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MUSES-Cのコンパチ試験について

 この試験は,第20号科学衛星MUSES-Cとそれを追跡運用する地上局が,所定のインタフェース項目において相互に適合していることを確認するためのもので,去る7月19日から27日まで臼田局64mアンテナで,10月17日から26日までアメリカJPL/DTF(開発試験棟)で,それぞれ実施されました。

 コンパチ試験は,本来,地上局と実機の探査機を組み合わせて行うことが望ましいが,探査機を所定の地上局まで搬送することは困難で非現実的であるため,今回は探査機と同等の性能を有するシミュレータを製作し,それを用いて行なわれました。試験内容は,アップリンク受信機の捕捉性能とスレッショールドレベルの確認をはじめ,コマンド,レンジング及びテレメトリの性能について,それぞれコンパチ試験計画で決められた項目について確認されました。結果は,当初予想された性能は確認出来,所期の目的は達成されたものと考えます。

 ただJPL/DTFの試験では,地上系の問題でテレメトリが復調出来ない問題が1点判明しましたが,この点については,11月8日9日に開かれたNOWGの会議で,ミッション上必要な時期までには解決出来る見通しが確認されました。いずれにしましても,今回のコンパチ試験は,MUSES-Cのミッションにとって,重要で意義ある試験でしたが,特にアメリカでの試験は,先のテロ事件の影響で一時実施が危ぶまれましたが,関係者のギリギリまでのご努力で実現出来たものと思います。

(井上 浩三郎) 


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第二回宇宙科学シンポジウム開かれる

 2001年1月に開かれた昨年度の第一回宇宙科学シンポジウムに引き続き,本年度の宇宙科学シンポジウムが11月19(月)20(日)の両日にわたって開かれました。部屋の中で,立っている人に加え,外からドア越しに聞いている人がいるなど,盛況ぶりは第一回目と大差はありません。一日目の午前中は現在理学委員会に提案されているBeppi Colombo計画の詳細な報告に費やされ,午後はいくつかのワーキンググループ報告,及びそれに関連した講演,そして衛星基盤技術に関する講演が続きました。17時頃からポスターセッションを開始し,19時からの懇親会開始まで活発な議論が続きました。

 二日目は,午前〜午後3時半まで特別セッション 「太陽系の起源と第二の地球探査」を行い,その後将来計画の提案に関する講演がおこなわれました。

 宇宙科学シンポジウムとして4人の世話人(工学:斎藤宏文,山川宏,理学:松原英雄,小山孝一郎)は昨年度のシンポジウムのアンケートの結果と,世話人自身の反省に加え理工学委員長・企画調整主幹の助言をいれて試行錯誤しながらもかなり趣向を凝らしたつもりではありましたが,参加者の皆様には色々と満足できないところがあったのではと思います。特に講演募集時に,シンポジウムの趣旨・ポスターの位置付けについて周知徹底しなかったために,プログラム編成上の問題を招いたことは深く反省しております。今回のシンポジウムに関するアンケートはまだ整理されておりませんが,特に多かったコメントは,「会場が狭隘である」,「コーヒーブレークがない」の二点です。また全体として講演自身に時間がとられ,結果的に質問時間が少なくなったことも大きな反省点の一つです。ポスター発表を重視するため,ポスターセッションの時間を二時間程度とりましたが,これは長すぎたようです。このために19時から始めざるを得なかった懇親会を待てずに帰った研究者が多数おられますので,これも来年は一考を要します。

 ともあれ,第二回宇宙科学シンポジウムは多くの人々にささえられ,無事に終了することができました。世話人を代表して各位にお礼申し上げます。

(小山 孝一郎)
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国際金星ワークショップ開かれる

 10月15〜17日3日間にわたって宇宙科学研究所の階大会議場で上記のワークショップがCOSPARコミッション“C”との共催で開かれました。折しもテロ騒ぎで特に米国からの出席が危ぶまれましたが,サブコミッション“C3”(惑星大気,およびエアロノミー)の議長,副議長を始めとして21名の国外の著名な金星大気研究者と日本人研究者を合わせて約80名の参加者がありました。

 現在,世界で提案されている金星探査計画の先陣をきって,日本の計画が承認された直後ということもあって,連日,熱気溢れるワークショップとなりました。1日目は金星大気の未解決の問題についてのレビュー,2日目は日本を含む各国の探査計画の発表,3日目は日本の計画に対する意見交換,地上観測との協力を話合い,最後に今後の世界の金星探査計画の進め方を議論し,金星探査研究グループとして長期的な視野に立った計画を策定すべきとの意見が出され,これに向けて一層の国際的なつながりを強めていくことが確認されました。

 本国際ワークショップは21世紀初頭の世界の金星探査計画をプロモートし,かつ日本の探査計画への助言を聴くという意図のもとに計画されましたが,この目的は充分に果たされたと考えます。多くの外国人研究者が,「多くの事を学び,これまで出席したワークショップの中でもっともよくオーガナイズされた会議であった」との言葉を残し,帰国の途についたことを記して,ワークショップを支えて下さった方々へのお礼に替えたいと考えます。 なお本ワークショップは文部科学省の国際シンポジウム開催費用および宇宙科学振興会委任経理金により開かれました。

