No.215
1999.2

ISASニュース 1999.2 No.215

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スリ・ランカの首都を知っていますか?

的川 泰宣   

 スリ・ランカとは「輝ける島」という意味。北海道くらいの面積の島に1700万の人口を抱えている。首都はコロンボと言いたいところだが,実は違う。1984年にコロンボの東10kmにあるスリ・ジャヤワルダナプラに移されている。ただし遷都の途中で財政難に陥り,実際には移ったのは国会議事堂のみ,残りの機能はまだコロンボにあるという。こんなこと,みなさん知っていました?

【発端】
 1998年5月にウランバートルの APRSAF(アジア太平洋宇宙機関会議)において,スリ・ランカ代表のデ・アルウィス博士から「1999年1月にスリ・ランカの宇宙科学の長期方針を討議する会議があるのだが,日本の宇宙科学の取り組みの概略をそこで話してくれないか」との依頼を受けた。私の「アーサー・クラークに会えるなら行ってもいいな」という望みは,10分だけかなえられた。実はスリ・ランカ唯一の宇宙科学関連の組織は「アーサー・C・クラーク研究所」と称し,彼をパトロンと呼んでいるのである。

 それにしてもデ・アルウィス博士が呑気な人で,会議のラフなアジェンダを秋に送ってきたっきり,直前まで何の音沙汰もない。仕方なく秘書の利岡さんは,会場と同じホテルを自ら予約し,空港との送迎を自ら依頼するなど,すべて準備を整えてもらった出発の前日,デ・アルウィス博士からの電子メール,「ホテルを決めたいので,飛行機の便を教えてくれ」だと。

【到着】
 獰猛なテロ組織タミール・タイガーへの不安が胸を横切りながらも,多少は期待をもちながら1月20日成田発。シンガポール航空でシンガポール経由でコロンボに着いたのが23時過ぎ。

 ホテルまでのタクシーの運転手さんは,流暢な英語でスリ・ランカがインドに比べていかに勝れているかを吹きまくった。識字率,貧富の差,水の清潔さなど例をあげればキリがないという。もっとも水についてはついに試すチャンスがなかった。

【会議】
 翌22日,眠い目をこすりつつ朝食にでかけると,突如横合いから「的川さん!」と声がかかった。見れば崔順達先生,韓国の人工衛星研究センターの所長である。よく日本にも来られ,一度などは赤坂で一緒に飲み,3時ごろまでカラオケを付き合わされた(!)御仁である。会場に入ると,北村先生(東大名誉教授)と小暮先生(京大名誉教授)はすでにご着席。お二人はODAに深く関わっておいでらしい。会議中いろいろと貴重なアドバイスをいただいた。

 スリ・ランカに限らず,東南アジアで「宇宙科学」と言えば,圧倒的にリモート・センシングのことである。というわけで自分の発表以外は,白河夜船。ゲスト・スピーカーということで最前列に坐らされていたのが幸いし,私の巧みな船の漕ぎっぷりはあまり気が付かれなかったらしい。もっとも夜のレセプションで「スリ・ランカは時差がわずか3時間なので楽ですねえ」と口に出たのが運のツキ。崔先生から「それにしてはよくおヤスミだったようで」と冷やかされた。

 あちらの科学技術庁のお役人と話している時,何気なく「お子さんは何人?」と聞いて後悔した。彼の答えは「8人」。驚く私にたたみかけるように「私の兄は12人(!!)」

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【カリー】
 食事は常にビュッフェ形式。必ず主たる食物はカリーである。私は1週間カレー・ライスでもOKの人間なので,水を得たサカナのごとしだったが,やはり他の「ガイジン」は参ったようだった。私は,野菜,ココナッツ,牛,豚,豆,魚など何でもござれで,「スリ・ランカの人よりカリーが好きだ」と笑われた。それにしてもこの国のスパイスは美味である。帰りに空港でスパイスを土産に買い求めたことは言うまでもない。ただし注文した品が一部袋に入っていなかったのはショックで,今回の旅で唯一の不愉快。

【キャンディ】
 近くの町キャンディへバスでのツアー。そのデコボコ道は,かつての大隅高山から内之浦への道路を限りなく思い出させる猛烈さだった。途中立ち寄った象の養護施設(迷子になった子象を養育している)では,水浴びしている20頭ばかりの象を見た。大人の象も数頭いて,オスの象のナニを見た時は,隣の崔先生とともに「見なければよかった」と二人で溜め息をついた。スリ・ランカで最も古いペーラーデニヤ大学をバスで一周したのだが,後で私だけ話が合わなくて困った。この時も白河夜船を懸命に漕いでいたのである。 24日,再びシンガポール経由にて帰国。

(まとがわ・やすのり)


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