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第1回「はやぶさ」シンポジウム&一般講演会、盛況に開催

 日本が世界に先駆けて小惑星サンプルリターンに挑戦している「はやぶさ」探査機の小惑星イトカワ到着まで、あと10ヶ月になりました。そこで、これまで地上観測、隕石分析、物理学実験などを通じて世界中の研究者が解き明かしたイトカワの情報を一堂に集めて議論し、小惑星到着後の科学探査に備えることを目的として、去る10月20-22日、JAXA宇宙科学研究本部(神奈川県相模原市)にて、「太陽系小天体サンプルリターン国際科学シンポジウム」、通称「第1回「はやぶさ」シンポジウム〜小惑星イトカワの特徴、試料分析と関連課題〜」(主催:総合研究大学院大学、JAXA宇宙科学研究本部(ISAS))が開かれました。

 台風が関東を直撃したにも関わらず3日間の開催を通じて、国内外から100名弱の研究者が参加しました。その中には、30年以上前のアポロ計画で月面試料を初めて分析した隕石学の大御所やNASAやESAの次世代小惑星ミッションの提案責任者から、「はやぶさ」の運用に参加している日本の大学院生まで、様々な専攻分野と幅広い年齢層の研究者が含まれていました。海外からの参加者も30名以上に達し、サンプルリターンが切り拓く新しいタイプの小惑星科学への国際的な関心の高さを裏付けていました。

 シンポジウムでは、「はやぶさ」ミッションの目的と現在の状況についての報告が行われた後、小惑星イトカワに関する地上観測,物理計測,地質学,衝突実験、軌道進化、関連隕石・宇宙塵の分析といった学際的なテーマが70本以上発表され、熱心な質問と高レベルな議論が交わされました。その結果、「はやぶさ」の狙うべき科学目標が一層深められ、また世界の小惑星科学における「はやぶさ」ミッションの重要性も一層強く認識されました。最終日には、NASAスターダスト計画やESAのドン・キホーテ計画など、世界中の小天体探査計画と日本の協力体制についてのディスカッションが設けられるなど、「はやぶさ」の先を見据えた議論も展開されました。海外からの参加者からも高い評価を受け、次回のシンポジウムにもぜひまた参加したいとの声が数多く聞かれました。

 21日には「はやぶさ」の運用・管制室や電気推進エンジンの開発実験室などを訪ねるISAS所内ツアー、「はやぶさ」原寸モデル前での集合写真、ポスターセッション、バンケットも開催されて、国内外の研究者はJAXAの活動への理解と互いの親交を深めました。23日には海外からの希望者を中心に、箱根への地質学視察ツアーも行われました。

 今回の「はやぶさシンポジウム」は三部構成の第一弾として企画されました。第二弾は「はやぶさ」探査機が小惑星イトカワの全球探査と試料採集を終えて地球への帰路に向かっている最中に「その場観測」の初期成果(2006年頃)を、第三弾は帰還カプセルによって地上の研究室にもたらされる小惑星試料の初期分析結果(2008年頃)を、それぞれ発表・議論する予定です。これら一連の学術会議を通じて、「はやぶさ」ミッションの進行とともに、小惑星に対する人類の理解がどれほど飛躍的に変遷・発展していくか?を追跡していこうという趣向です。

世界各国から90名以上の研究者がJAXA相模原キャンパスに集合

30余年前にアポロ試料を分析した隕石研究の重鎮も、世界初の小惑星サンプルリターンに期待を込めた研究発表

2日目には和やかな雰囲気のバンケットで、国内外の研究者が親交を深めた

故糸川英夫教授の業績を、的川教授がユーモアを交えて紹介した特別講演

台風直撃にも負けず、白熱した議論と質問が連日飛び交った

3日間の締めくくりに、はやぶさ主任科学者・藤原教授が、各研究者から提案された小惑星イトカワの予想を総括

実寸大「はやぶさ」探査機モデルの前で記念撮影

10月23日(土)午後には、「第10回総合研究大学院大学国際シンポジウム・一般講演会」として、JAXA,NASA,極地研の研究者4名を講演者に招いた「地球に近づく小惑星と人類」講演会を、科学技術館(東京・北の丸公園)にて開催しました(プログラムは以下)。久々の行楽日和であった週末にも関わらず、中高生からプロの研究者まで、100名ほどの幅広い聴衆が集まり、人類に身近な存在である地球に接近する小惑星について、天体観測や惑星探査で明らかにされたこと、地球衝突問題、宇宙資源、南極隕石の収集など、多彩な話題をわかりやすく解説した講演に耳を傾けました。

13:00〜13:10 開会の挨拶 平田 光司(総合研究大学院大学副学長)
13:10〜14:00 「地球に近づく小惑星(1):早期発見と調査への協力」
           ドナルド・ヨーマンス(米国ジェット推進研究所・NASA地球近傍天体室マネージャー)
14:00〜14:50 「地球に近づく小惑星(2):危険?資源?科学の宝庫!」 
          エリック・アスフォグ(米国カルフォルニア大学サンタクルーズ校 助教授)
15:10〜16:00 「南極隕石の探索」
           今榮 直也(総合研究大学院大学 極域科学専攻 助手)
16:00〜16:50 「小惑星探査機『はやぶさ』で踏み出す、太陽系小天体理解への第一歩」 
           藤原 顕(総合研究大学院大学 宇宙科学専攻 教授)
16:50〜17:00 閉会の挨拶 的川 泰宣(JAXA宇宙科学研究本部対外協力室長)
司会:矢野 創(総合研究大学院大学 宇宙科学専攻 助手)

このように、第1回「はやぶさ」シンポジウムと一般講演会は成功裏に閉幕しました。ご助力いただいた総合研究大学院大学、JAXA宇宙科学研究本部、科学技術館の関係者各位、ご参加いただいた研究者、学生諸君、一般聴衆の皆様に心より御礼を申し上げます。なお開催に当たりましては、日本学術振興会、(財)日本科学技術振興財団、(財)宇宙科学振興会、日本惑星科学会、日本地球化学会よりご支援を頂きました。

平田・総研大副学長による一般講演会開会のご挨拶

100名余りの参加者からは、講演が終わるたびに、次々と質問が飛び出した。

地球に衝突する小惑星について講演するヨーマンス・JPL近地球小天体研究室室長

司会を務めた矢野・ISAS固体惑星研究系助手

講演会場入口で待つヨーマンス博士(右)とアスフォグ・カリフォルニア大サンタクルーズ校助教授(左)

一般講演会の講演者とスタッフ一同

執筆:矢野創

2004年11月17日

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