ごくろうさまでした
宇宙科学研究本部長 井 上 一
今年も定年を迎えられる方々をお送りする時期がやってきました。今年は、教育職4名、技術系3名、そして臼田と内之浦の旧宇宙研在籍者2名の、合わせて9名の方々が「卒業」を迎えられます。
教育職では、高層大気研究のために何機もの衛星・ロケット・気球実験に携わってこられた小山孝一郎先生、長年太陽系始原物質の研究を行ってこられ、「はやぶさ」の理学側リーダーを務められた藤原顯先生、衛星状態監視の面から多くの科学衛星にかかわられ、衛星工学データベースの構築にも尽力されてきた橋本正之先生、長年数値流体力学の研究に従事され、航空宇宙工学分野に限らず多方面で数値流体力学の発展に貢献されてきた桑原邦郎先生の4名の先生方です。
技術系では、長年ロケットの集中電源を見てくださり、また気球実験も支えてきてくださった瀬尾基治さん、宇宙科学の各種活動の映像記録のためにシャッターを押し続けてこられた杉山吉昭さん、大気球実験の大黒柱としていくつもの実験の放球現場を取り仕切ってこられた並木道義さんの3名の方々と、3機関統合に伴い宇宙基幹システム本部所属になられたものの、臼田宇宙空間観測所開設以来64mアンテナと観測所全般をお世話いただいてきた山田三男さん、長年内之浦においてロケット・衛星の光学追跡業務を見てきてくださった榮樂正光さんが、定年を迎えられます。
昨年来、宇宙科学研究本部では、7〜8月には「すざく」の軌道投入と観測運用開始、8〜9月には「れいめい」の軌道投入と運用開始、9〜11月には「はやぶさ」の小惑星イトカワ到着と着陸・離陸成功、そして、この2月22日には「あかり」の軌道投入成功と、うれしいニュースが続いてきました。H-IIAの連続した打上げ成功と合わせ、JAXAを取り巻く雰囲気は明るいものになってきました。これらの相次ぐ成功には、「卒業」される皆さまの貢献も大きなものがあったと思います。ここに、長年のご苦労に感謝申し上げるとともに、皆さまのご健勝と今後のご活躍を心からお祈り申し上げます。
(いのうえ・はじめ)