No.215 |
<研究紹介> ISASニュース 1999.2 No.215 |
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最近の人工衛星による超高層大気プラズマの観測は,地球上層部から1日当たり数百トンの量の酸素イオンが流出しているという事実を明らかにしている。本稿で取り上げるテーマは地球大気およびプラズマの流出現象の中で,イオンの流出に関する話題である。
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地磁気活動度 | 静穏期(Kp≦2) | 活動期(Kp≧3) | ||
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イオン | H+ | O+ | H+ | O+ |
Polar Wind 極冠 オ−ロラ帯 |
0.9-1.1 1.8-2.6 |
0.5-0.7 0.8-1.2 |
0.6-0.8 3.5-4.0 |
0.6-0.7 1.5-2.2 |
Upwelling ions | 〜0.5 | 〜2.0 | 〜0.5 | 〜2.0 |
Upflowing ions 極冠 オ−ロラ帯 |
0.3-0.5 2.0-3.1 |
0.3-1.0 1.2-4.1 |
1.2-1.8 3.9-6.2 |
3.0-6.0 7.0-14.0 |
合計 | 5.5-7.8 | 4.8-9.0 | 9.7-13.3 | 14.1-24.9 |
イオン流出のメカニズムに関して,最近注目されている話題として,polar wind領域におけるイオン加速の問題が挙げられる。図1に示したように polar windのイオン速度は非対称性をもち,昼側での風速は夜側に比べ顕著に大きいことが観測から実証されている。極冠域において太陽放射により生成された光電子は磁力線方向に運動し,重い質量によって移動が困難なイオンとの間に電場が生じる。観測データは光電子束の大きい昼側でこの電場によるイオン加速への寄与が大きい事を示唆しているのである。寄与率について,数値シミュレーションでは議論が為されているのに対し,観測面からの検討は未だ為されていなかった。「あけぼの」衛星による観測は,1,000〜3,500km高度においてイオン(H+)流出の速度は太陽天頂角と良い相関を示し,角度が小さいとき,すなわち光電子束が大きい時にはイオン速度が大きいことを実証した。これは光電子束がイオン加速に大きく寄与していることを示す重要な結果である。
また,「あけぼの」衛星による観測は地磁気活動度に応じたイオン流出量の変化の様子も明らかにした。表1にその一部を示したように,極冠域のイオン流束は地磁気活動度と相関をもつ。これは地磁気活動度の変化に対応した極冠域プラズマの温度変化,あるいはプラズマ対流による影響と考えられる。また,太陽活動度の変化に対応した流出量の変化は,標準的な活動周期である11年よりも長期の変動を議論する上で重要となるデータを提供するであろう。
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但し,電離圏から流出し磁気圏尾部に輸送されるイオンについては,少なくともその一部が何らかのメカニズムによって電離圏へと再流入する可能性も否定出来ない。また,高高10年間の衛星観測データから1億年を推測するのは早計でもある。したがって,ここに示した量のイオンがそのまま地球大気から永久に消失するということにはならず,大気環境に与える影響をより正確に議論するためには,観測のエネルギーと領域をさらに広げて,総合的な観測が必要になろう。
このような地球大気の長期的変遷といった側面からの興味・議論はさて置いても,低エネルギーイオン加速の存在とその成因は地球物理学的にも重要な興味の対象であり,未解明の問題についての更なる解明が待たれる所以である。
(あべ・たくみ)
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