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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第402号

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ISASメールマガジン   第402号       【 発行日− 12.06.05 】
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★こんにちは、山本です。

 アジサイが咲き出しました。関東地方の梅雨入りも近いのかな?
その前に、台風3号が接近中です。
沖縄地方は今日、関東には、6日から7日にかけて接近する予報が出されています。大雨に注意しましょう。

 昨夜の『部分月食』は 観察できました?
次は、6日の金星の太陽面通過です。無事観測できるでしょうか。

 今週は、科学衛星運用・データ利用センターの長谷川晃子(はせがわ・あきこ)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:多くの人に支えられて
☆02:6.13「はやぶさ」帰還記念日イベント(6月13日)
☆03:2012年度第一次観測ロケット実験(7月10日〜8月31日)
☆04:大気球実験 B12-01 終了
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★01:多くの人に支えられて


「メールマガジン読者の方から、登場して頂きたいと要望が・・」

 えっ? そんなことってあるの? とビックリしてしまいました。
要望を出して下さった方、ありがとうございます。今、お読み頂いているのでしょうか。


実は、メールマガジンに登場するのは、2回目です。

1回目の内容はこちらから・・
ISASメールマガジン第263号:ありがとう

あれから、2年半が過ぎようとしています。


 私は今も運用計画の調整を担当しておりまして、この2年半の間に「あかつき」「イカロス」の打ち上げ、そして「はやぶさ」の帰還、「あかり」の運用終了がありました。

また、鹿児島県にある内之浦局10mアンテナも老朽化により役目を終え、2kmほど離れた場所にある宮原局11mアンテナに切り替わりました。このアンテナを用いて、運用23年という日本で一番長寿な科学衛星「あけぼの」の運用を行っています。

特に「あかつき」「イカロス」そして「はやぶさ」運用を調整した1ヶ月間は本当に大変でした。私だけでは調整出来ず、衛星運用グループ総出で何とか無事に乗り切ることが出来ました。

また、計画停電に伴う運用の再調整もありました。運用パスを必要最低限減らし、どうしても必要な時は自家発電を稼動させて運用するなどの対策を取ることで、幸いにも科学衛星に支障はありませんでした。その時は、停電情報に誤りがないよう何回もしつこく確認したのを覚えています。

なんだかものすごい事が、この2年半の間にあったのだなと改めて思いました。


現在、ISASで運用している科学衛星は

「あけぼの(EXOS-D)」
「ジオテイル(GEOTAIL)」
「すざく(ASTRO-EII)」
「れいめい(INDEX)」
「ひので(SOLAR-B)」
「あかつき(PLANET-C)」
「イカロス(IKAROS)」

の7機です。来年以降は多くの打ち上げが予定されています。

・小型科学衛星プロジェクト「SPRINT-A」
・X線天文衛星「ASTRO-H」
・水星磁気圏探査機「MMO(BepiColombo)」
・小惑星探査機「HAYABUSA2」

(※上記4機の科学衛星は、まだ和名が付けられていません。皆さんに親しんでもらうために、打ち上げ直前や直後に和名が付けられるのだそうです。確かに「プラネットシー」と言うよりは「あかつき」の方が親しみやすいですね。)

無事に打ち上げられた後は、なんと11機もの科学衛星を運用することになります。
長く運用に携われている方にお聞きすると、過去最大数だそうです。


私の所属する科学衛星運用・データ利用センター 衛星運用グループは、運用に関わるネットワークや管制室の構築、整備などを担っており、私は運用計画だけではなく、上記の業務も担当することになりました。来年、イプシロンロケットという新しい固体ロケットで打ちあがる小型科学衛星「SPRINT-A」に対応するためにはどうしたらよいか、11機の科学衛星運用に対応出来るようにするには・・等、同グループの数人と連日連夜(?)検討を繰り広げています。

その際に大変助かっているのが、同グループの方々も含め皆さんの障がいに対する理解です。


私は、生まれつき両耳が聞こえません。(110dbの重度難聴)
普段会話するのに不自由はありませんが、相手の口の動きを読みとれないことがしばしばあります。
何度も聞き返すことになり、申し訳なく思っているのですが、それでもホワイトボードに書いて下さったり、図を書いて分かりやすく何度も説明して下さいます。

また、専門用語がとても多く飛び交い、また意味は同じでも言い方が異なる用語もあります。
例えば、運用するのに欠かせない「コマンド発行」「状態監視」という端末があるのですが、「CMD」「TLM」とも言いますし、「テレコマ系」とひとくくりで言う場合もあります。


知らない用語が出てくると、口の動きと脳内の「辞書」と照らし合わせこの言葉だ! というのが出てこなくなり頭の中で堂々巡りしていることが最近分かってきました。。これが何度も聞き返す要因となっています。
出来るだけ多くの用語に早く慣れて打ち合わせをスムーズに行えるようにしたいと思っています。

またチャット機能を用いての打ち合わせや、特大のホワイトボードシートをテーブルに広げて、読みとれなかった箇所をすぐに書いてもらうようお願いしています。
思った以上に大変な作業をお願いしているにも関わらず、当たり前であるかのように書いて下さるので とても助かっています。


前回のメールマガジンの時は、やっとスタートラインに立てたという気持ちでしたが、今は その第一歩を踏み始め、これから・・!という気持ちでいっぱいです。ここまで来るのに5年かかりました。
今後の5年間は、その一歩を加速するための重要な期間になると思っています。

障がいに対する理解と支えて下さっている皆さまへの感謝を忘れずに、私なりにコツコツと着実にやるべきことをこなしていきたいと思っています。

また、今年から「手話会」というものを始めました。
手話を知りたい、学びたいという声をあちこちで頂くようになったのがきっかけで、毎週金曜に開催しています。

もしかしたら、今年の相模原キャンパス特別公開(7/27〜28)の時は、私が手話案内するだけではなく、それぞれの専門の方のお話を、手話で直にお聞きすることが出来るかもしれません。
(手話会のメンバーにとっては、ハードルが高いかもしれませんが・・)

障がいに関係なく多くの方に相模原キャンパスに気楽に来て頂いて、それぞれの専門の方と直接お話することで、「宇宙」をもっと身近に感じて頂けたらと思っています。


(長谷川晃子、はせがわ・あきこ)
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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※