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明けましておめでとうございます。

明けましておめでとうございます。

2004年のお正月は、まるで昨年の暮れの3ヶ月が無かったかのようにのどかに終わりました。私たち宇宙に関わっているものにとってはつかの間の癒しの期間でもありました。

2004 年は私どもにとっても日本の宇宙にとっても極めて重要な年であると考えられます。第一は、3機関が一つにまとまって作り上げた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の実質的なスタートの年であること、第二はJAXA発足後に起きた3つの重大な不具合について総括をする年であること、第三はその上で日本の宇宙につい て実現可能な展望を示すべき年であると考えるからです。

私どもの宇宙科学研究本部に即して考えますと、第一は学術として宇宙科学を研究する組織を如何にJAXAの中に位置づけるか実践的な答えを見出していく必要があります。この問題についてはJAXA発足当時に基本的な骨格は作られておりますが、まだ多くの微調整箇所を残していてスムースな運用を妨げています。新しい組織の初期不良として修正していく必要があります。

第二の問題は「のぞみ」の火星軌道投入断念に至った不具合の原因調査です。何故、この不具合の発生を避けることが出来なかったのか、と言う観点から現在に生きる示唆が得られれば不幸中の幸いであると考えます。また、一連の不具合の反省を踏まえ、現在進行中の計画の再点検を実施することを考えています。

第三は日本の宇宙科学の将来展望です。かつて日本の宇宙科学は毎年1機の科学衛星を実現することで安定した成果を上げてきました。しかし、最近、様々な理由から毎年1機を選択するという考えを踏襲するのが困難になってきています。長期的なロードマップを示すことが必要であるとの議論も盛んです。他にも強大な外国との競争にどう対処するのかといった問題も無視できません。JAXA発足は宇宙科学の進め方についても大きな変化をもたらすことは確かです。さまざまな角度から議論を尽くして新しい宇宙科学の進め方について答えを出す必要があると思っています。

宇宙科学研究本部 本部長 鶴田浩一郎

2004年1月7日

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