宇宙航空研究開発機構 ISASサイトマップサイトマップ

TOP > トピックス > トピックス > 2004年 > はやぶさの現状と今後の予定

トピックス

はやぶさの現状と今後の予定

「はやぶさ」は、4月9日現在地球から約1500万kmの距離を地球に向かって飛行しています。はやぶさは最終目的地の小惑星「イトカワ」に到達するために、地球の重力の力を借りて加速を行う「スイングバイ」という技術を使います。「はやぶさ」は2003年5月9日に打ち上げられた後、地球の公転軌道とほぼ同じ大きさの軌道を飛行して、イオンエンジンの推進で軌道エネルギーを蓄えてきましたが、およそ1年後にあたる2004年5月19日に地球に再度接近し、そのときに受ける地球の重力により、この貯金を引き出すとともに加速を行い、進路を「イトカワ」に向けます。重力という自然の力を利用することで、燃料なしで秒速で4kmほどに相当する加速を一気にすることができるのです。最接近時には東太平洋上空の高度3700kmをかすめるように飛行します。

 スイングバイにより計画通りの軌道変更をするには、たいへん精密に探査機の軌道を調整しなければなりません。「はやぶさ」の場合、現在の1500万kmの距離から地球近傍の所定の地点を、位置誤差1km、速度誤差1cm/s 以内で通るように調整します。

 ご存知の通り、「はやぶさ」はイオンエンジンの推力を使って常に加速をしながら航行してきましたが、3月31日からはこのイオンエンジンを停止し、探査機の軌道が精度よく決められるようにしています。そして必要に応じて2回程度(イオンエンジンではなく)瞬発力を出せる化学ロケットを用いて、軌道の微調整を行います。

 スイングバイの時には、「はやぶさ」は地球の夜側を通過していきます。この間約30分間、「はやぶさ」は"日陰"(地球の陰を通過)を体験するわけです。惑星間空間を飛行している間は、はやぶさと太陽の間を遮るものはありませんから、常に太陽電池で発電して探査機が必要とするエネルギーをまかなっていました。今回初めて「はやぶさ」はバッテリだけで動かなければならないため、そのための運用をこれから行う予定です。

 「はやぶさ」は光学航法用および小惑星「イトカワ」観測用のカメラを合計3台搭載しています。地球接近時にはこれらの性能試験を兼ねて、地球や月の画像を撮影することを計画しています。また、搭載されている近赤外線分光器(NIRS)による地球・月観測も行う予定です。スイングバイ時には、迫りくる地球の美しく迫力ある画像が撮れることでしょう。

2004年4月20日

ISASメールマガジン

最先端の宇宙科学に従事している研究者の、汗と涙と喜びに満ちた生の声をお届けするメールマガジンに、あなたも参加しませんか?詳しくはクリック!