明らかにしました。この発見は、エンベロープから円盤へ物質が流入する過程を解明する大きな手がかりになると期待されます。
我々の太陽系も生まれて間もない頃は同じような複雑な姿のエンベロープをまとっていたであろうと、研究グループは考えています。
この研究成果は、イギリスの科学誌「ネイチャー」の2005年4月21日号に掲載されました。
*エンベロープは、将来、中心の星に降り積もるとともに、星のごく近くに円盤を形成し、惑星を作る材料となります。
2005年4月21日