宇宙航空研究開発機構 サイトマップ

TOP > レポート&コラム > ISASメールマガジン > 2013年 > 第461号

ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第461号

★★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ISASメールマガジン   第461号       【 発行日− 13.07.23 】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★こんにちは、山本です。

 2013年度第1次観測ロケット実験は、7月20日に終了しました。
これで、内之浦出張組も 週末の特別公開に間に合いそうです。

 特別公開の準備のため、24日(水)と25日(木)の見学は休止します。
また、特別公開当日は 通常の見学は休止となります。

 今週は、宇宙飛翔工学研究系の野中 聡(のなか・さとし)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:風のお話 その5
☆02:観測ロケットS-310-42号機/S-520-27号機 打上げ終了
☆03:相模原キャンパス特別公開(7月26日〜27日)
☆04:星の王子さまに会いにいきませんか ミリオンキャンペーン2
    【募集期間を延長・8月9日(金)17:00まで】
───────────────────────────────────

★01:風のお話 その5

 5月の下旬、なかなか言うことを聞いてくれない風洞と格闘している時に、山本さんから1年半ぶりの着信が…。気がつかないふりをしようかと思いましたが、うっかり出てしまったところ、案の定メルマガのお願いでした。

これまたうっかり了解してしまったものの、再び風洞と格闘しているうちに良いことを思いつき、電池大好き現場大好きの準新人にむちゃぶりしてみたところ快く(潔く)代打を引き受けてくれました。

というわけで、ちょっとだけ猶予期間をいただいたので、じっくり書いてみようと思っていたのですが、結局締め切りの3日前に慌てて書いている状況で、つまりいつ引き受けても状況は同じであることが当たり前のようにわかりました。

次回からは素直に引き受けようと思います。


 またしても前置きが長くなりましたが、5回目の登場です。
いい加減、風ネタも厳しいであろうと思い、他のことを書いてみようと考えていたのですが、せっかく「その4」まで続いたのであればどこまでいけるかやってみたいという気持ちもあり、そんなこんなでつい先ほど「その5」にしてみようと決断した次第です。さて、何書きましょ…。


 相変わらず今年も出張が多く、今週は内之浦にいます。すこぶる暑いです。

まもなく打ち上げられるS-310-42号機とS-520-27号機のために毎日21時と23時に風船を上げています。なぜ風船を上げているかについては記念すべき第1話「風のお話」をご覧ください。
(ISASメールマガジン第170号2007年12月18日号
http://www.isas.jaxa.jp/j/mailmaga/backnumber/2007/back170.shtml

というわけで、寝不足です…。テレビを見る時間もなければ、洗濯をする時間もなく、宿でみんなと美味しい生ビー…、あ、話がそれちゃいました。つまり毎晩楽しく仕事をしています。今月は観測ロケット2機の打上げがあり、それが終わると来月はいよいよイプシロンロケットがここ内之浦から打ち上げられます。


 イプシロンロケットの開発では空力に関わるところを担当しました。つまりこれも「風」に関係する仕事です。イプシロンロケットの1/60サイズの模型を作り、ISASの風洞でマッハ0.3から4までの試験をして、飛行解析などに使う空力特性ベースラインというものを作りました。

開発が進むにつれてロケットの形も変わるので、ここ数年、毎年のように新しい模型を作っては試験を行ってデータを更新してきました。自分で決めた空力特性データを使って飛ばす初めての大型ロケットになります。

いまは打ち上げに向けた準備を進めつつ、飛行解析に設定されているデータに間違いがないかなど、ロケットの設計を進める中で決めてきたことをもう一度念入りに確認しているところです。ちなみに風洞については「風のお話 その2」をご覧ください。
(ISASメールマガジン第219号2008年11月25日号
http://www.isas.jaxa.jp/j/mailmaga/backnumber/2008/back219.shtml


 イプシロンロケットの打上げの条件にも「風」はとても重要なパラメータの一つです。地上の風はロケットが離陸するときにはロケットのほぼ真横に向かって吹きます。

ロケットが地上から離れた瞬間、風から受ける力がロケットの姿勢を乱したりするため、台風のような強い風が吹いている時には打ち上げは困難です。

地上だけではなく上空の風ももちろん重要です。風が吹いているところをロケットが通過するときにはロケットとロケットに向かう空気の流れが角度をなします。この角度を迎角と言います。風が強いところでは迎角が大きくなり、ロケットに大きな空気力が加わるため、姿勢制御の能力や荷重の制限を超えないかなどについて打ち上げの前に確かめる必要があります。そのためにイプシロンロケットの打ち上げオペレーション期間も打ち上げまで毎日風船を上げて上空の風を調べます。


 というわけで、この夏は7月の観測ロケットに引き続き、8月も内之浦で楽しく風船を上げて、なかなか言うことを聞いてくれない風に悩まされることになりそうです。

幸いイプシロンロケットの打上げはお昼頃なので、毎日早起きや夜更かしをしなくてすみそうです。さて、そろそろ一旦宿に帰って、美味しい晩ご飯をいただいてきます。20時にはまた観測所に戻ってこなければならないので、ゆっくりお風呂に入る時間もなく、みんなと生ビー…、あ、また話がそれちゃいました。

では、「その6」があるかどうかはわかりませんが、またお会いしましょう。

(野中 聡、のなか・さとし)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※