PLAINセンターニュース第100号
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PLAINセンターニュース 第100号特集

100号を記念して

向井利典
宇宙科学研究所

 100号記念、おめでとうございます。私が中谷先生の後を引き継いでPLAINセンター長の命を受けたのは1996年4月、ちょうど30号のときでしたので、100号記念という話を聞いて正直驚きました。ここまで続けられた関係者の皆さんのご努力に敬意を表します。

 振り返ってみると、PLAINセンター発足の少し前からインターネットが世の中に広がり始め、計算機の利用も中央集権型のメインフレームからUNIXベースの分散型ワークステーションに代わり始めていましたが、宇宙研の対応は大変遅れていました。初代センター長の中谷先生はPLAINセンターの創設直後からこの問題に取り組まれ、また、90年代に入って次々と打ち上げられた宇宙研の科学衛星がもたらし始めた大量の観測データの有効利用のための科学データベース「DARTS」の構築を旗印に掲げられました。(ちなみに、中谷先生は命名の名人で、舌を噛みそうな本名に代わって「PLAIN」の愛称を浸透させ、「DARTS」や「EDISON」の名付け親でもあります。)「DARTS」は、世界最高水準になってきた宇宙研の衛星観測データを科学研究のために公開すると同時に、種々の解析ツールを整備してオンラインでデータ解析することを可能にしようとするユニークなデータベースを目標としています。そのためには、科学者自身がその構築に携わることが大切ですが、PLAINセンターの人員が限られているために、衛星プロジェクトとの連携は必須です。また、そのことにより衛星プロジェクトの方も助かり、さらに、従来はミッション終了とともに霧散しがちであった科学観測データとその解析ツールという資産の有効利用になります。私が在任中には、運用中であった「ようこう」と「あすか」のデータアーカイブシステムの構築ができた程度でしたが、現センター長の長瀬先生が代表者となった研究課題「宇宙科学データ解析研究のためのバーチャル・センターの構築」が科学技術振興事業団の事業として認められ、「GEOTAIL」や「あけぼの」などのアーカイブデータの構築・公開によるDARTSの充実や、NASA等の衛星データセンターのミラーサイトの構築などが大きく進展しました。時あたかも、超高速ネットワークSuperSINETの運用も開始され、当初掲げられた目標が見えてきつつありますが、2年後には宇宙3機関統合を迎えるチャンスを生かして、理念を高く掲げたPLAINセンターの機能をさらに発展させる手立てはないものでしょうかね。


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