(小山孝一郎) 


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用語解説
Orion A,Orion B,W3領域






























用語解説
カリーナ領域
インド気球実験

 天体からの赤外線を観測するための気球実験を,インド(タタ基礎研究所)と日本(宇宙研,名古屋大学,東京大学,通信総合研究所)との協力により,1998年度より進めています。気球放球はインド・ハイデラバードにあるタタ基礎研究所気球基地から行われます。2000年度には,種類の観測実験を3回の気球飛翔にわたって行う予定でしたが,地上風が強く1回の気球飛翔が行えたのみであり不十分な結果となりました。今年度は,捲土重来を期して,これらの観測実験の両者を充分に行うべく準備を進めてきました。

 つの実験の内の一つめは,日本が開発したファブリ・ペロー分光器を,タタ研究所が開発した口径1m 気球望遠鏡に搭載し,大口径を活かした高分解能遠赤外線分光観測を行おうとするものです。観測器は,インド標準時間11月 20日午後9時55分に打ち上げられました。打ち上げ約2時間後に高度32kmで気球は水平飛行に入り,Orion A,Orion B,W3領域等の星生成領域の観測を行いました。観測の後,気球基地の西約150kmの地点で観測器は回収されました。

 もう一つの実験は,日本で開発した口径50cmの低背景放射望遠鏡に,ASTRO-F観測機器の実証モデルとなる二次元遠赤外線アレイ検出器を搭載し,効率の良い連続波観測を行おうとするもので,2回の気球飛翔実験を予定していました。第1回目の放球は,インド標準時間11月16日午後10時15分に行われました。赤外線アレイ検出器は正常に作動し,カリーナ領域の銀河面観測などを行いましたが,姿勢制御系の一部に不具合があり,観測は限られたものとなりました。観測後,気球基地の西約200kmの地点で観測器は回収されました。回収状態が良かったため,次の実験にむけて準備を進め,インド標準時間12月7日午後10時6分2回目の放球を行いました。打ち上げ後順調に上昇した気球は,35.3kmで水平飛行に入りましたが,その高度での風速が予想よりも大きかったために,排気弁を開いて高度を31kmまで下げて観測を行いました。全ての観測装置は正常に動作し,大マゼラン星雲,エータ・カリーナ領域,オリオンB M82,土星(較正天体)等,多くの観測データを取得することができました。観測終了後に気球基地の西方約160kmにて観測器は気球から切り離されました。

 これまで支援していただいた多くの皆様に感謝いたします。

(中川 貴雄) 


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「のぞみ」- Mars Express テクニカルミーティング

 10月18日に「のぞみ」 - Mars Expressテクニカルミーティングが宇宙研2階大会議場で開かれました。既に ISAS News No.240(2001.3)でもお知らせしているように「のぞみ」のグループとヨーロッパのMars Expressのグループとでつの衛星が同時期に火星に着くのであるから成果が最大になるように協力をしようという事で交流が始まっており,今回の会議はその一環を占めるものです。9月に起きた米国の同時多発テロの影響で一時は開催が危ぶまれたのですが,来れる人間だけでも集まって打ち合わせをした方が今後の協力を推し進めていく上で良いであろうとの判断で海外からの参加者10名程度を含む60名程が集まって打ち合わせを行いました。この会議は2001年1月に開かれたワークショップとは性格が若干異なり,火星に行ってからの科学ではなくその名の示す如くお互いの間での協力関係を築いていく上での技術的な側面(具体的な人のやり取りやその為の財源をどうしていくか等)についてを議論するものです。この為に,この1月以降の各機器間での具体的な協力についての報告を行い,現状での問題点について情報・意見の交換等を行いました。現在この協力関係は日本側は「のぞみ」の研究グループが対応をしていますが,Mars Expressの科学目的としては「のぞみ」との共同観測で進められるものだけではなく,固体惑星としての火星をターゲットにしたものも多いので現在「のぞみ」の研究グループに属していない日本の惑星科学者にも広く参加を呼びかけようと言うことになっています。この為,次回のScience Workshop2002年5月に開催される地球惑星科学関連学会合同大会において特別セッションを申請しその場で議論を行うこととなりました。

(早川 基) 


