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三陸大気球を利用してソーラーセール膜展開実験を実施

宇宙科学研究所では、将来の深宇宙探査機の推進手段の一つとして、太陽光の光子の力を受けて進む「ソーラーセール」技術の研究を行っています。このたび、三陸大気球を利用して高度35kmからソーラーセールを模擬した薄膜構造物を自由落下させ、無重力状態における薄膜の展開挙動を見る実験を実施しました。厚さ0.03mm、直径4mの膜は遠心力により予定通り展開しました。

2003年8月23日

発  表  文

三陸大気球実験班

 平成15年8月23日(土)6時27分に平成15年度第1次大気球実験の1号機として、将来の惑星空間推進手段であるソーラーセール膜構造物展開実験を目的とした、B30−71号機を三陸大気球観測所より放球しました。気球は平均速度270m/分で正常に上昇し、放球2時間15分後に三陸大気球観測所東方40km、高度35.8kmで水平浮遊状態に入りました。その後,8時56分に、ソーラーセール実験ペイロードを切り離して、展開運動の計測実験に成功しました。その後、気球は西方に進行し、唐丹湾東北東7kmに達した9時23分に指令電波を送信し、観測器を気球から切り離しました。観測器は、唐丹湾東方約20kmの海上(東経142度10分、北緯39度14分)にパラシュートで緩降下しました。観測器および気球はヘリコプターと回収船によって無事回収されました。
  この実験は、折り畳まれた展開時直径4mの略円形の高分子膜を、回転数60rpm にて投下し、無重量かつ希薄大気の環境下で、その動的な展開運動特性を模擬・計測することを目的に行われたもので、解析手段の完備していない薄膜の動的なふるまいを数値的に模擬する手段を確立する目的で行われたもので、平成16年度に予定されている観測ロケットによる飛翔実験につなげる前段階にあたります。搭載された2台のビデオカメラの動作は正常で、精細画像を記録したビデオカメラの回収にも成功し、今後数値模擬結果との対照が進められる予定です。
  放球時の地上気象状況は、天候:晴れ、風速:1m/秒、気温:摂氏18.5度でした。

以上

ビデオカメラによるソーラーセール展開の様子

2003年8月26日

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