スペースシャトル「コロンビア」の事故
▲スペースシャトル「コロンビア」
宇宙にいってみたい。
宇宙に関心のある人なら、一度はそう思ったことがあるはずです。テレビで毎日のように放送されているアニメやマンガでは、主人公は簡単に宇宙に飛び立って、無重力の中を自由に動き回っていますよね。アニメやマンガの中では、それが当たり前のようになっています。

でも今、私たちが生きている2003年では、そうはいきません。宇宙にいけるのは、ほんのひとにぎりの限られた人たちだけです。厳しい訓練を受けて選ばれた宇宙飛行士だけが、黒い宇宙の中に浮かぶ青い地球を見ることができるのです。

2003年2月1日、その宇宙飛行士を乗せたスペースシャトル「コロンビア」で事故が起きました。地球に戻ってくる途中でスペースシャトルが空中分解してしまったのです。この事故は、乗っていた宇宙飛行士7人の命が失われてしまうという悲しい結果となってしまいました。その時の衝撃的な映像を、テレビなどで見た人も多いのではないでしょうか?

今回の事故は、耐熱タイルがはがれ落ちたことが原因とされています。耐熱タイルがはがれて左の翼にぶつかり、そのショックで部品の一部が飛行中に落ち、それが引き金となって着陸時に事故が起こったのだろうと、NASAの調査チームはみています。

事故のあと、スペースシャトルの打ち上げは当分のあいだ中止となりました。これによって、さまざまな宇宙計画が延期や変更といった影響を受けています。なかでも、スペースシャトルが重要な役割をはたしている国際宇宙ステーションの建設は、大きな計画変更が必要になりました。

当分の間はスペースシャトルなしで国際宇宙ステーションを運営しなければならないため、乗組員の交替と物資の補給を目的としてロシアの有人宇宙船「ソユーズ」の打ち上げをおこないました。

NASAでは、早ければ2003年秋にもスペースシャトルの打ち上げを再開させたい考えを発表しています。打ち上げ再開の第1号は、日本人宇宙飛行士の野口聡一さんらが乗る「アトランティス」になる予定です。


▲国際宇宙ステーション ▲ロシアの有人宇宙船「ソユーズ」


コラム 【スペースシャトル】
スペースシャトルとはアメリカの航空宇宙局(NASA)が開発した、翼を持つ有人宇宙往還機のことです。それまでの宇宙飛行機では、一度きりの使用しかできませんでした。この方法だと一回ごとに膨大なコストがかかってしまうため、めったに打ち上げることができません。それを可能にしたのが、地球と宇宙を何度も往復できるスペースシャトルなのです。

そのスペースシャトルの第1号機が、今回事故を起こした「コロンビア」です。
「コロンビア」は1981年4月に初めて打ち上げられて軌道飛行に成功しました。今回がなんと28回目の打ち上げでした。1994年7月の17回目の飛行では、日本人初の女性宇宙飛行士、向井千秋さんを乗せて約80の宇宙実験をした機体でもあります。

もちろん、22年も前の機体をそのまま使っていたわけではありません。91年から92年にかけて、シャトル改良計画にもとずき、さまざまな改良をおこないました。それは、耐熱システムの強化や、着陸時の滑走距離を縮めるドラッグシュートの装備など、50カ所におよんだそうです。当初、1週間ほどが限度だった飛行期間も10数日にのばすことができました。

しかしその改良計画から11年後に事故が起きてしまったのは、予算の関係で次世代シャトルの開発が遅れ、古くなった機体での打ち上げを続けなければいけなかったためとも言われています。

関連リンク

YAHOO!ニュース@コロンビア空中分解事故

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