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第24号 1995年10月12日発行

目次


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計算機システムのリプレース進行中

(1)基本的な考え方

 センター計算機M1800/20および2台の衛星運用計算機M770/10、更に、その周辺機器がリプレースの時期を迎え、その手続きが進行中です。ご存知のように、宇宙研の情報処理・ネットワークは、科学衛星の日々の運用が大きな柱の一つとなっていることが、一般の大学の計算センターと異なる特色です。今回のリプレースは、科学衛星の機能の急速な向上に伴うデータ量の増大と、宇宙科学データの処理の高度化、ユーザの分散・広域化等の背景の下に、センター計算機システムの能力の大幅な向上を目指しております。ワークステーションの能力の格段の向上と、ネットワークの充実による分散処理指向のもとに、従来のメインフレーム中心のシステムに代えて、UNIX OSによるワークステーションに比重を移しております。

 このリプレース計画はPLAINセンターの中にタスクチームを作り、検討結果をもとに計算機運営委員会や、ユーザ全体による討論会等により、長時間をかけて議論を重ねながら進めて来ました。  

 現在(10月9日時点)は、入札が終り、技術審査が行なわれている段階です。リプレースの時期は、今年度の末近くなると予想されます。ユーザの皆さんへの影響をできるだけ小さくする努力をしますが、新システム移行作業に伴うサービスの中断等、御迷惑をおかけすることになります。よろしく御理解の上御支援お願い致します。
(中谷 一郎)

(2)技術的概要  

 新システムは衛星運用システムと共用センターシステムとに大別されます。

 衛星運用システムは衛星運用支援大型計算機、衛星運用ワークステーション群、SIRIUSデータベースシステム等で構成され、衛星運用LANで相互接続されます。  

 衛星運用支援大型計算機は、現行のM770/10システムの1.5倍以上の性能の計算機が1台導入されます。

 SIRIUSデータベースシステムは衛星運用システムと共用センターシステムとで共用可能な大容量記憶装置等で構成され、現在のデータベースを継承します。

 衛星運用ワークステーションは、運用に関する各機能毎に、相応の性能のマシンが導入されます。

 また、KSCやUDSCとの接続に用いられるマルチメディア多重化装置も今回のリプレースに含まれています。

 共用センターシステムでは、現行のM1800/20のUNIXの機能を、UNIX系サーバー群で分担し、機能強化を図っております。  

 すなわち高度な科学技術計算を行なう高速計算サーバ(>3GFLOPS)、画像処理能力に長けたグラフィックサーバ、パブリックドメインや共同利用のソフト等を高速に扱うアプリケーションサーバ(SPECint92 > 300、SPECfp92 > 500×4CPU)、観測データを広く公開する為のサイエンスデータベースシステム等を導入する予定です。

 MSPの機能はM1800/20の従来の需要を満たすメインフレームの計算機で継承する予定です。

 その他にも、オープンステーション等には多目的に使用できるワークステーションが導入されます。

 プリンタもネットワークプリンタを始め、モノクロからカラーに至る各種プリンタが導入されます。  

 従来分散配置されていたX端末の後継としては、高機能端末(パーソナルコンピュータ)が導入されます。



(三浦 昭)


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SFUの運用とデータ処理
(1)SFUの追跡ネットワーク

  今回から3回連続でSFUの運用とデータ処理に関する解説を行います。SFUは、いろいろな実験機器を搭載し宇宙での実験や観測を行うための汎用の宇宙プラットフォームです。実験や観測が終った後はNASAのスペースシャトルを使って回収され、実験結果を直接地上で確認することが可能です。さらに、回収した後は、新たな実験機器を積み込んで再飛行を行うこともできるようになっています。 SFUは、今年の3月にNASDAのH-II型ロケットにより打ち上げられ、現在地球周回軌道を飛行中です。現在は、宇宙での実験はほぼ終了し、おもに回収のための準備作業を行っています。 来年の1月にはスペースシャトルによって回収される予定です。 連載1回目の今回は、SFUの追跡で使用される施設の紹介をします。SFUの追跡ネットワークを示したのが下の図です。この図に示したように、SFUは世界中の地上局を利用して運用を行うことができるようになっています。これは、スペースシャトルによって回収されるときに、短時間で軌道制御を行わないといけない場合があり、このときはなるべく多くの地上局を利用し可視時間帯を確保する必要があるからです。また、実験や観測結果のデータを多くの地上局で受信して取得データ量を増やすこともできます。 SFUに対するコマンドの発行やテレメトリのモニタは、回収時以外は、宇宙研相模原キャンパスD棟にあるSFU運用センター(SOC)にて一元的に行われます。どの地上局が使用される場合でも、(1)SOCからのリアルタイム運用と、(2)SOCとは独立に地上局でデータの受信のみを行う運用のどちらもできるようになっています。 スペースシャトルによって回収されるときは、SFUはスペース シャトルと直接交信します。このときでも、基本的にはSOCよりJSC、TDRS、スペースシャトルを経由してコマンドの発行とテレメトリのモニタがリアルタイム的に行われます。ただし、時間的にクリティカルな運用を行う場合などは、スペースシャトルに搭載されている計算機を使用してスペースシャトルの搭乗員がコマンドの発行とテレメトリのモニタを行います。



(山田 隆弘)


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大型計算機に関するお知らせ

氈DFMVデモ機設置のお知らせ
 DS90シリーズのX端末機能とF6680 エミレータ機能をWindows上で実現したFMVをB棟1Fのオープン室にデモ機として10月2日に設置しました。オペレーションしてみて下さい。何か不具合な点がありましたら御連絡下さい。            

II.10月・11月の大型計算機保守作業予定



 以上の通り保守作業を予定して居りますので、宜しくお願いします。
(関口 豊)


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