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国際共同水星探査計画BepiColombo、
宇宙開発委員会における評価を経て次の段階へ

太陽に最も近い灼熱の惑星である水星は、飛翔体を用いた直接観測としては1970年代の米国の Mariner 10 によるフライバイ時の観測があるだけです。Mariner 10は水星にはないと考えられていた磁場と磁気圏活動の予想外の発見をもたらしましたが、その究明は30年以上続く夢に留まっていました。

ISASでは1997年に水星探査ワーキンググループを結成し、1998年に日本独自の水星探査計画を纏めました。1999年のESA(European Space Agency)からの共同検討の提案、2000年のISASの参加意志の表明を経て、2000年にBepiColombo計画がESAの大型計画(Cornerstone)として正式に選定されました。ISASにおいては、2001年の宇宙理学委員会への提案を経て、2002年初頭に評価のうえ正式に認められています。

BepiColomboは、ESAとISASがそれぞれ探査機システムを担当する初めての本格的な日欧国際共同プロジェクトで、水星に2機の周回機と1機の着陸機、計3機の探査機を送り込み、地球型惑星として最も未知の惑星である水星について磁場、磁気圏、内部、表層を初めて多角的・総合的に詳細に観測する野心的な計画です。日本は周回機の1つである水星磁気圏探査機(MMO: Mercury Magnetospheric Orbiter)を担当します。ESAは、打上げロケット、惑星間巡行用のエンジン、もう1つの周回機である水星表面探査機(MPO: Mercury Planetary Orbiter)並びに水星着陸機(MSE: Mercury Surface Element)を担当します。観測機器に関しては、全探査機において日欧が競争開発し、観測計画については共同で立案・実施します。打上げは2010年度、水星観測開始は2014年度を予定しています。

この6月に、基礎研究フェーズ(2003年度)から開発研究(PM)フェーズ(2004年度)に着手することを要望したことに伴い、宇宙開発委員会の計画・評価部会のもとで、東京大学の佐藤勝彦教授を主査とする水星探査プロジェクト評価小委員会が開かれました(6月13日および24日)。プロジェクトの意義、目標及び優先度の設定、宇宙科学全体の方針の要求条件への適合性、開発方針、基本設計要求の妥当性及びシステム選定、リスク管理、実施体制、資源配分の観点からの厳正な議論の結果、BepiColomboプロジェクトが開発研究フェーズに進むことが妥当であると判断されるという喜ばしい結果となりました。先行して行われるアメリカのMESSENGER計画(2004年打上げ、2009年水星観測開始)でも水星環境探査や内部・表層探査が行われますが、本プロジェクトは、水星の磁場構造の全球的な観測により、地球との比較を初めて可能にするとともに、磁気圏の高精度・高分解能観測により、地球との比較から磁気圏の普遍性と特異性を明らかにするという点で、大きな成果を挙げることが期待されています。

これまでと同様に、ESAとの密接な連携のうえ、国内の大学・諸研究機関の方々、また欧州の関係研究者ともども、本格的な立ち上げを行っていく予定です。今後ともよろしくお願いします。

2003年7月25日

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