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第79号 2000年5月12日発行

目次


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パソコンによる動画作製・デジタルビデオ編集

(1) パソコンで扱うことのできる動画

1.はじめに

 もし、あなたが動きのある現象を研究対象にしているか、あるいはプレゼンテーションでビデオとパソコン(あるいは OHP)の両方を使う機会があるのなら、きっとこの記事は役に立ちます。今やノートパソコンでもディスク容量は 10Gbyte を越える時代。ノートパソコンで動く画像を簡単に作り、表示することができるようになってきました。インターネットでも動画が公開されており、見る機会も増えています。これまでに比べるとパソコンでビデオを扱ったり、動画作製編集をしたりする環境が随分整ってきて、低価格で簡単に楽しむことができるようになってきました。ソニーのバイオ PCV-R シリーズやアップルの iMAC DV Special Edition のように最初からビデオが扱えることを売り物にしたパソコンも商品化されています。このところノートパソコンにも新機種ではデジタルビデオカメラとの接続用コネクターを標準装備するものも多くなってきました。それにこのところ家庭用デジタルビデオ機器といえば DV しか無かったのに、最近相次いで D-VHS のビデオレコーダや光ディスクレコーダが売り出されました。

 この記事では、パソコンでの動画作成とビデオ取り込み、パソコンでのビデオ表示、ビデオ編集を解説するものです。この内容を次の3つに分けて紹介します。記事の分量の関係で今後数回にわたり連載する予定です。

(1)パソコンで扱うことのできる動画、
(2)CFD などの計算結果をパソコンで動画表示する方法とビデオからの取り込み方法、
(3)動画を編集してビデオを作る方法。


2.パソコンで扱える動画像(ビデオを含)

 なんと言っても動画像はデータ量が膨大です。640x480というテレビ解像度のフルカラー画像は900KB、これがテレビでは1秒間に30枚表示され、データ量は約 27MB/s となり、たった1分の動画を作るのに 1.5GB ほどの量になってしまいます。それにハードディスクからプロセッサに 27MB/s のデータを連続して供給するのはふつうのパソコンでは無理です(複数のハードディスクを1つに見せかける RAID を使えば可能ですが、 非常に高価になります)。これらのことから、一般に動画を扱うときは、データを圧縮し、量も転送レートも小さくします。そして、表示するときに圧縮したデータを元に戻す伸長という操作をします。この圧縮伸長を合わせて CODEC(Code & decode)とも呼びます。この圧縮伸長方法にはいろいろな種類があります。パソコン単体でプレゼンテーションに動画を使うなら、gif アニメーションか MPEG1 が適当です。MPEG1 では圧縮によって最大でも 1.5MB/s にデータレートを落としています。他にも QuickTime や Windows なら AVI という選択もあります。これらの方式について説明しましょう。


1)gif アニメーション

 これは連続する gif ファイルで構成されたもので、webでもよく使われる形式です。gif自体は静止画の圧縮にもよく使われる形式で、使用する色数を256色に制限することによってデータ量を圧縮しています。空間に関するデータ圧縮を行っていないので圧縮の効率は落ちますが、逆に文字や線などの空間周波数の高い画像ではきれいに再現できます。また、画像の大きさに制約がないので、自由に大きくも小さくもできます。一方、描画速度をコントロールしていないので、機種により再生の状態が変わり、滑らかな動きや、ある程度長い動画には不向きです。これらの特徴から、パソコン単体や web での簡便な動画表示には適しています。

gif アニメーションファイルの作成には

gifmerge
[http://the-labs.com/GIFMerge/] や、

Gif Construction Set for Windows
[http://www.forest.impress.co.jp/library/gifcon.html]、

MAC用では
GifBuilder
[ http://198.237.200.47/ESDPage/tools/gifbuilder.html]

などが利用でき、連続する gif ファイルから gif アニメーションファイルへの変換が可能です。

2)JPEG

 JPEG は静止画の圧縮に使われるもので、画像を小さい正方形のタイルに分けて、デジタルコサイン変換を使って画像の空間周波数のうち低い成分だけを取り出す方式です。この JPEG 圧縮を使って動画を扱うようにし、今一般的使われるものとして MotionJPEG と Digital Video と呼ばれる2種類の形式があります。まず JPEG について説明をしましょう。

