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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第453号

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ISASメールマガジン   第453号       【 発行日− 13.05.28 】
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★こんにちは、山本です。

 ISASメールマガジン宛のメールで、どうしてISAS宛なのか分からないメールがあります。
宛先は確かにISASメールマガジン宛なのですが、本文に書いてある「宛名」が見知らぬ名前なのです。

きっと、メルマガを返送して送ろうとしたのが、宛先を書き換えなかったので、ISASメールマガジンに届いてしまったのでしょう。なんだか他人の手紙を読んでしまったような感じになります。

メールの宛先は、ちゃんと確認して送信しましょう。

 もう一つ、ISASメールマガジンの感想を、JAXAメールマガジン宛に送ってしまう方もおられるようで、JAXAの担当の方から転送されて来ました。返信をしたところ、【Unknown user】で、返ってきてしまいました。

心当たりの方! 連絡をお待ちしてます。

 今週は、元ISAS広報の高木俊暢(たかぎ・としのぶ)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:お世話になりました
☆02:イプシロンロケット試験機による惑星分光観測衛星(SPRINT-A)の打上げについて
☆03:2013年度第一次観測ロケット実験
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★01:お世話になりました

 この3月でJAXAを退職しました 元ISAS広報(任期付)の高木です。せっかくの機会をいただいたので、在職中のことを少し振り返ってみたいと思います。


 私が宇宙研の赤外線グループから広報に移ったのは2010年10月でした。「はやぶさ」が帰還したのが2010年6月ですから、社会的なブームの大波が宇宙研に押し寄せている時期でした。
もはや伝説となった初のカプセル公開@相模原キャンパス特別公開(同年7月)の時には、観測(研究)のためにチリにいたので、大波も届きませんでしたが、10月からいきなり消波ブロックと化しました。
その結果、「はやぶさ」映画3作品の撮影対応など、ほんとうに貴重な経験をさせていただきました。(とは言うものの、着任当時は状況もわからずアルゴリズム行進の練習などしていましたが…)

【*ISASメールマガジン333号
 ⇒ http://www.isas.jaxa.jp/j/mailmaga/backnumber/2011/back333.shtml
 記事中の放送日時は2011年当時のものです。】


 「はやぶさ」など科学プロジェクトの成果を評価するときには、普通、科学論文の数や博士論文の数が基本的な評価軸となります。宇宙科学研究所ですから、当然と言えば当然です。ただ「はやぶさ」は、それ以外の評価軸があることを改めて示してくれました。
子ども達には夢を、大人達には日本人としての誇り(またはアイデンティティ)をもたらしました。自殺を思いとどまった人もいるという話を聞いたこともあります。
二年半の間、私は消波ブロックの一つとして、皆さんの思いの直撃を受けていました。


 私が見つけた微笑ましい「はやぶさ」効果は、相模原キャンパスの展示ロビーに幼稚園・保育園児が団体で来てくれるようになったことです。
展示ロビーには、園児達も楽しめるすばらしいアトラクション、スタンプラリーがあります。その時間、チューリップの花の色をした帽子の小さな子ども達が列をなして、スタンプの順番待ちをしています。
その姿を見ていると一瞬、研究所であることを忘れてしまいます。一昔前の秘密基地めいた宇宙研のイメージからは想像もできない光景です。時代は変わりました。


 また、毎週のようにやってくるコアな小学生もいます。その子はいつも違う自作の衛星を手にしていて、飾られている本物っぽい模型の前で幸せそうなひとときを過ごしています。
他にも、「はやぶさ」君と友達になるのが夢だったり、宇宙でお菓子屋さん(パティシエ)になりたいという女の子もいました。みんなとんでもなく宇宙にはまっています。間違いなく、この子達は「はやぶさ」世代の子ども達です。


 宇宙研を訪れる見学者の数は、どんどん増えています。お隣の博物館の入場者数に追いつくのも、時間の問題になってきました。
ただ、今の展示ロビーは、宇宙研の活動を十分伝えられるほどの広さがありません。ある日の見学者(女性)の言葉が今でも耳に残っています。
「え、これだけ?」


 現状で、できる努力はしました。冷たいスチール製の応接セットが置かれていたエリアを映像視聴スペース&ラウンジにしたことで、ずいぶんと雰囲気が変わりました。


 それでも、やっぱり専用の展示館が欲しいと思うのは自然な流れです。はじめの周りの反応は「できるわけないじゃん」でしたが、徐々に話が広がっていき、調査費用がでたりしたことで一気に現実味を帯びていきました。


 ところで、JAXAの中期計画というものをご存知でしょうか。
JAXAが2003年に発足してから、5年ごとの中期目標を達成するための計画です。

この4月から新しい中期計画(第3期)がスタートしました。中期計画は、以下のページで見ることができます。
新しいウィンドウが開きます http://www.jaxa.jp/about/plan/


 この中期計画の中で、次の文言に気づかれた方はいますでしょうか?
「相模原キャンパスに関しては、新たに展示施設をもうけ、充実強化を図る。」


 在任中に展示館の落成を見ることはできませんでしたが、JAXA全体の中期計画に採用されるところまでたどり着きました。

今から5年以内には、相模原キャンパス内に展示館ができているに違いありません。何度も改訂した展示館計画の説明資料ですが、いつも表紙に次の文章を入れていました。

−「はやぶさ」世代の子ども達が集い、巣立つための中核施設として


 4月からは、宇宙環境を利用した微小重力実験のことを考える生活になりました。驚いたことに、アメリカでは子ども達が国際宇宙ステーションを使って実験をしています。すごい教育プログラムがあるものですね。(実は、日本からも応募できる?!)


 宇宙研には、研究員時代を含めて7年間お世話になりました。研究員時代には、「あかり」衛星で貴重な経験をさせて頂きました。また、広報時代には、世界が宇宙研の内に外にと急に広がり、着任時には想像もしていなかった日々を送ることができました。本当に得難い経験をさせていただきました。


 この場をお借りしまして、在任中にお世話になった皆さん、また宇宙研を応援してくれている皆さんに改めて感謝の意を表したいと思います。

本当にありがとうございました。

(高木俊暢、たかぎ・としのぶ)

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※