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遠山文部科学大臣本所視察(表紙写真)

 2月25日,遠山文部科学大臣が本所相模原キャンパスを視察された。今村研究開発局長以下の随行であった。

 各主幹との昼食,松尾所長による所の概要説明に続き,所内視察にうつり,太陽観測衛星「ようこう」のデータ解析室,飛翔環境試験棟でMUSES-C衛星の本体組立調整作業,SOLAR-B衛星の望遠鏡の組立調整作業等をご覧になった。

 ちょうど作業中の衛星実機を見て頂けたことは幸いであったし,DASHの件の後の志気を鼓舞するとの目的も果たされ,帰路に就かれた。

(松尾弘毅) 


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宇宙3機関統合準備会議最終回(第7回)

 標記会議が2002年3月27日に開かれ,昨年12月に新機関の機能・役割について中間まとめがなされたのに続いて,前号で述べたように新たに組織の骨格の在り方が加えられて,最終報告とされた。特に宇宙科学研究の在り方については,以下の様に重要な記述がなされている。

宇宙科学研究所が大学共同利用機関として培ってきた世界最高水準の宇宙科学研究と大学院教育協力を通した研究者・技術者の人材育成機能を,新機関に承継し,更に発展させることが必要であり,これらの役割・機能が十分果たせる組織編成とするべきである。

全国の国公立私立大学や国内外の研究者コミュニティの研究者が集まり,研究計画の選定はもとより研究成果の評価について厳しいピアレビューを行いつつ,共同研究を進める体制を構築するべきである。また,研究者の人事についても同様にピアレビューによって広範なコミュニティの中から優れた候補者を選考し新機関の長に推薦する「大学共同利用」システムを制度的・組織的に整備することが適当である。
(中略)
なお,新機関の長は,これらの「大学共同利用」システムによる組織運営を尊重すべきである。

「大学共同利用」システムによる組織運営が行われる宇宙科学研究・教育に関する業務を行う組織に,大学院教育協力に関する役割・機能を担わせ,責任を持って大学院教育協力を行わせることが適当である。大学院教育協力の実施に当たっては,新機関の宇宙科学研究以外の研究開発を担う組織の研究者についても,「宇宙科学運営協議会(仮称)」における選考を経て,宇宙科学の諸分野における大学院教育協力に積極的に参画するよう努めるべきである。

 これにより基本が定まり,新年度にかけて具体的な検討を深めて行くことになる。

(松尾弘毅) 


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M-24SIM-3大気燃焼試験

 本試験はM-V型ロケットの信頼性向上のために企画された一連の燃焼試験の3回目であった。対象となるモータは,2003年度夏期に打ち上げられるM-V-2号機第段に使用されるM-24モータである。過去2回M-34-3TVCおよびM-14-3TVCでは既に製造されていた飛翔用のモータをそのまま燃焼試験に供したが,今回は,打ち上げが中止となってその用途を模索していた,宇宙開発事業団H-II 7号機のSRBの一部を利活用させていただいた。セグメント構成のSRBのうちセグメントを組み合わせると,ちょうどM-24の評価に適していると考えられたからである。

 今回の試験は,ノズルスロート部材をグラファイトから熱構造的により信頼性の高い次元織りカーボン・カーボン複合材へ変更したことにともなう,M-24用ノズルの設計の最終的な確認試験が我々の主目的であったが,同時に固体推進薬の経年変化に関する知見取得という宇宙開発事業団側の目的も併せ持った両機関の共同研究であった。昨年のNAL-735が航技研と宇宙研の共同研究であったことを考えれば,機関連携が能代から始まったと言っても過言ではない。

 燃焼試験の準備作業は,飛翔型のセグメント構成モータという共通点を持つM-14-3TVCとほぼ同じで,12月の厳しい作業を経験した実験班員にとっては「手馴れた」ものだった。燃焼試験は着火・燃焼ともに正常で,燃焼後のノズルの状態も非常に良好であり,M-24ノズルの設計はこれで最終決定の運びとなった。

