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MUSES-C 第1次噛み合わせについて

 第20号科学衛星,MUSES-C は,本年度はじめの4月から約3カ月半の間,第次噛み合わせ作業を行って参りましたが,この7月17日に無事完了しました。ご承知のように,この作業では,実際の探査機に使われる飛翔モデルの部品を用いて,その機械的な合わせはもちろん,電気的な整合性や機能の確認を行うもので,ほぼ実探査機の打ち上げ,飛翔状態に近い形態まで組み上げる作業です。飛翔モデルは,このあと打ち上げ環境などに耐えるべく固定し,振動・衝撃などの環境試験を個別の機器ごとに加えることになりますが,噛み合わせは,それらの作業に踏みきってよいことを確認するための重要なステップです。

 事前にインタフェースを確認して製作してきたとはいいながら,実際に結合して試験をしてみるといろんな点で「発見」があります。スケジュールの遅れがないよう,あるときは何週間も続けて土曜日を返上したり,深夜まで作業を延長するなど,関係の方々のなみなみならぬご努力により,ほぼ予定通りに作業を完了させることができました。深く感謝申し上げます。昨年の構造試験モデルとは異なって,飛翔モデルが組み込まれた探査機をみると,構想・計画段階が実施段階に移ったことが実感として伝わってきます。世界ではじめての形式の探査機は,当然ながら前例はなく,コピーではないユニークで独創的な姿に仕上がっていますし,横にイオンエンジンを駆動させながらの試験など,独自の作業の連続でした。われわれは,もはや計画段階を超えたといえるでしょう。

(川口 淳一郎) 


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用語解説
トラス

ミラーセル

PFM品

プロトモデル試験
SOLAR-B光学望遠鏡機械熱試験モデル組立,PM電気試験始まる

 2005年度打ち上げ予定の第22号科学衛星SOLAR-Bは,日米英の国際協力で 3台の観測機器(光学望遠鏡,線望遠鏡,極端紫外線撮像分光装置)を開発・搭載する。開発は各国でそれぞれ鋭意進行中であるが,光学望遠鏡光学系部(日本が開発担当)の機械熱試験モデルの組立及びその評価試験が宇宙研C棟クリーンルーム及び機械環境室で開始されている。光学望遠鏡は有効径50cmのグレゴリー反射式で,回折限界に近い光学性能発揮のためには,機械的衝撃,温度変化などによる光学系の位置保持精度がカギとなっている。望遠鏡主構造であるトラスミラーセルなどは超低膨張複合材(CFRP)でできており,PFM品のためクリーンルーム内にクラス100のクリーンブースを設置し,組立・評価はこの中で行っている。主鏡・副鏡は軽量化された超低膨張ガラス(ULE)でできており,主鏡が打上げ衝撃に耐えられることが第一関門となる。このため機械熱試験モデル組立に先立ち,アルミ製ダミー主鏡による振動・衝撃試験 (7月10日〜18日),望遠鏡音響モデルによる音響試験(NASDAで実施,7月26日〜30日)を行い,機械耐性の評価を行っている。8月半ばからは機械熱試験モデル組立を開始し,干渉計を用いた光学性能評価試験を行う。

 これと並行して,C棟クリーンルーム及びチェックアウト室ではSOLAR-Bプロトモデル試験7月16日より開始されており,搭載観測機器周りの電気インタフェースを中心とする確認作業が9月半ばまで続く。

(国立天文台 末松 芳法) 



SOLAR-B光学望遠鏡の音響試験モデル組立の様子

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用語解説
TVC
M-25-1 TVC 地上燃焼試験について

 13日の金曜日。雨にけむる日本海。そして,遥か彼方から飛び込むアリアン失敗の知らせ・・・重苦しい空気の中で雲の切れ間を待つこと7時間,ようやくM-25-1 TVCの燃焼試験が能代実験場で行われました。

 このモータは,M-Vロケット第段の改良型モータで,CFRP製のモータケースを用いた高圧燃焼により推進性能の向上を図っているのが大きな特徴です。今までより安くて軽くて良く燃えるモータです。ノズルスロートには次元C/C材が用いられていますが,これはM-V-4号機の事故とは関係なく,高圧燃焼に耐えるために設計当初から導入されたものです。一方,TVC装置は同じく重量とコストの低減のために,これまでの液体噴射方式から可動ノズル方式に変更しています。これによりオペレーションの簡素化も図られ,噴射用液体の漏洩という永遠とも思えたテーマにもとうとう終止符を打つことになりました。

 さて,燃焼日に実験主任が気まぐれなお天道さまに振り回されたという笑い話への自戒はありますが,命がけの安全管制やひとつのミスを全体でカバーするという能代実験班ならではのチームワークの良さに改めて感動を覚えました。現段階での解析によると結果はとても良好で,来年予定されているMUSES-Cの打ち上げに向けて,大きな弾みをつけることができたと言えるでしょう。

(森田 泰弘) 

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第8回APESAFマレーシアで開催

 さる7月23日から26日まで,クアラルンプール市のマレーシア・リモートセンシングセンター(MACRES)において,第回アジア太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)が開催されました。東京以外で開かれたのは,第回(1998年)に次いで度目です。今回は栗木恭一宇宙開発委員(宇宙科学研究所名誉教授)が総合議長を務め,27ヵ国5機関から計100名が出席しました。初日の午前中は,開会式につづく全体会議で基調講演・特別講演がなされました。初日と日目は,地球観測・通信放送・教育普及というつのテーマについて,それぞれ全体セッションと分科会が持たれました。そして日目には,宇宙環境利用セッションが開かれ,午後の閉会セッションで幕を閉じました。閉会セッションでの勧告として,

(1) 自然災害被害の低減/衛星通信のためのパイロットプロジェクトの促進,
(2)国際宇宙ステーション利用のためのアクセスの容易化,
(3)人材育成・教材交換プログラムの効果的活用,
(4)これらつのアクションのためのウェブサイトの設置

が提言されました。なお次回は韓国で開催される予定です。

(的川 泰宣) 

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