イカロス君に名前を呼んでもらえると嬉しいですね.
IKAROSチームの白澤洋次(しらさわようじ)と申します.
無茶ブリされるのはあまり嫌いじゃない性格ですので喜んで自己紹介を...
イカロス君が油断しているスキに1日早く書いてやったぜ!!


私は現在博士3年で宇宙研のくr...川口研究室に所属しており,
ソーラーセイルの研究開発にも参加させていただいております.
学生ということでIKAROSでの担当は何もありませんが,
多くの場面でお手伝いをさせていただいた経緯もあり
「回」の字を見るたびにIKAROSが頭に浮かぶほど思い入れがあります.
それだけに,IKAROSの成果に最高の感動を覚えています.


IKAROSには本当に学生が深く関わっています.
人材育成という目的の他にも,
時間・予算的に厳しい状況を打開する解の一つとして,リスクを冒してでも
多くの作業を学生に任せてしまおうという背景が少なからずあったものと思います.
そのおかげもあって設計から運用までIKAROSに深く関われたことを幸運に感じております.

その一方で,関わりすぎることに対する不安もたびたび感じておりました.
開発,試験の過程ではメーカーの方をはじめとして多くの方々にご迷惑をかけてばかりでしたし,
私が仕事をすることでIKAROSは完成に近づいていくという実感はありましたが
同時にIKAROSのクオリティが下がっていく,というジレンマに悩まなければなりませんでした.
そういったクオリティの低下を,職員の方々がギリギリのところで
管理しフォローして食い止めてくださってきたおかげで
IKAROSは数々の成功を取りこぼさずに済んだのだと思います.

ということで,功罪ともにありますので建前として謙虚に書きましたが,本音では
「私がいなければIKAROSはここまで成功しなかった...ふふ」と思っている猫かぶりです.


さて,自己紹介ですね.

私は主に宇宙機の姿勢力学・制御について研究しており,その他にも
IKAROSのセイルのような柔軟構造の運動力学をはじめとしていろいろな研究をやってきました.
ソーラーセイルのような世界で誰も成し遂げたことのないミッションに挑むには,
宇宙機のシステム全体に対し幅広い知識を持ち,
専門の枠を越えた視点に立つことも重要だと考えているためです.
結果,風呂敷を広げすぎたせいで収拾つかなくなってしまい,
いまだに自分の専門分野がちゃんと確立できていなくて困っているところです.

えーっと,あと...月並みですが,小さい頃から宇宙が大好きです.
昔から家に宇宙の図鑑や天体望遠鏡があったことが影響していると思います.
兄に見せてもらった天体望遠鏡の中で揺らめくちっぽけな土星の姿は今でも覚えているし,
図鑑を眺めては木星の大赤斑アーモンドを食べてみたいとか
土星の輪にかじりつきたいとかいう妄想によく浸っておりました.
(共感を持ってくれる人は多いはず!)
現在にいたっても宇宙工学にしがみついてあきらめられない理由は,
日本の科学の将来とか人類の進歩のためとかいう動機はもちろんですが
そういう昔からの感動や欲求に囚われているというのが本質な気がします.
こんなのでも許されるのであれば,今後も宇宙の仕事をさせていただきたいと思います.


だんだんと華々しいプレスリリースも減っている中でも
こうしてブログを覗いて興味を持ってくださるかたがいらっしゃるというのは本当に嬉しいです.
今後も皆さまと共にIKAROSの成果を共有していきたいと思いますので
ひきつづき見守っていただけますようお願いいたします.