No.288
2005.3

宇宙科学を支えるテクノロジー

ISASニュース 2005.3 No.288 


- Home page
- No.288 目次
特集 第5回宇宙科学シンポジウム
- 宇宙科学ミッションの新しい出発
- 特集によせて
- 将来計画
- 宇宙科学を支えるテクノロジー
- JAXA長期ビジョンと宇宙科学
- 編集後記

- BackNumber

相対VLBIを使った軌道決定


図 相対VLBIの原理

 従来の地上局からの電波による計測は,ともに視線方向データのため,深宇宙探査機のように地球から遠く離れた宇宙機の軌道は,視線と直角方向の位置が決まりにくくなっています。これを改善する計測方法がVLBI(Very Long Baseline Interferometry;超長基線干渉計)です。

 VLBIとは,遠く離れた2つ以上の地上局で,天体からの電波を受信し,電波の地上局間での到達時間差から電波の到来方向を求めるシステムで,電波天文で従来使われてきた技術です。天体の代わりに探査機からの電波を受信することで,このVLBI技術を軌道決定に応用しています。さらに一歩進め,探査機とその近傍の電波天体を交互に観測し,天球上の探査機の位置を電波天体に対してより小さな誤差で求める方法が,相対VLBIです。探査機の位置は,視線方向に垂直方向に精度よく決まります。従って,従来のデータにこのVLBIデータを加えることにより,軌道決定精度が格段に向上します。

 JAXAでは,臼田宇宙空間観測所64mアンテナと内之浦宇宙空間観測所34mアンテナの2つの地上局をVLBI局として整備しました。

(加藤隆二,吉川 真,市川 勉,望月奈々子,村田泰宏[ISAS/JAXA]) 


  JAXA:宇宙航空研究開発機構
  ISAS:宇宙科学研究本部


#
目次
#
宇宙科学を支えるテクノロジー 目次
#
世界初の磁気セイルを実現したい
#
Home page

ISASニュース No.288 (無断転載不可)