 圧縮率は可変ですが、圧縮率を上げると正方形のタイルが見えるようになってきます。 JPEG はもともと画素の色情報が滑らかに変化する自然画像を前提に作った圧縮方式なので、シミュレーション結果を表示するときに使う線や点、説明用の字などの空間周波数の高い画像はこの圧縮方式に適していません。特に白地に黒などの濃い色を使って書いた文、逆に黒地に白い字を使った文は最悪で、 JPEG を使って圧縮した画像には場合によっては文字の周囲に汚れたようなノイズが出ます。線画も同じです。このため、同じような目的で使われる等高線と、値に応じた色で塗り分けたもの(以降色塗りと呼ぶ)とを比べると、色塗りの方がこの圧縮方式に向いています。文字を使う場合は太文字でなるべく大きいポイント数のものを使います。明暗のコントラストより色による差をつけたり、陰付きの文字を使うと、よりきれいに仕上がります。図1は文字の大きさとフォントによる見え方の差を示しています。JPEG による圧縮の影響で、細いフォントでは細い部分の輝度が小さくなることがわかります。


(1) JPEGによる画像



(2) HGGothic部拡大図



(3) Times New Roman部拡大図



(4) MS明朝部拡大図

図1 640x480 の JPEG 圧縮をかけた文字


 次回は、JPEG を使った DV と Motion JPEG、更にMPEG や QickTime、AVI などの説明を行う予定です。また、何かみなさんから御質問を Email でいただいたら、それについても答えていこうと思います。

(理化学研究所 姫野 龍太郎 himeno@postman.riken.go.jp)


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新人自己紹介

 この4月から、 JST からの派遣研究員という形で、PLAN センターで働くことになった渡辺学と申します。これまでは、名古屋大学の方で、ASCA のデータを用いて、銀河団のデータ解析を行なってきました。それとともに、研究室の計算機管理者の一員として、管理に携わってきたことと、前の指導教官である山下先生、国枝先生のお心づかいにより、今回の職を得ることができました。不手際なところも多々あると思いますが、頑張って働きますので、よろしくお願いします。

 自己紹介をとのことなので、少し趣味についての話しをさせていただきます。比較的、好奇心が旺盛なために、趣味は多い方です。最近のマイ・ブーム(う〜む、無理して若者言葉を使うこともないですかねぇ、、、)は、デジカメを使った写真撮影です。そのちょっと前は、焼物でした。自分で窯を作るところから始めようとして、家の前に炭窯を製作中ですが、なかなか温度が上がってくれません。最低限、700度は上がらないと、楽焼き程度もできないのですが、、、GW に家に帰った時、もう一度、作り変えてチャレンジしてみるつもりです。他には、山登り、釣り、料理(結構特殊なもの、ジャム、クンセイ、そばなど)、卓球、国内旅行(特に日帰り温泉)、などなど、、、。趣味でも仕事でも、懲りはじめると、徹底的にやるのですが、興味がないとかなりいい加減になるところが、自分の欠点でもあり、長所でもあると思ってます。こんな感じのやつですが、1年半、よろしくお願いします。

(渡辺 学)


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VPP800/12のファイルシステム更新のお知らせ

 先月の PLAIN センターニュースでお知らせしましたように、4月下旬と5月上旬の二回に分けて、VPP800/12 のファイルシステムを更新致しました。この新しいファイルシステムの特徴は、以下のようになっています。

ファイルの規模に応じて、キャッシュの使用の有無を自動的に切替えます。
ファイルに対する連続領域の割当を自動的に行ないます。
データ(利用者が読み書きするデータ)とメタデータ( inode 等、データ管理のためのデータ)を別のディスクに格納することにより、効率の良いファイルアクセスを実現します。
データを複数のディスクに分散配置(ストライピング配置、ラウンドロビン配置)することによりファイルアクセスの効率化をはかります。
小規模のデータはメタデータ中に埋め込むことにより、高速のアクセスを可能にします。

 これらの機能は標準の UNIX インタフェースで提供されますので、ユーザ側では、特に意識することなく効率の良いファイルアクセスが実現できるようになっています。

 なお、旧ファイルシステムと比べて実際にどの程度性能が改善されるかは、システムのパラメータ設定の如何にかかっています。今後も適宜チューニングを施して行きたいと考えていますので、実際に御利用になってみての御感想等ございましたら、三浦までお知らせ頂ければ幸いです。

(三浦 昭 )


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大型計算機に関するお知らせ

1.大型計算機の5月・6月の保守作業予定


M:システムメンテナンス

(三浦 昭 )


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編集発行:文部省宇宙科学研究所
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