 最後に,引退間際まで実験班員としてフルに活躍され,われわれ後輩に宇宙研実験班員魂を見せていただいた成田氏に,班員を代表して申し上げる。

 「成田さん,長年のご指導ありがとうございました。そして,ご苦労様でした。」

(堀 恵一) 


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USERS_RBM 地上燃焼試験

 USERS_RBMH-II Aロケットで打ち上げを予定しているユーザーズ計画で,再突入モジュール部を大気圏に再突入させる際の軌道変更に使われる小型の固体ロケットモータです。モータの推進性能をより正確に把握するために,地燃モータは実機モータと同一設計かつ同一工程で製造しました。つまり,これ一つしかなく,やり直しの効かない「虎の子」モータです。また,地上試験は実機モータが燃焼する時と同じ真空+スピン状態を模擬して実施しました。当初この試験は秋田県の能代ロケット実験場で実施する予定でしたが,スケジュールが混み合っていたため,愛知県武豊町にあるIHIエアロスペース社の燃焼試験設備で行うことになりました。写真は供試モータをセットしたスタンド(小型真空槽)ですが,ここで真空+スピン燃焼試験を行うために,ISASあきるの燃焼試験施設から小型真空槽や関連設備を移設したり,スピンスタンド,冷却水供給設備,真空排気設備,クレーン設備などの支援設備を改修,増強しました。また,電源系,計測系,データ収録系等を冗長にしたり,指令電話,場内監視モニタなどの間接支援設備を充実したり。モータは小さいけれど支援体制は万全でした。結果は極めて良好で,これも実験班全員が意気投合して,試験に臨んでくれた成果と感謝しています。

(石井信明) 


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MUSES-C総合試験の状況

 2002年11月下旬から12月に打ち上げ予定の第20号科学衛星MUSES-C は,2001年12月からの総合試験を行ってきました。これまでに主に電気的な機能の確認が行われてきました。探査機は,第次噛み合わせにて一旦全体を組み上げていますが,2月下旬にはふたたびその姿を現しました。今回は,熱制御材であるMLI をまとい,打ち上げ時の姿そのものでした。探査機が組み上がるにつれて,しだいに見学をされる方も増えてきて,2月下旬には,遠山文部科学大臣もおいでになられました。

 MUSES-C探査機の外見上の特徴は,つのクラスタ配置のイオンエンジンと,再突入カプセル,サンプル採取装置でしょう。イオンエンジンを機体の横方向に配置する形態は,おそらく今後の低推力推進機関を用いる探査機では標準的になるのではないでしょうか。

 NASA/JPLが打ち上げた同規模の技術実証探査機DS-1は電気推進機関で彗星フライバイを行いましたが,MUSES-Cの狙っている目標は,その数倍の高さにあり,いかに抜きんでているかがわかります。世界レベルでも挑戦的との声もありましたが,おおいに背伸びをさせて作らせていただきました。この挑戦に大きな理解と支援をいただいた宇宙開発委員会をはじめ関係機関の方々に深く感謝いたします。

 探査機は,いま一旦分解され,化学推進機関の艤装中です。4月下旬から再度組立てを行い,この夏には最終の打ち上げ形態を現す予定です。探査機から小惑星表面へ投下する航法用ターゲットに一般公募で署名を搭載すべく調整をすすめております。完成時期が折しも夏休みということで,子供さんにも一般公開でお目にかけたいと一同はりきっております。

(川口淳一郎) 