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ISAS-NASA NOWG会議開催

 去る11月8,9日両日にわたり,宇宙研とNASA間のネットワーク運用作業班(NOWG)会議が相模原キャンパスで開催された。

 打上げ時を含め,軌道上にある人工衛星や宇宙探査機を運用する上では,管制センタから地上局を経由してテレメトリ受信,コマンド送信,レンジング(と軌道決定)や,これらデータの送配信などを行うための地上ネットワークが必要で重要である。本会議は,個々の衛星・探査機を対象にネットワーク運用の計画と調整を行う,主として実務的な会議であり,(年に2回開かれていた時期もあるが)ここ数年は秋期に宇宙研で開かれている。米国側は,NASA本部・宇宙飛行局・宇宙通信部,DSN(Deep Space Network)を抱えるジェット推進研究所・惑星間ネットワーク&情報システム部,およびNISN(NASA Integrated Services Network)を抱えるゴダード宇宙飛行センタ・ミッション支援プログラム部からの10人で,J. Costrell博士を団長として役割分担をよく考えた構成であった。宇宙研側(NASDANRL,支援メーカ)からは,関係者が1日当り,延べ約30人。議事は,窓口役のA. Chang博士と筆者の間で予め設定済みのアジェンダに従って進められ,地上ネットワークや運用関係組織の現状と計画の確認の後,各衛星・探査機毎に運用支援計画及び作業の調整が行われたが,今回の主要対象は,火星周回軌道投入に備えての「のぞみ」,テレメトリ・コマンドのDSN地上局リアルタイム運用を要するMUSES-CSELENEであった。9個のアクションアイテムを確認して会議は予定通り終了した。

 国際協力宇宙プロジェクトを円滑に行うために,宇宙データシステム諮問委員会(CCSDS)が作成した国際標準規格を各機関で導入する際の問題やスケジュールの調整が宇宙機関間運用検討諮問班(IOAG)会議で行われており,宇宙研も参加して対応に努めてきた[ISAS ニュースNo.228]。MUSES-C以降の運用は,この新しいネットワーク方式によることになるが,現段階では外国局のユーザとしての機能しか装備できていない。サービスプロバイダとしての機能の整備が待たれるところである。

(二宮敬虔) 


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KSCの一般公開

 さる11月25日,内之浦の鹿児島宇宙空間観測所の一般公開を行いました。観測所の職員一同の自発的方針で行われたものです。ここは普段から一般に公開はされているのですが,今回は建物の中まで自由に入れるように公開し,本部から人工衛星模型や宇宙科学の成果・将来計画のパネルなども運んで,観測所の果たしている役割をよりよく理解していただくよう工夫しました。Mロケットの発射管制室や整備棟に興味が集中したのはもちろんですが,展示物では,「ひてん」の実物大模型,「はるか」「MUSES-C」「LUNAR-A」「ASTRO-F」「ASTRO-E II」「SOLAR-B」の仕組みなどが大きな関心を呼んだようでした。大隅地方の教育委員会などにポスターを送って各学校に配布を依頼するなどしましたが徹底せず,「もう少し積極的できめ細かな宣伝をしなければ人は集まらない」という教訓を得たと思います。この日の午前中には,内之浦で恒例の「銀河マラソン」が行われ,そこからの流れを期待したのですが,思うようには参加してくれませんでした。このように全体として宣伝不足の感は否めませんでしたが,それでも638名の参加者を得て,職員の熱心な説明に聞き入る姿が見られました。当日は,観測所の会議場でミニミニ宇宙学校と称して質問教室も行い,盛況でした。

(的川泰宣) 


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第2回,第3回宇宙3機関統合準備会議

 第回標記会議は10月29日(月)文部科学省で開かれました。冒頭,第1回の論議を踏まえて,青山副大臣から

1. 予算,資源の制約は前提とせざるを得ず,事業を精選し,その活動を着実に支えるための最適な組織体制を構築する。
2. 技術的な基盤の強化が重要であり,特にロケットについては当面H-II Aの信頼性確立に集中すべく,また衛星については国家的衛星ミッションに集中すべきである。
3. 官民の役割を吟味し,可能な限り民間に任せる。
4.宇宙科学については,これまでの実績を踏まえ,今後研究活動の規模が縮小しないように,また自由な発想が生かせるような組織の設計を含めて,十分考慮する。
5. 産業界,大学との円滑な連携協力を推進する。特に,産業界との共存が重要である。
5点がコメントされ,議論の方向としてこの原則が了承されました。つづいて新機関の役割について,井口宇宙開発委員長の基本案紹介,機関長の意見表明ののち,技術安全保障の考え方,他省庁との関係,航空研究の位置づけ等について,意見が交換されました。

 第回会議は11月21日(水)に開かれ,我が国の宇宙開発の目的として

1.国及び国民の安全の確保。
2. 国民生活の豊かさと質の向上。
3. 知的資産の拡大。

 基本方針として

1.科学技術創造立国の立場から戦略的分野として宇宙開発利用を推進。
2.世界トップクラスの技術力の獲得による先導的地位の確保と世界最先端の宇宙科学の推進による知的存在感のある国の実現。
3. 自律的な宇宙開発利用活動を展開するための技術力を独自に保持。
4.国際協力の推進。

が挙げられました。また特に宇宙産業の発展と新機関の在り方について意見が交わされ,官需により最低限の事業化を成立させつつ(産業化)市場競争力の獲得を目指す(商業化)こととされました。

(松尾 弘毅) 


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