PLAINセンターニュース第111号
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新年を迎えて

長瀬 文昭
PLAINセンター長

 明けましておめでとうございます。

 昨年のPLAINセンターは、国立情報学研究所のスーパーSINETのノードとしてネットワークの高速化整備、計算機・ネットワーク所内LANの維持・管理、DARTSデータベースシステムの管理・運営、科学衛星データベースの構築・公開、工学データベースの構築、ネットワークセキュリティーの監視等に努めて参りました。その他に今年度予定されている計算機のリプレースに向けて昨年は汎用計算機およびスーパー・コンピュータの新システムの仕様策定を進めて参りました。また、今年はいよいよ10月より、宇宙科学研究所、宇宙開発事業団、航空宇宙技術研究所の宇宙3機関が統合され、宇宙航空研究開発機構として再出発することが昨年末の通常国会で議決されました。 当PLAINセンターもこの新機構の宇宙科学研究部門の中で科学衛星運用のために(1)計算機の維持・管理、(2)ネットワークの維持・管理、(3)データベースの開発・管理を担当していくことになっております。数少ないスタッフですが一同全力を尽くして、この新しい機構の中で職務を全うしていきたいと思っています。

 今年はこの組織改革の年に当たり、上記の定常的な業務に加えて、(1)スーパー SINET の宇宙科学研究への利用、(2)計算機リプレースに伴う新システムの導入、(3)新機構移行に伴う統合情報化システムの構築を進めなければなりません。宇宙研は平成13年より国立情報学研究所の基幹ネットワーク(スーパーSINET)のノード機関の1つとして、ネットワークの対外接続容量も大幅に改善(10 ギガビット毎秒)されました。また、これに伴い専用回線網も充実(従来の天文台、東大、京大、名大、東北大に加え阪大、東工大、九大、北大と宇宙研の間を1ギガビット毎秒の専用回線で接続)し、宇宙科学・天文学部会内の宇宙科学研究班の活動も軌道に乗ってまいりました。さらに所内ではLANバックボーンの整備を一昨年度より進め、現在ではスーパー・コンピュータや衛星プロジェクト運用室は元より、各研究棟・実験棟の各階末端まで1ギガビット毎秒の高速通信が可能となるよう所内LANの整備を完了しております。そしてこのLANはスーパー SINETと接続されております。今年は特に3機関の統合に伴い機構内の統合情報システムの構築が急がれるところで、現在3機関の関係者がワーキンググループを作って統合ネットワークシステムの整備を検討しているところです。

 計算機のリプレースに関しては、汎用機(衛星運用支援・データ処理システム)のリプレースが今年8月、スーパー・コンピュータのリプレースが平成16年3月に予定されています。現在この両システムについてそれぞれの調達日程(仕様書策定、官報公示等)が進められているところです。今年は引き続き入札、技術審査、開札、契約、納入等の調達日程を進めることとなります。今回のリプレースを終えると次のリプレースは汎用機が5年後、スーパー・コンピュータは6年後になります。特に汎用機については現行の衛星の運用に加え、Muses-C, Lunar-A, Astro-F, Astro-E2, Solar-B 等、この期間に打ち上げられる科学衛星の運用、データ処理が行えるシステムを用意する必要があります。また、DARTSシステムは平成10年から平成13年に渡りJSTプロジェクトとして内容の充実を計ってきましたが、このシステム自身は開発を始めて10年を経過し、データベース管理システムの改良、利用者サービスの改善等が必要となって参りました。汎用計算機リプレースに際し、このDATRSシステムの改良にも取り組みたいと考えています。

 今や、計算機・ネットワークは組織運営と研究開発活動を効率良く行うための根幹的な設備となっています。また、巨額の資金を投じ、多くの研究者・技術者の努力により取得された科学衛星データ資源の公開と有効利用は研究所の使命でもあり、この精神は新機構の宇宙科学研究部門にも引き継がれるべきものであります。今年はこれまで以上に多様な課題を抱えPLAINセンターのスタッフ一同精一杯頑張る所存でありますので、皆様にもご協力・ご支援をお願い致します。



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