02/1213:59:39: 今日の IKAROS(2/12) - Daily Report - Feb 12, 2011
Category: Operation
Posted by: IKAROS
2月になってから通信状況が少し回復してレンジデータとテレメトリデータが取得できるように
なりました.
今回の運用からいよいよ後期運用のミッションを本格的に開始しました.
まずは,IKAROSの軌道決定です.
通常,深宇宙で宇宙機の軌道決定を行うために,3パスコースティングを実施しています.
これは,3回の運用で連続してレンジングを行うことで,3回の運用の間に宇宙機の位置が
ある程度変化し,軌道運動が把握できるという仕組みです.
この間に,ガスを噴射すると軌道が変化するので,ガスジェットは使用できません.
はやぶさでは,通常,イオンエンジンも停止して,3パスコースティングを実施していました.
IKAROSでは,ソーラーセイルによって軌道が変化しますが,3パスコースティングのために,
膜をたたむことはできないため,ソーラーセイルによる加速分も含めて正確に軌道決定を
行う必要があります.
これは,IKAROSにとって重要なミッションの一つであり,IKAROSはこの軌道決定を
世界で初めて達成し,12月まで継続して実施してきました.
しかし,地球からの距離が大きくなるにつれ,軌道決定は難しくなります.
地球から見た宇宙機の動き(方向の変化)が小さくなるからです.
IKAROSは金星を通過しましたが,これからもどんどん地球から離れていきます.
地球距離の増大は,通信状況が厳しい主要因でもあります.
IKAROSは本日の運用でスピンレートを整えてレンジングを実施し,3パスコースリングを
開始しました.
この環境下でどの精度で軌道決定できるか,まさに挑戦ですね.
次に,各機器のデータ取得です.
IKAROSの姿勢等の最低限のデータはビーコン運用でも取得できました.
しかし,薄膜太陽電池,GAP,ALDN等,多数の機器のデータ取得はテレメトリ運用
でないと厳しいです.
この通信状況でどの順番でどのデータを取得するか悩ましいですね.
どんなに観測してもデータを取得できなければ意味がない・・
深宇宙ミッションにおける通信の重要性を改めて思い知らされる日々です.(O)
2/12のIKAROS
太陽距離: 0.89AU
地球距離: 134958793km, 赤経=-93.1°, 赤緯=-19.7°
金星距離: 0.19AU(28765623km)
姿勢:スピンレート=1.6rpm, 太陽角=9deg
Today's IKAROS
Sun Distance: 0.89AU
Earth Distance: 134958793km, RA=-93.1deg, Dec=-19.7deg
Venus Distance: 0.19AU(28765623km)
Attitude: Spin Rate=1.6rpm, Sun Angle=9deg
P.S.
・今日は,いつになく早い更新です!v(^_^)v
・日本機械学会宇宙工学部門からIKAROS開発チームに一般表彰スペースフロンティアを
いただきました.「スペースフロンティア」という賞は,世界初のソーラー電力セイルの実証を
目指してがんばってきたIKAROSチームにとってとてもうれしい賞です!
230 claps
なりました.
今回の運用からいよいよ後期運用のミッションを本格的に開始しました.
まずは,IKAROSの軌道決定です.
通常,深宇宙で宇宙機の軌道決定を行うために,3パスコースティングを実施しています.
これは,3回の運用で連続してレンジングを行うことで,3回の運用の間に宇宙機の位置が
ある程度変化し,軌道運動が把握できるという仕組みです.
この間に,ガスを噴射すると軌道が変化するので,ガスジェットは使用できません.
はやぶさでは,通常,イオンエンジンも停止して,3パスコースティングを実施していました.
IKAROSでは,ソーラーセイルによって軌道が変化しますが,3パスコースティングのために,
膜をたたむことはできないため,ソーラーセイルによる加速分も含めて正確に軌道決定を
行う必要があります.
これは,IKAROSにとって重要なミッションの一つであり,IKAROSはこの軌道決定を
世界で初めて達成し,12月まで継続して実施してきました.
しかし,地球からの距離が大きくなるにつれ,軌道決定は難しくなります.
地球から見た宇宙機の動き(方向の変化)が小さくなるからです.
IKAROSは金星を通過しましたが,これからもどんどん地球から離れていきます.
地球距離の増大は,通信状況が厳しい主要因でもあります.
IKAROSは本日の運用でスピンレートを整えてレンジングを実施し,3パスコースリングを
開始しました.
この環境下でどの精度で軌道決定できるか,まさに挑戦ですね.
次に,各機器のデータ取得です.
IKAROSの姿勢等の最低限のデータはビーコン運用でも取得できました.
しかし,薄膜太陽電池,GAP,ALDN等,多数の機器のデータ取得はテレメトリ運用
でないと厳しいです.
この通信状況でどの順番でどのデータを取得するか悩ましいですね.
どんなに観測してもデータを取得できなければ意味がない・・
深宇宙ミッションにおける通信の重要性を改めて思い知らされる日々です.(O)
2/12のIKAROS
太陽距離: 0.89AU
地球距離: 134958793km, 赤経=-93.1°, 赤緯=-19.7°
金星距離: 0.19AU(28765623km)
姿勢:スピンレート=1.6rpm, 太陽角=9deg
Today's IKAROS
Sun Distance: 0.89AU
Earth Distance: 134958793km, RA=-93.1deg, Dec=-19.7deg
Venus Distance: 0.19AU(28765623km)
Attitude: Spin Rate=1.6rpm, Sun Angle=9deg
P.S.
・今日は,いつになく早い更新です!v(^_^)v
・日本機械学会宇宙工学部門からIKAROS開発チームに一般表彰スペースフロンティアを
いただきました.「スペースフロンティア」という賞は,世界初のソーラー電力セイルの実証を
目指してがんばってきたIKAROSチームにとってとてもうれしい賞です!