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第8号 1994年5月6日発行

目次


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NASAデータセンター訪問記

 もうあれから5年ほどになるだろうか。2年間ほどNASA・ゴダード飛行センターでポスドクとして研究生活を楽しんでいた頃から。久しぶりのゴダードだが、今回は些か厄介な仕事を抱え込んでの訪問である。国際太陽地球系物理学計画(ISTP)のもとに日、米、欧、露の磁気圏衛星データを相互交換して、磁気圏を多角的に研究する総合データ解析のプロジェクトが進んでいるが、今回は、太陽風を観測している米国の衛星IMP8のデータを日本でも利用できるようにするために、そのデータベースがどのようになっているかを調べることが主な目的である。また、PLAINセンターの柱の一つとして衛星のサイエンス・データベースを作ることを計画しているが、NASAのデータセンターを見学してどの程度の規模で何が可能なのかを探るという目的もあった。

 今回は、おもに地球物理衛星に関連する部門を見学してきたがデータベース構築に関わっている人の多さには驚くばかりである。延べ40〜50人程度はいるだろうか。データ形式を研究しているグループ、衛星の生データから一時処理をしたサイエンス・データを作るグループ、そのデータを科学者が利用しやすいようにするためのソフトを開発しているグループ。また、ネットワークやCD−ROMでのデータ配布を行い、ユーザの要求に即座に対応できる体制も出来ている。単純作業的な内容から専門的知識を必要とする様々な仕事がうまく機能して動いているようである。

 さて、NASAの規模に比べると、宇宙研で現在計画中の一般公開を前提としたサイエンス・データベース構想は非常に小人数で始めることになると思われる。そのため、NASAと同じようなサービスは難しいかもしれない。しかし、利用価値の高いデータベースを作りたいと模索しており、とにかく皆さんの協力を得て出来ることから少しずつ始める努力をしているところである。
(星野 真弘)


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スーパーコンピュータとベクトル並列計算
第3回 スーパーコンピュータの性能

 前回、パイプライン処理についてお話ししました。ここでも分割された1つの命令を実行するためには1clock 必要ですから立ち上がり時間を無視すると、1clock で1つの結果がでることになります。clockスピードを上げることは性能向上につながりますが、シリコンチップでは1ns程度と限界に近くなってきています。

 clockを簡単に上げることができなくなってきていますから、最近では性能を上げるために加算、乗算など様々なパイプラインを複数持って、それらを同時に動作させます(マルチパイプライン方式)。さらにこれらを1セットとして複数のセットを持っているものもあります。○○GFLOPSというスーパーコンピュータの性能はclockの速さと1clockで動作できるパイプラインの総数で決まります。例えば、1ns(=10-9)のclockを持つスーパーコンピュータは1つのパイプラインで1 GFLOPS(1秒に109の浮動小数点演算)の性能となります。仮に加算、乗算のパイプラインを各々4つを持っていたとしますと、8倍で8 GFLOPSの性能を持つことになります。

 このように多くの演算器を持ってはいますが、同じ命令を同時に処理するわけではないので並列計算機ではありません。cpuも1つとカウントされますのでこのようなスーパーコンピュータはシングルプロセッサ型のスーパーコンピュータと呼ばれます。数年前まで国内メーカーのスーパーコンピュータは総てこのタイプでした。形式上のカタログ性能はここに書いたように計算できますが。実際のプログラムではすべてのパイプラインが同時に動作させることは一般には不可能ですし、立ち上がり時間もありますから、カタログにあるピークの性能はでません。流体計算を例にとるとせいぜい最高性能の3割から5割程度のスピードで走るようです。次回はプログラムのベクトル化と高速演算についてお話ししてみましょう.
(藤井 孝蔵)


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4,8,12,19 ?

 さて何の事でしょう。実は、コンピュータ用カートリッジテープのテープ巾です。それも、今注目しているヘリカルスキャン方式の磁気テープ装置に使用しているテープの巾です。単位は @ です。
表1にテープの仕様と容量を表にまとめてみました。比較して見て下さい。

SONY の DIR-1000を使用したテープ装置は何とテープ一巻に(カートリッジは大きめですが)80 GB(ギガバイト)以上入るのです。ちなみに大型計算機で使用しているオープンリールのテープには0.15 GB程度しか入りませんから驚きです。この SONY の装置は、横綱級で速度も早い(MUSES-B の128 Mbpsで送られてくる VLBI データの記録用として使用される)のですが高価で重量60 Lの巨体(DAT,8 @テープ装置は4 L程度)です。衛星観測データのアーカイブ用として使用するには、ちょっと贅沢な気がしています(その内欲しくなるかも知れませんが)。

将来型 SIRIUS で使用する装置としては、現在
METRUM の S-VHS テープを使用した装置を検討(試験中)しています。ライブラリ装置としては 600 巻収納、容量 8 テラバイトのものがあります。METRUM の装置のテープ一巻の容量は現在14 GBですが開発元の話によると2年後には40〜60 GBの装置(メタルテープ使用)ができる(将来的には80 GB/巻)との事です。




(加藤 輝雄)


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大型計算機に関するお知らせ

大型計算機の5月・6月の保守作業予定

 大型計算機は、各月の3回目の金曜日の午前中に定期保守作業が行われます。

M:システムメンテナンス

 尚VPP500は現在セーブホルト機能が有りませんので、保守作業の前日即ち、6月16日18:00にイニシエータが停止され、実行中のジョブが終了した後作業に入ります。             
以上を予定しておりますので、ご協力お願いします。
(関口 豊)


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編集発行:文部省宇宙科学研究所
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