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BepiColombo 理学委員会で承認

 「BepiColombo」は,つの周回衛星とつのランダーによって,水星の内部構造や表層,大気,磁気圏の多岐にわたる謎の解明に一気に迫ろうとするESAの大型水星探査ミッションであり,周回衛星の精密軌道決定による一般相対性理論の検証をも狙っています。その名前の由来は,水星の自転と公転の周期(58日88日)が2:3の共鳴関係にあることを解明したイタリアの応用数学者Giuseppe(愛称Bepi) Colombo(1920−1984)にあります。本ニュースでも度々取り上げられており,また,2001年11月に行われた宇宙科学シンポジウムにおいても詳細な発表がありましたので,ご存知の方も多いとは思いますが,水星探査WGは,周回衛星のつであるMMO(Mercury Magnetospheric Orbiter)を担当する形の国際共同ミッションへの参加を検討してきました。同WG の提案を受けて設置された宇宙理学委員会の下の評価小委員会は,科学的成果が大いに期待されることや我が国における将来の惑星探査ミッションの展開へのつながりを鑑みて,この計画が十分に価値のあるものであり,積極的に推進すべきであるという結論を得,1月30日に開催された宇宙理学委員会で正式に承認されました。ESAは現状では2009年7月末の打ち上げ,2012年10月の水星周回軌道投入を想定しています。宇宙理学委員会の承認を受けて,2003年度からのプロジェクト予算の概算要求をしていくことになります。

(向井利典) 


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科学論説委員等・科学記者との懇談会

 さる3月14日15日の両日,それぞれ恒例の科学記者・論説委員等との懇談会が,霞が関ビル東京會舘において開催されました。新聞社・テレビ局からの出席者は,前者が16名,後者が17名でした。

 例年トピックの提供が多過ぎるとの意見が多かったため,今回は,2001年大気圏に突入して消滅したX線天文衛星「あすか」の成果(長瀬教授)と2003年1月に打上げ予定の「MUSES-C」の概略(川口教授・上杉教授)に絞って話題提供を行い,機関統合やDASHを含むその他の問題は冒頭の所長挨拶に取り込むかたちで進行しました。「あすか」も「MUSES-C」も関心は高かったようですが,やはりマスコミ側からの質問やコメントは機関統合に集まり,異口同音に「これまで培ってきた日本の宇宙開発のレベルを必ず維持するように」との暖かくも厳しい意見が数多く聞かれました。閉塞状況が感じられる昨今の日本の情勢を反映して,「国民に夢を与えるプロジェクトをぜひ立ち上げるように」という意見も出ていました。政府筋では宇宙開発の経済効果を期待する声が大きい中で,長期的な国づくりという立場に立った力強い声援と受け止めるべきなのでしょう。

 なお,MUSES-Cはどこまで行けば成功なのかとか,その成功の確率についての質問が,上記度の会合のいずれにおいても出されました。MUSES-Cは,あくまで工学実験衛星です。小惑星のサンプル・リターンという究極のミッション・プロファイルを下敷きにして,
(1)電気推進,
(2)自律航行,
(3)サンプル採取,
(4)地球帰還
というつの工学的主要課題のそれぞれに,世界初あるいは世界的水準の技術を確立しようという欲張りなミッションです。行けるところまで行きたいわけですが,所長の当日のコメントにあったように,「小惑星とランデブーできたら大成功」というのが感覚的には本音でしょう。評価の基準は「世界の惑星探査の歴史にどれだけ新たな技術と知見を加えたか」の一点に尽きると思います。「私たちもこれから努力しますが,報道各社におかれましても,海外の技術水準も睨みながら,ぜひともそういった客観的な基準を確立していただきたい」という私たちの要望も述べつつ,今年の懇談会は終了しました。

(的川泰宣) 


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SPSSのホームページ開設

 宇宙科学振興財団(SPSS)は宇宙科学研究所の研究事業,国際学会開催,若手研究者の国際学会出張支援,衛星コンテスト等の主催団体など色々な面で活動してきました。もっと知名度を上げて活用して頂くため,今回2月10日からホームページを開設しました。  これからの財団の事業の予定,ビデオ,宇宙グッズの販売なども掲載して幅広く宇宙科学の広報に向けて力を注いで行きます。財団として取り組むべき良いアイデアにお気づきの時はお知らせ下さい。

URL: http://www.spss.or.jp

 皆様のご活用を期待しています。

(宇宙科学振興会常務理事 西村 純) 


財団法人 宇宙科学振興会        
〒214-8510             
神奈川県相模原市由野台3-1-1     
宇宙科学研究所内(内線6113)    
Tel 042-751-1126  Fax 042-751-2165  


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