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ISASメールマガジン

ISASメールマガジン 第67号

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ISASメールマガジン   第067号       【 発行日− 05.12.13 】
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★ こんにちは、山本です。
 ASTRO-F/M-V-8号機の打上げ日程が発表されました。来年2月の打上げに向けて、衛星(ASTRO-F)のグループは年末年始も関係なく準備がありますし、ロケット実験班も同じく、相模原で席を暖める暇も無く鹿児島・内之浦の実験場への出張中です。私のような居残り組(?)が暇か?というと、決してそうではありません。……
 今週は、ISAS対外協力室(システム運用部)の周東三和子(しゅう とう・みわこ)さんです。

── INDEX──────────────────────────────
★01:ペンシルロケット水平試射の地に記念碑を!
☆02:「はやぶさ」探査機の状況について
☆03:赤外線天文衛星ASTRO-F/M-V-8の打上げについて
☆04:宇宙学校・ながさき <宇宙のなぞにせまりたい!>
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★01:ペンシルロケット水平試射の地に記念碑を!

 今年は日本の宇宙開発の第一歩を刻んだペンシルロケットの水平試射から 50年目にあたることは、既にメルマガの32号で的川先生が書かれていますが、今回は水平試射が行われた国分寺市で、記念碑を作ろうという動きが始まったことをお知らせします。

 国分寺北口の階段を降りて右に折れ、線路沿いに東京方面へ数分歩くと、2001年にこの地に移転して来た早稲田実業学校があります。その野球場の一隅が歴史的なペンシル試射の行われた場所です。早実が移転してくる前は新日本製鉄のグランドでした。私は子どものとき父に連れられて、このグランドに野球の試合を見に来た事が有ります。そのときは、ペンシルロケット試射の事などちっとも知りませんでしたが……。

 まずは国分寺での実験の様子から。
 ペンシルの水平試射は1955年4月、国分寺駅前の新中央工業KK工場跡地の銃器試射用ピットを使って行われました。細い針金を一面に貼った紙のスクリーン(電気標的)が1m間隔に置かれ、ペンシルロケットは、長さ約1.5mのランチャーから水平に発射、次々とスクリーンを貫通して14m先の砂場に突きささりました。ペンシルが導線を切る時間差を電磁オッシログラフで計測しロケットの速度変化を計り、貫通した尾翼の形からスピンや飛翔経路のずれを知り、高速度カメラの助けも借りて本格的な飛翔実験のための基本データを得ることができました。

 実験班員は総指揮糸川英夫教授はじめ総勢35名、他に救護班として東大の外科から13名が参加。その他に実験班に名を連ねていない専門家も参加していました。半地下の壕での試射実験とはいえ、コンクリート塀の向こう側は中央線が走っています。塀の上に腰掛けている実験班員が、電車が近づくとストップをかけ、秒読みを中断するというのどかな実験でした。この水平試射実験は4月12、13、14、18、19、23日に行われ、試射を行った29機すべてが成功を収めました。

 ペンシルはこの後東大千葉実験場での水平試射を経て、同年8月、秋田県道川実験場で大空に向かって飛び立って行きました。
 そして50年を経た今年、ペンシルから発展した全段固体燃料ロケットM-Vによって打ち上げられた、小惑星探査機「はやぶさ」が、地球から3億km離れた小惑星「イトカワ」にみごとに着地したのです。

 国分寺に話を戻しましょう。
 数年前から有志の方々が、国分寺がペンシルロケットの水平試射の地、日本の宇宙開発発祥の地であることを、地元の皆さんに知ってもらい、国分寺の遺産として残して行こうという動きが始まりました。国分寺まつりでの展示や、ペンシルロケットの模型制作など地域での盛り上げを続ける中、ペンシル50周年を機に、市内の個人、商工会、ロータリークラブ、商店会、早稲田実業学校関係者など多くの組織がまとまって、「日本の宇宙開発発祥の地」顕彰会が発足しました。JAXA宇宙科学研究本部も、資料の提供などでお手伝いしています。

 顕彰会では、早稲田実業学校の快諾を得て、学校の正門前広場に「日本の宇宙開発発祥の地」記念碑を建立することになりました。なんと早実出身の王貞治氏の記念碑と並んでです。さらに、発祥の地記念碑には、夏に行われたペンシルフェスティバルで公募した、子どもたちの「未来のロケット」のイラストを収めるタイムカプセルも一緒に埋蔵することになりました。

 記念碑建立のための募金活動が国分寺市民を中心に進められています。募金額は出来るだけ多くの方に参加していただけるよう1口1000円です。当面の締め切りは12月末日で、除幕予定は2006年4月1日です。これまでの50年とこれからの50年、子どもたちの夢と宇宙の平和利用の願いを込めて、すてきな記念碑が出来るよう、お力添えをお願いします。

 募金振込先:郵便振込 口座番号00100-1-355573
 「日本の宇宙開発発祥の地」顕彰会
 通信欄に ISASメルマガ読者 とお書きいただけると幸いです。

「日本の宇宙開発発祥の地」顕彰会の趣意書はこちら(PDFファイル)>>
(両面印刷していただくと、下半分は郵便振替用紙として使えます)

 詳しく知りたい方は mail-magazine@isas.jaxa.jp までメールをお寄せください。折り返しご連絡いたします。

(周東三和子、しゅうとう・みわこ)

<関連ページ>
 日本の宇宙開発の歴史
http://www.isas.jaxa.jp/j/japan_s_history/index.shtml

ペンシルロケット水平発射再現実験カウントダウンページ
新しいウィンドウが開きます http://www.isas.jaxa.jp/home/pencil50/

 ペンシルロケット フェスティバル レポート
新しいウィンドウが開きます http://www.jaxa.jp/pencil50/index_j.html

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※※※ ☆02以降の項目は省略します(発行当時のトピックス等のため) ※※※