今までの質問と答え
水星にはなぜ大気がないんですか?

2004.1 K.N. 12歳・男・東京

水星の大きさは、ちょうど火星と月の中間くらい。火星の大気は地球よりずっと薄く、月には大気はない。このことにはちゃんと理由があって、それは重力と温度の関係なんだよ。

大気を作ってるさまざまな分子は、ものすごいスピードで運動していて、温度が高いほど速く動くんだ。この速さが「脱出速度」(物体が宇宙に飛び出すのに必要なスピードのことで、地球では1秒間に11km進む速さが必要だ)より速いと、大気はどんどん宇宙空間に逃げていってしまうんだ。

水星の場合、地球より小さくて軽いので、脱出速度は1秒間に4kmとゆっくりでいい。そして水星は地球に比べて太陽との距離がとても近いので、地表の温度は500℃にもなるんだ。この二つのことが原因で、酸素や窒素などの「ガス」はみな宇宙空間に逃げてしまったんだよ。

ただ、「大気がない」というのはちょっと誤りで、20年ほど前に大気があることが地上の望遠鏡で発見されたんだ。大気と言っても非常に薄く、スペースシャトルの軌道ぐらいあがった場所程度の濃さしかないのでとても人間が呼吸できるようなものではないけど、惑星と惑星の間を占めている太陽風の密度にくらべれば100倍以上の密度があるんだよ。

水星の大気の観測は、アメリカのアリゾナ大学や日本の東北大学で行われていて、それによると毎日その濃さや大気のある場所が変わっているらしい。その理由や、それによる影響はまだよくわかっていないんだけど、今後水星の調査が進めばわかってくると思うので期待していてね。



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