PLAINセンターニュース第100号
page 1

PLAINセンターニュース 第100号特集

100号を記念して

中谷一郎
宇宙科学研究所

 100号目の発行、おめでとうございます。始めに舞台裏を白状しましょう。本ニュース第1号は、1993年10月に私がPLAINセンターに居たときに発行しました。提案者は私自身でしたが、正直なところ当初は100号まで続くとは夢にも思っていませんでした。10号までもてば赤飯ものだという程度の認識でした。本ニュースをここまで続けられた関係者各位の御努力に心より敬意を表します。

 振り返ると、多くの大学に大型計算機センターなるものがあり、貴重な大型計算機のリソースを多くのユーザーが共有するというのが一昔前の姿でした。しかし、PLAINセンターが設立された1993年ころには、ネットワークの急速な充実、データベースの拡充、パソコン能力の飛躍的な向上による分散処理等、センターの周囲情勢が、急変しつつありました。この変化の勢いはますます加速され、18世紀後半に始まった産業革命にも例えられる大変革になろうとしています。

 本ニュースが、100号まで続き、しかも全くマンネリを感じさせないのは、PLAINセンターが、このような変革のバンガードであり続けた結果でしょう。宇宙科学はPLAINセンターの活動により、明らかに質的な変化をとげようとしています。ネットワークは、やがて無色透明となり、存在感が薄れていくでしょう。つまり、ネットワークを意識することなく、欲しいデータは地球の裏側にあっても、手元にあっても変わらないようになる。一方、データベースの充実は、データの量や質だけでなく公開の速度を要求し、研究者間の競争と協調をより加速し、スペースサイエンスのあり方に、深いところで変革を迫っていくことでしょう。既に米国のNASAでは、科学衛星の観測データは、得られて6ヶ月後に、データベースの形で一般に公開することを原則としています。

 宇宙研の科学衛星は、殆ど例外なく国際協力ミッションになってきています。これは、上に述べたIT革命なくして考えられず、今後もこの傾向は、速まっていくことでしょう。本ニュースは、このような技術変革の時代に技術提供側と利用側を結ぶ掛け橋として重要度を増してゆきます。200号記念、500号記念、さらには1000号記念と続いていくことを信じています。

 最後に、読者への注文を1つ。第1号発行時に、本ニュースは、読者とPLAINセンターの対話をセールスポイントにしようと提案しました。残念ながらこの試みは全く成功していません。技術のプロバイダーとユーザーとのコミュニケーションの場として、PLAINセンターニュースが機能することを、改めて提案して、お祝いの言葉に代えたいと思います。


PLAINnews HOME
この号の目次へ
印刷用PDF(30kb/4ページ)
第101号へ
第99号へ
バックナンバー一覧へ
著者一覧へ

100号を記念して(2)

この号の目次へ