研究内容(1) 飛翔体の研究

1. 将来のスペースプレーンを目指して

当研究室では、他の研究室などと連携し、将来のスペースプレーン実現を目指し、主要キー技術の実証の手段として、気球を利用した飛翔体の研究を行っています。その一環として、2008年度に実験を行うべく、マッハ2到達機体の構想検討を実施しています。さらに、その後に続くものとして、マッハ5程度まで到達する機体の概念検討を始めています。本研究は、宇宙航空研究開発機構内の多くの研究者や学生と連携して実施しており、本研究室では機体システム設計を担当しています。

マッハ2到達機体(CAD図)
マッハ5到達機体(概念図)

 

 

2. 無重力実験システムの開発

飛翔体研究の応用として、気球落下型の無重力実験システムの研究開発を行っています。この計画では、高度40km程度の高々度に達する気球から機体を切り離し、自由落下中に無重力実験を行います。ただし、ただ単に機体を落とすだけでは、空気の薄い高々度とはいえ、空気の外乱などにより機体は完全な自由落下しないため、そのままでは、良好な微小重力環境は得られません。そのため、機体の中に、無重力実験を行う「中子」と呼ばれる球体を浮かせ、自由落下中、その中子が機体と衝突しないように機体搭載のガスジェットスラスタで機体の位置・姿勢を制御します。この2重殻構造により、機体そのものは、空気力による減速・スラスタによる加速を細かく繰り返すことになりますが、中子のほうは、機体を「風よけ」とすることで、ほぼ完全な自由落下をすることになります。これまでの2回の落下実験でシステムの成立性を確認しており、今後、本格的に無重力実験に利用されると期待しています。
この研究は、高々度気球システム、落下機体システム、無重力実験系の3つから構成されるものです。全体のマネージメントは橋本(樹)研究室が行い、その下で3研究室がそれぞれのサブシステム取りまとめを担当する、という構成になっています。当研究室は、落下機体システムの開発を担当しています。

 

無重力実験のシーケンス

 

 

機体と無重力実験部(中子)

 

 

無重力実験フライト2号機からの映像
(高度約41km)
着水した機体の様子

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