その五 実験室における活用
斎藤義文
我々の実験室はD棟の3階(新D棟)にあり,この実験室のクリーンルーム内で様々な実験装置の制御やデータ収集を行うためにパソコンを使用しています。我々の実験室では,衛星やロケット搭載用の低エネルギーの荷電粒子や中性粒子の観測器の開発を行っています。これらの搭載機器を開発するためには,実験室で実際に荷電粒子を測定器に入射してその特性を測定するための較正実験装置が必要ですが,主にこの較正実験装置のコントロールをパソコンで行っています。具体的には荷電粒子を発生させるためのイオンソースのコントロールに1台(写真 右),真空チャンバー内に置いた観測器の制御とデータ収集のために1台(写真 左),そして最近実験室に導入したCAMACデータ収集システムの制御用に1台の計3台のパソコンを使用しています。
イオンソースのコントロール用パソコンは,主にイオンソースに供給する8つの電源のコントロールに用いているのですがこれに用いているのはなんと今では殆ど見かけなくなってしまった8インチのフロッピーディスクドライブのついた初代PC-9801で,一時期よく使われていたTURBO PASCALで作成したプログラムが今でも元気に走っています。昔からあるもう一台のパソコンは真空チャンバー内に置いた観測器に与える電圧の制御,観測器の方向を変えるための回転台の制御,そして取得したデータの表示,ファイルへの保存などを行います。このパソコンは先のイオンソースコントローラに使っていたよりは新しい80286マシンのPC-9801RXを用いています。このパソコン上で走っているプログラムはGEOTAIL衛星に搭載した低エネルギー粒子観測器(LEP)の準備を行なう直前に私の先輩と,私の二人で作りました。プログラムはTURBO Cを用いて作ったのですが,最近のようにGUIが簡単に使えるわけでもなくかなりの作業量になりました。急いで作る必要があったため,徹夜作業でプログラムをした覚えもあります。最近導入した3台目のパソコンは80486DX2 66MHzのPC/AT互換機でWindows3.1上で作製したプログラムを用いてCAMACデータ収集システムのコントロールに使用しています。さすがに昔からある2台のパソコンよりは速いのですが使っているOSも同時に重くなっており,もう少し速いパソコンを使いたいところです。