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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第194号

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ISASメールマガジン   第194号       【 発行日− 08.06.03 】
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★こんにちは、山本です。

 日曜日にやっといい天気になったと思ったら、関東まで、もう梅雨入りとなりました。その上、台風接近とかニュースで言っています。

 関東地方では、4月〜5月で例年の梅雨時の雨量があったそうです。それなのに、今年の予想は、本格的なじめじめした梅雨になりそうとか。ちょっと外れて欲しいなぁ……

 今週は、固体惑星科学研究系の早川 基(はやかわ・はじめ)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:BepiColomboで見たESAとオランダ
☆02:「はやぶさ」、地球から最遠に到達
☆03:「はやぶさ」搭載電池で電気化学会論文賞受賞
☆04:JAXA相模原キャンパス(宇宙研)一般公開のお知らせ
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★01:BepiColomboで見たESAとオランダ

 ESAとの共同ミッションであるBepiColomboプロジェクトが始まって凡そ8年が過ぎようとしています。私が感じたESAとオランダについてつらつらと書いてみようと思います。

(ESA:欧州宇宙機関⇒ 新しいウィンドウが開きます http://www.esa.int/esaCP/index.html

 プロジェクトの開始当初からESAのプロジェクトチームとは年に3〜4回ほどお互いに顔を付き合わせての会議(ESA-JAXA Progress Meetingで略してPM)を持ち続けています。最初の頃はお互いの人となりもわからず、組織の違いによる考え方の違いなどもあり、ESA側が建前論を展開し押し問答を繰り返すばかりになり、会合の途中で机をたたいて引き上げようかと日本側の参加者間で相談したこともありましたが、最近はお互いの相互理解も進んだこともあり、PM等では本音を話してくれるようになって来た様に思います。ESAという機構は基本的に官僚機構のようで、(私から見ると行き過ぎた)証拠主義な事もあり、やたらテクニカルノートなどを要求され辟易する事が多々ある事には変わりはありませんが…

 プロジェクトが進行するにつれてお互いの間で打ち合わせなければならない事柄も増えてきてはいますが、テレビ会議システムが充実してきた事もあり、テレビ会議を多用してしのいでいますが、保安上の理由だと思うのですが、ESAとの間はISDNでしかつなげない為画像の品質もそれほどではありませんし、相手の顔の表情の変化など細かなところ等はわからないのでまだまだ顔をつき合わせて会合にはかなわない気がします。

 さて、BepiColomboのおかけで年に数回オランダに行くようになりましたが、オランダに行って驚いた事をいくつか。

 まずオランダでは殆どの人が英語を流暢に話すという事。あまり不思議だったのでタクシーを利用した時に運転手の人にお聞きした事があります。
すると、「我々のように貿易で成り立っている国では相手の国の言葉をしゃべらないと生きて生きない。」と“さすがダッチ”という返事が返ってきました。もっともそのおかげで20回以上はオランダに行っているにも関わらず未だに数語しか理解できないという弊害もありますが…

 もっとも、「イタリア語かスペイン語(ようはラテン語)とドイツ語をネイティブで話せれば西ヨーロッパの国の言葉は全て簡単に話せる」とドイツ育ちのイタリア人が言ってますので日本人が各地の方言を覚える程度の苦労で各国の言葉を覚えられるのかも知れませんが。因みに数少ない知っているオランダ語の発音を英語、ドイツ語と比較すると英語とドイツ語の中間にオランダ語があるように思えます。

 また、窓が大きく家の中が丸見えの家が多い事にもびっくりします。皆どうしてだろうと不思議に思っていたのですが、「地球の歩き方」に理由が書いてありました。なんと、宗教に絡んでいて「私たちは家の中を見られて困るような暮らしはしていません」という事から居間などが丸見えなのだそうです。流石に家の中を覗き込む事は失礼に当たるわけでバスに乗っていると目のやり場に困る事も。

 バスといえば、オランダではバス、トラム(路面電車)、列車の公共交通網が発達をしており便利に利用して出来ます。最近ではタクシーは滅多に使わなくなりました。バスとトラムはSTRIPPEN KAARTという回数券を使うのが、(多分)割引率が40%以上もあるので大変お得です。乗り継ぎがあっても通しで使え、別々に払うよりも少し有利になります。

 日本では最近とんとお目にかからなくなりましたが、オランダでは頻繁にバスのストがあるようです。年に2〜3回しか行かないのに2年に1回程度はバスのストに当たっている気がしますので、かなり頻繁にストを行っているのではないかと思います。

 オランダのバスのストは通学・通勤時間帯(具体的には朝9時までと夕方16時から19時まで)にはバスは動くが料金の収受拒否を行う。それ以外の時間はバスが走らない。という物です。実は今まではこのバスが動く時間 帯にしか当たっておらず収受拒否だけだと思っていたのですが、今年の5月の出張中に平日3日間のストが2週連続で行われバスが動いていないので慌ててタクシーを頼む事態に遭遇して初めて気付きました…

 最後に、オランダに行った時はESTECに近いノルドバイク(日本語にすると北村)に宿を取る事が多いのですが、ここは有名な(?)観光地で夏場はドイツ・イタリアなどから観光客が押し寄せるのですが、実は我々日本人からすると「何の変哲も無い海岸に透明度が高くきれいなわけでもない海。何でここが観光地になるの??」という場所です。ある人曰く「ここにイタリアから来るって沖縄の人が湘南に来るようなもんだよね。」まったく不思議です。まあ、「オランダは風車の国だ!」という実感は出来ますが。

(ESTEC:欧州宇宙技術センター)

(早川 基、はやかわ・はじめ)

BepiColombo(ベピ・コロンボ)水星探査計画は、
新しいウィンドウが開きます http://www.stp.isas.jaxa.jp/mercury/index-j.html

水星磁気圏探査機MMO
http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/mmo/index.shtml

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※