ISAS流 パソコン活用術 1996.11 No.188

No.188
1996.11

ISASニュース 1996.11 No.188

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そのニ パソコンを用いた人工衛星姿勢制御系試験

橋本樹明

 人工衛星の姿勢制御系の機能,性能を試験する場合,宇宙空間での人工衛星の運動,姿勢検出センサの動作,姿勢制御アクチュエータの動作の模擬をする必要があります。図1が実際の宇宙空間での人工衛星姿勢制御系の動作,図2 がそれを模擬した地上試験系の構成です。図中のPCの部分は,以前は専用ハードウェアで模擬回路を作ったり,ミニコンと呼ばれる中型で高価な計算機を使用していましたが,今では以下の理由により,大部分はパソコンを使用しています。

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・多くの台数を必要とするので,試験場所の都合上,比較的小型である必要がある。
・試験系のコストを下げるため、計算機本体が安価である必要がある。
・シミュレーションソフト等の開発環境が豊富である。
・インターフェイスボード、ハードディスク装置等,市販の付属品が安価で,しかも短納期で入手できる。
・現在の衛星搭載の計算機は8086系のCPUを使用しており,搭載ソフトとの相性も良い。
・人工衛星(特に3軸姿勢制御衛星)の宇宙空間での  動作は低速(制御周期10〜100秒)で,パソコンの計算能力で十分である。
 このような試験系は,ソフトウェアの書き換え等によって,センサ,アクチュエータの構成の異なる他の衛星にも最小限の変更で対応できるため,地上試験系の高信頼性化,低コスト化に一役買っています。

 ただし民生品のパソコンを直接搭載機器につなぐと,万一のショート事故等の心配があるので,必ず間にインターフェイス装置と呼ばれる専用の回路を挟んでおり,万一の場合にもこの装置が壊れるだけで搭載品には影響が無いように配慮しています。(図2では説明の都合上,この装置は省略しました。)この部分は個別生産でつくらなければならないのですが,機能的には電圧の変換,保護回路等の簡単なものですので,それほどコストはかからずにできます。  最近のパソコンの高速化によって,現在では高速でスピンする衛星の制御系試験にも対応できるようになってきました。

(はしもと・たつあき)


姿勢制御系試験の風景

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