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第52号 1998年2月9日発行

目次


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「超高速計算・高速ネットワークに向けた次期スーパ・コンピュータのリプレイス」

 宇宙科学研究所では、スーパコンピュータのリプレイスを平成10年度末に行うことで準備を進めています。最近の計算機性能の向上は著しく、また消費電力もこれまでの数分の1程度以下になっており、能力あたりの計算機価格も年々低下しています。更に現在のスーパ・コンピュータ・システムは導入してから約4年が過ぎており、最近の計算機の進歩を鑑みると能力不足になってきているのが現状です。

 宇宙科学研究所の計算機システムは、当研究所の衛星計画を推進するための中核的役割を果たしてきており、衛星の運用管制や取得データの処理・解析はもとより、その計画立案の為の軌道計算、科学技術シミュレーションなど幅広い分野にわたって利用されています。当研究所ではこの様な多岐にわたる処理に対して、平成5年度末にスーパ・コンピュータ(VPP500/7)を導入し、また平成7年度末には汎用計算機群のリプレースを行いました。しかし、当研究所の科学衛星の取得した質の高いデータは、現在年間400GB程度の割合で増加しており、また平成11年度打ち上げ予定の ASTRO-E 計画では、ASTRO-D(あすか)に比べて10倍以上の計算処理能力が要求されています。更に MUSES-B や MUSES-C 計画でもこれまでにない高速の計算が必要となるようです。また、 データ処理・解析のみならず科学技術シュミレーションによる研究でも、より高度な計算でもって新しいパラダイムに向けた研究が出てきています。

 折りしも、本年度の PLAIN センター・シンポジウムは「スーパーコンピュータと高速ネットワークの現状と将来」と題して平成10年 1月13日(火)に開催されましたが、昨今の情報・計算機利用を必要とする研究には目をみはるものがあります。例えば、センター計算機利用者によるスーパーコンピュータ利用形態の紹介として、地球磁気圏グローバル・シミュレーションの講演がありましたが、必要な大規模計算のメモリ量・計算速度が次世代機で手に届くのではないかという展望が語られました。また、高速ネットワーキング技術に関わる話題として、大規模計算で排出される計算結果や大容量データをどのように処理をするかの議論があり、従来のように大容量マス・ストレージを用意するという方法を取るのではなく、高速ネットワークを通した計算結果のオンライン・リアルタイム処理を効率よく施す遠隔可視化技術を利用する研究紹介もされました。オンライン・リアルタイム処理を実現するための基礎技術として 3次元画像データ圧縮転送法の最先端研究のデモには目を見張るものがありました。また、高速ネットワークを実現する基盤技術の講演では、ここ数年一世を風靡し、宇宙研にも導入された ATM ネットワークの LAN の構成に対する問題点・限界が指摘され、LAN と広域ネットワークの運用に関しての議論もありました。

 今回の宇宙研のスーパ・コンピュータリプレースでは、単に演算処理能力の向上だけではなく、高速計算や高速ネットワークを利用した研究形態を睨みながら、よりよいシステムの導入をはかることになりそうです。また、科学技術計算に偏りがちなスーパ・コンピュータの利用が、大規模データ解析研究にも有効に利用されることを願っています。
(星野 真弘、篠原 育)


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大型計算機共同利用研究公募のお知らせ

 宇宙科学研究所 PLAIN センターでは、全国共同利用研究の一貫として、本研究所が行っている飛翔体(科学衛星、ロケット、大気球)による宇宙理学及び宇宙工学の研究と密接に関連する次の二分野で共同研究課題の公募を行います。

 (1)宇宙科学観測の総合解析に関する共同研究
 (2)数値シュミレーションに関する共同研究

 本研究所で利用できる計算機として、MSPシステムの GS8400/20(汎用スカラー計算機)と UNIX システムの VPP500(7並列ベクトル計算機), VX(高速ベクトル計算機), DECalpha (高速スカラー計算機)があります。また、各大学の大型計算機センターを利用することも出来ます。平成10年度の締め切りは、3月16日(月)で、応募書類は各大学の事務室あてに送ってあります。尚、本公募に対するお問い合わせは、

 宇宙科学研究所
  研究協力課共同利用係(内線2234)

までお願いいたします。  
(星野 真弘)


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ATM LAN 本稼働開始

 この「 PLAIN センターニュース」でも何度かお知らせしておりました、新所内基幹ネットワークである ATM ネットワークが平成9年12月1日(月)より本稼働を始めました。本稼働が始まって早くも2カ月が経過いたしましたが、2月4日現在、大きなトラブルもなく順調に稼働しております。ただし、実験の運用形態についてはまだまだ発展段階の途上にあると言えます。「利用できるプロトコルをどうするのか?」、「 ATM 向けの PLAIN センター管理の各種サーバの立ち上げは?」、「旧所内 LAN との役割分担は?」など、解決すべきことはまだまだあります。これらの問題への解決の糸口は「利用者の方々の生の声」につきると PLAIN センターでは考えております。ATM LAN の利用者数はまだそれほど多くはありませんが(2月4日現在で発行した IP アドレス数が約 70 件)、さらに多くの方々に ATM LAN を利用していただいて、皆さまのご意見・ご要望を PLAIN センターまでお寄せいただければ幸いです。

 (ATM LAN 接続に際しての端末の設定について)
 以前にもこの紙面をお借りして、概略についてはお知らせしておりましたが、この ATM LAN は旧センター LAN と構成が異なっているため、ネットワーク設定が旧センター LAN の場合と違ったものとなっています。そのため一部の方々には接続の段階でうまくいかないといったトラブルを体験していただくことになってしまいました。現在は、割り当て IP アドレスのお知らせの際に、必要となる設定も書き添えてお知らせしております。

 主な設定項目であります「ネットマスク」「ブロードキャストアドレス」「ルータアドレス」は旧センター LAN の場合とは付け方が変わりましたので、くれぐれもご注意下さい。また、同じ階であっても部屋が異なれば、これらの設定項目に変更が生じる場合がありますので、端末の移動などの際は十分ご注意下さい。
(長木 明成)


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大型計算機に関するお知らせ

1.課題更新手続きについて

   現在利用されている課題の有効期限は、3月31日迄となっておりますので、次年度も引き続き利用される課題の更新手続きは、3月20日(金)迄にお願いします。課題申請用紙は、3月3日(火)にお送りします。

2.大型計算機年度末処理について

 毎年行われている年度末処理を今年は、3月30日(月).31日(火)に予定しておりますのでよろしくお願いします。詳細スケジュール、内容については 3 月号でお知らせします。

3.2月、3月の計算機保守作業予定

 2月、3月の定期保守作業及び年度末処理は下記の通り予定しております。

M:システムメンテナンス



(関口 豊)


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編集発行:文部省宇宙科学研究所
宇宙科学企画情報解析センター
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